ファナックが4月23日に発表した2025年3月期(2024年度)連結業績によると、売上高が7,971億29百万円(前期比0.2%増)、経常利益が1,967億38百万円(同8.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が1,475億57百万円(同10.8%増)となった。
2024年度におけるファナックグループを取り巻く状況については、景気が緩やかに回復して設備投資にも持ち直しの動きがみられる一方、欧米におけるインフレや高金利等の影響、中国経済の先行き懸念など、不透明な状況が続いた。このような厳しい状況が続く中、セールス、研究開発、工場、サービス、事務、全ての部門の総力を挙げて拡販や経費削減等に取り組んだ。 また、競争力を高めるための新商品・新機能の開発、生産性向上のための生産効率化、新商品向けの新規設備の導入など、将来の発展に向けた施策は引き続き積極的に進めた。加えて、世界的に脱炭素社会へ向けた動きが広がる中、グローバルに事業を展開しているファナックグループにとっても気候変動は重要な経営課題であると認識しており、商品の省エネルギー性能向上に向けた開発を推進した。また、国際的な非営利団体であるCDPにより、気候変動分野の透明性とパフォーマンスにおけるリーダーシップが認められ、最高評価の「Aリスト企業」に2年連続で選定された。
なお、2024年度においては、従来よりも剛性・絶対精度を大幅に向上させ、高い軌跡精度を実現した産業用ロボットである「ファナック ロボット M-800」が「第11回ロボット大賞 経済産業大臣賞」を受賞。また、様々な環境変化に適応した工作機械の開発を推進し、製造現場での自動化・生産性向上を実現する新たなプラットフォームとなるCNCである「ファナック シリーズ 500i-A」が第67回日刊工業新聞社「十大新製品賞」本賞を受賞した。
ファナック2025年3月期通期データ
■部門別の状況
[FA部門] FA部門について、CNCシステムの主要顧客である工作機械業界の需要は、国内や欧州で低調に推移したものの、インドや設備投資に積極的な産業からの需要が旺盛だった中国で堅調に推移し、ファナックのCNCシステムの売上は増加した。
FA部門の連結売上高は、1,948億24百万円(前期比8.0%増)、全連結売上高に対する構成比は24.4%となった。
[ロボット部門]
ロボット部門については、国内では自動車関連向け、一方、中国では好調だったEV関連向けが下降気味であり、一般産業向け共に堅調に推移し、売上が増加した。一般産業向けと電子産業向けも低調で売上が減少した。欧米でも主に自動車関連向けが低調で売上が減少した。
ロボット部門の連結売上高は、3,295億66百万円(前期比13.5%減)、全連結売上高に対する構成比は41.3%となった。
[ロボマシン部門]
ロボマシン部門については、ロボドリル(小型切削加工機)では、主に中国市場が堅調に推移し、売上は増加した。ロボショット(電動射出成形機)では、中国、中国以外のアジアでの需要増があり、売上が増加した。ロボカット(ワイヤ放電加工機)では、米州、中国、中国以外のアジアで売上が増加したものの、欧州で売上が減少したため、売上は微増にとどまった。
ロボマシン部門の連結売上高は、1,375億88百万円(前期比33.1%増)、全連結売上高に対する構成比は17.3%となった。
[サービス部門]
サービス部門については、「サービス ファースト」の精神のもと、ITを活用したCX(顧客体験)を重視し、顧客満足度の向上をグローバルに推進するサービス体制の強化を図った。
サービス部門の連結売上高は、1,351億51百万円(前期比3.5%増)、全連結売上高に対する構成比は17.0%となった。
■今後の見通し
米国における関税の影響、それに伴う世界経済への影響、為替動向、地政学的リスク等、不透明な要素が多々あり、総じて予断を許さない状況が続くものと思われる。
2026年3月期の連結業績予想については、米国における関税の影響等を慎重に見極め、合理的な算定が可能となった時点で速やかに開示する予定としている。
ファナックの2025年3月期決算短信
2025年3月期決算説明資料
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