東洋機械金属が4月23日に発表した2025年3月期(2024年度)連結業績によると、受注高は27,462百万円(前年同期比3.5%増) 、売上高は27,024百万円(同6.3%減)となった。このうち、国内売上高は8,237百万円(同0.5%増) 、海外売上高は18,787百万円(同9.0%減)となり、海外比率は69.5%となった。
損益面は、生産量減少で操業度が低下したことによる固定費回収不足と部材価格高騰等の影響で製品原価が増大したことにより、営業損失が521百万円、経常損失が427百万円。親会社株主に帰属する当期純損失はこれらの影響に加えて、繰延税金資産の取崩しで法人税等調整額227百万円が発生したこと等により845百万円となった。
2024年度における世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源エネルギー価格の高騰や世界的な物価の上昇が続き、中国における不動産市場の低迷を背景とした景気の減速や中東地域の武力衝突など、先行きは不透明な状況で推移した。国内経済においても、個人消費やインバウンド需要が活発となったことにより景気は持ち直すものと見られたものの、急激な円安の影響による原材料価格の高騰や物価の上昇が続き厳しい状況で推移した。
同社グループに関連する業界は、世界的な需要低迷の長期化と急激な円安進行による調達部材価格の上昇及び燃料エネルギー価格の高騰等の影響により非常に厳しい状況で推移した。このような市場環境のもと、同社グループは2027年3月期を最終年度とする中期経営計画2026に基づいた事業活動を推進し、 「競争力のあるダイカストマシンの売上比率向上」 「射出成形機主力機種の計画生産化の推進」 「成形イノベーションの創出とCustomers‘ Value Upの進化」 「経営戦略と連動した人材戦略の構築」など、中長期的な視点から持続的な成長と安定した収益確保に取り組んできたが、世界的な成形機需要の低迷や競争の激化、中国での景気減速の影響を受けた。
■製品別の売上状況
[射出成形機]
射出成形機については、国内は自動車関連・生活用品関連の売上が増加した。海外では、中国で医療機器関連・自動車関連、米州で生活用品関連の売上が減少したが、東南アジア・南アジアで医療機器関連・自動車関連の売上が増加した。
この結果、受注高は20,299百万円(前年同期比4.4%増) 、売上高は19,789百万円(同8.3%減)となった。このうち、海外売上高は13,552百万円(同12.5%減)となり、海外比率は68.5%となった。
[ダイカストマシン]
ダイカストマシンについては、国内は工業部品・自動車関連の売上が減少した。海外においては、中国で自動車関連・工業部品関連の売上が大幅に減少したが、東南アジア・南アジアにおいて自動車関連の売上が増加した。
この結果、受注高は7,163百万円(前年同期比1.1%増) 、売上高は7,234百万円(同0.4%減)となった。このうち、海外売上高は5,234百万円(同1.4%増)となり、海外比率は72.3%となった。
■今後の見通し
同社グループを取り巻く市場環境は、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東地域における軍事衝突などの地政学的リスクに加え、依然として中国の景気回復が見通せないこと及び米国が世界各国に課す相互関税を巡る混乱などにより、不透明な状況が続くものと予想している。一方、同社グループの事業に関連する市場においては、自動車関連の設備投資の増加や成長著しいインド市場で受注が増加する等の明るい兆しが見られるものの、中国経済の停滞に伴う需要の低迷や急激な円安による資源エネルギー・原材料価格の高騰により、受注環境は厳しい状況で推移するものと思われる。
このような市場環境の中、同社グループは、労働力不足解消に繋がる自動化やカーボンニュートラルに寄与する製品開発など顧客のニーズに応える高付加価値な製品づくりが喫緊の課題であると認識しており、製品ポートフォリオの再構築や短納期化、アフターサービス体制の強化を重点施策として位置づけ、以下の成長戦略を実行していく。
まず、製品戦略として、射出成形機の最新機種の「Si-7」の更なる市場への浸透を図り、製品認知度の向上と原価管理の徹底を図る。ダイカストマシンでは「BD-V7EX」を集中的に拡販し、特にEV市場の開拓を強化していく。また、これらに加え、顧客に新たな付加価値を提供するべくAIを活用した省人化、自動化システム等のソリューションの提案にも注力していく。
生産面では、2025年4月に竣工した新たな工場棟において、自動車や家電製品等の部材成形で需要が拡大している中大型機の生産を開始する一方で、ボリュームゾーンである小型機の半製品を在庫として持つ計画生産を増やし、生産効率の向上と迅速なカスタム対応、納期の短縮を図る。
さらに、2024年1月に開設したサービス物流センターの活用により更にサービス部品の供給体制を充実させ、顧客満足度を高めていく。同社グループは、これらの取組みを着実に実行するとともに「中期経営計画2026」で掲げた中長期的な指標であるパーパス、ビジョン、基本方針、経営戦略のもと、持続的な成長と企業価値向上に向けた経営基盤の強化に取り組んでいく
引き続き、急激な為替変動や調達部材の長納期化及び価格の高騰が企業経営に悪影響をもたらす可能性はあるが、リスクを最小限に抑え、利益を確保するために必要なあらゆる施策を講じることによって、業績の確保を図っていく。
2026年3月期連結業績の見通しは、売上高は30,000百万円(前期比11.0%増)、営業利益300百万円(前期は営業損失521百万円) 、経常利益400百万円(前期は経常損失427百万円) 、親会社株主に帰属する当期純利益は150百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失845百万円)を見込んでいる。
東洋機械金属の2025年3月期 決算短信
決算説明資料
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