・「エネルギー供給型(カーボンマイナス)焼却炉」を初導入
・汚泥焼却廃熱により高効率バイナリー発電装置で発電、焼却炉の消費電力量を上回る発電が可能な焼却炉
・燃料由来の温室効果ガスを削減、余剰電力を下水処理施設に供給することで施設全体も省エネに
三菱重工グループの三菱重工環境・化学エンジニアリング(MHIEC、本社:横浜市西区)は4月17日、東京都下水道局(以下、下水道局)から「南部スラッジプラント」(東京都大田区城南島)にある汚泥焼却設備の再構築工事を受注したとら発表した。老朽化した既存の汚泥焼却設備の代替として建設するもので、汚泥焼却廃熱により同焼却炉の消費電力量を上回る発電能力を持ち、温室効果ガス排出量も削減できる「エネルギー供給型(カーボンマイナス)焼却炉」の初号設備となる。契約金額は64億1,000万円(税抜)で、完成は2030年3月の予定。
今回建設するエネルギー供給型焼却炉は、2023年度から下水道局と下水道プラントメーカーが共同研究に取り組んできたものです。MHIECは、最適燃焼制御(注1)を備えた流動床式焼却炉である「最適燃焼制御付気泡流動炉」および高効率バイナリー発電装置(注2)を組み合わせた技術について、温室効果ガス排出量に関する項目など6つの研究開発目標すべてを達成し、下水道局から実用化技術の評価を受け、今回の受注に至った。
MHIECは、三菱重工が長年培ってきた汚泥処理分野の技術開発力と豊富な建設・運営ノウハウを2006年に継承。多数の実績に基づく、建設から運営まで含めた総合的なソリューション提案力を強みとしています。今回下水道局から「エネルギー供給型(カーボンマイナス)焼却炉の実用化技術の評価」を得て、初号設備を受注したことを弾みに、汚泥焼却設備を通じた省エネ・温暖化抑制策の提案を積極的に推進し、受注拡大を図っていく。
(注1)汚泥焼却炉の燃焼状態を複数の指標を用いて最適に制御するMHIEC独自の燃焼制御技術。
(注2)廃熱を直接利用するのではなく、水よりも沸点が低い別の熱媒体に移し、その熱媒体を介して(加熱・蒸発により)発生したガスでタービンを回す発電方式。名称は熱源系統と媒体系統のバイナリー(Binary:2つの)熱サイクルを利用することに由来し、地熱発電などでも利用されている。