DMG森精機、奈良商品開発センタ内にAMイノベーションセンタ開所

・顧客の革新的な製品開発をサポート

 DMG森精機は4月16日、第二本社である奈良商品開発センタ(奈良市)の1階に、最新のAM(Additive Manufacturing)機を設置し、新たに「AMイノベーションセンタ」を開所したと発表した。同社創業の地である奈良で、同じく4月に世界最大級のシステムソリューション工場として稼働を開始する奈良事業所(大和郡山市)とともに、最先端の技術を顧客に提供する。

 金属積層造形技術は、従来の切削加工では困難な形状を造形できるため、世界的に急速な進化を遂げており、航空・宇宙、医療、自動車などの分野での応用が拡大している。一から部品を作り上げるだけでなく、修理や補修の用途でも活用が進んでおり、廃棄物やエネルギー消費の削減にも貢献している。

 同社は、2022年に伊賀グローバルソリューションセンタ、東京グローバルソリューションセンタ内に「AM Lab & Fab」を開設し、顧客の金属積層造形の活用をサポートする受託加工サービスを行ってきた。そこから、受託加工にとどまらず、積層造形技術に基づいて構想設計を行い、同社製工作機械の内製部品の量産に活用するまで、適用範囲がますます拡大している。この知見を用いて、顧客の部品の機能向上、技術革新へ展開する。

 同施設では、DED方式*1とSLM方式*2の2種類の金属積層造形機を5台設置している。顧客の多様なニーズに対して、同社エンジニアがDfAM (Design for Additive Manufacturing)により、革新的で創造的な形状の最適設計から積層条件の提案、実際の造形まで行う。

 また、積層造形の前後工程で必要な粉末保管庫や3Dスキャナなどの周辺機器も設置しており、AMのショールームとしての役割だけでなく、実際に最先端の金属積層技術を用いて、顧客の製品開発から生産準備、検証までの一連のプロセスを体感できる。

 さらに、同施設にはAMの基礎から最先端技術までを学ぶことができる動画・コンテンツや、実用事例として30種類以上のワークを展示している。また、産学連携の取り組みとして、慶応義塾大学との共同開発プロジェクトも紹介している。

 2025年4月1日付けでAM事業のさらなる強化を目的に、DMG森精機Additiveを設立した。このほど設立したAMイノベーションセンタをグローバルのAM技術開発の中心拠点として、さらなる普及・発展に寄与し、顧客の生産性向上とビジネスの拡大をサポートしていく。

※1 指向性エネルギー堆積法(DED = Directed Energy Deposition)
※2 選択的レーザ溶融法(SLM = Selective Laser Melting)

<施設の概要>
所在地:奈良県奈良市三条本町2番1号(DMG森精機株式会社 第二本社 奈良商品開発センタ内)
設備機械:LASERTEC 30 SLM 3rd Generation、LASERTEC 3000 DED hybrid、LASERTEC 12 SLM 3rd Generation、LASERTEC 65 DED hybrid、LASERTEC 30 DUAL SLM
開所 :2025年4月

 ニュースリリース