技研製作所、25年8月期第2四半期売上は23.9%減の約118億円、25年8月期予想261億円(11.5%減)は変えず

 技研製作所が4月10日に発表した2025年8月期第2四半期(2024年9月~25年2月)連結業績によると、売上高は11,829百万円(前年同期比23.9%減)、営業利益は1,323百万円(同45.3%減)、経常利益は1,345百万円(同48.1%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は928百万円(同49.8%減)となった。

■経営成績に関する説明
 技研製作所グループは、今期を初年度とする新たな中期経営計画2027(2025年8月期-2027年8月期)を発表した。
 成長のための4つの基本戦略を基盤に、グローバルな技術提案や工法普及を強化するとともに、新工法・新製品の開発と市場投入のスピードアップを推進し、企業価値の向上を目指している。

 国内の事業環境は、建設投資が公共、民間とも堅調に推移した。しかし、物価高騰による公共事業の施工規模縮小や労務費のコスト上昇等がユーザーの経営を圧迫する状況が続いた。厳しい経営環境の中、ユーザーの設備投資マインドが大きく冷え込んだことから、同社は2月に業績予想を下方修正した。

 国内における工法技術提案活動では、災害復旧・復興事業や防災・減災対策、国土強靭化事業、インフラ老朽化に伴う更新・機能強化事業等を中心にインプラント工法の普及に取り組んだ。その結果、公共工事では、能登半島地震・豪雨災害で被災した道路の復旧工事、河川・港湾護岸の更新工事、高速道路の6車線化工事で採用される等、採用案件数は順調に推移した。

 昨年12月には、中部地方の圧入市場拡大の拠点となる中部営業所を愛知県名古屋市に開設し、工法技術提案活動等をスタートした。中部地方は既存ユーザーが多い地域であり、ものづくりを支える物流・交通インフラの整備や
東南海・南海巨大地震等に対する災害対策が計画されていることから、圧入技術の需要拡大が見込まれている。営業所の新設により、地域のニーズに合った技術提案を的確に行い、中部地方のさらなる経済発展と安全・安心な暮ら
しに貢献していく。

 国内の製品販売は、空頭制限下かつ硬質地盤の現場で鋼矢板の効率的な圧入を実現する新製品「ハンドリングシステム」の販売を、GM メンバー向けにスタートし、好調に推移した。同製品は、サイレントパイラーに取り付けるパイルオーガの吊り込み装置であり、大型のクレーンで吊り込む必要がなくなることから、従来技術では工事が難しかった橋梁下等の現場に適用範囲を広げることができる。同社は今後も現場ニーズを適切に捉え、建設課題の解決およびユーザーの稼働率向上を実現していく。

 海外展開では、これまでの機械販売を中心としたビジネスモデルを見直し、現地パートナーとの協働体制を強化すべくユーザー向け総合支援サービス「GTOSS 」を開始し、まずはサポート体制の構築を進めている。GTOSS会員となったパートナー企業とともに、工法普及活動を実施することで、市場拡大を加速させていく。

 アジア地域では、シンガポールにて2月、GTOSS会員のユーザーが東南アジアで初となるジャイロプレス工法の工事を完了し、工法普及において極めて重要な施工実績をつくることに成功した。現地では3件目の工法採用も決まっており、継続受注に向けて好スタートを切ることができた。同社グループは同実績をもとに、同工法の市場拡大を加速化させていく。

 パートナー企業との連携では、シンガポールのユーザーが新たにGTOSS ASIAに加入し、アジア地域のGTOSS会員は9社に増えた。同社グループはこのユーザーに対する技術指導や巡回点検等の充実したサポートを通じて現場を成功に導き、将来的には工法普及における強力なパートナーとして協働することで、現地の圧入市場の開拓をさらに推進していく。

 ヨーロッパ地域では、グループ会社のGiken Europe B.V.(本社:オランダ)とともに合弁会社「G-Kracht B.V.」に出資し、オランダ世界遺産運河の護岸改修プロジェクトに参加する現地のユーザーがGTOSS EUROPEに加入し、会員は3社に増えた。ドイツにおいては、インフラの老朽化や洪水災害等の対策における圧入技術に対するニーズの高まりを背景に、同国トップユーザーである建設会社が「サイレントパイラーF401」を購入した。

 北米地域では、1月にグループ会社のGiken America Corporation(本社:アメリカ)が、アメリカ東海岸北部地域の圧入市場を開拓・拡大する拠点として、ニュージャージー州に営業所を開設した。同国での同社グループの拠点は、東海岸南部のオーランド本社(フロリダ州)と合わせて2カ所となる。新たな営業所は有力な設計コンサルタントが集中するニューヨーク州にもアクセスしやすく、陸空路とも利便性が高いため工法普及活動に適している。同営業所を拠点に大規模なインフラ投資が継続する東海岸北部地域での市場開拓・拡大を加速化していく。

■セグメント業績
①建設機械事業
 国内では、物価高による施工規模の縮小や労務費等のコスト上昇がユーザーの設備投資マインドを冷やし、製品販売に大きく影響した。海外では、上期に見込んでいた製品販売が下期にずれた影響により、前年同期の売上を下回った。この結果、同セグメントの売上高は8,119百万円(前年同期比26.8%減)、営業利益は1,935百万円(同35.2%減)となった。

②圧入工事事業
 国内では、工法採用が堅実に推移する中、ダムの仮設擁壁構築(長崎県)、発電所の防水壁構築(岐阜県)、発電所の防潮堤基礎構築(北海道)、令和6年9月能登半島豪雨による地滑り後の道路復旧(石川県)等において工事が
順調に進捗した。しかしながら、前年の高水準な工事売上の反動減および着工遅れにより前年同期よりも工事案件数は減少した。一方海外では、ドイツでオペレーター付きレンタルが順調に進捗した。この結果、同セグメントの売上高は3,709百万円(前年同期比16.6%減)、営業利益は506百万円(同20.7%減)となった。

■2025年8月期の見通し
 通期2025年8月期の業績については、2025年2月27日公表予想(下記)に変更はない。
 売上高26,100百万円(前期比11.5%減)、営業利益2,300百万円(同30.8%減)、経常利益減百万円(同31.6%増、親会社株主に帰属する当期純利益1,800百万円(同26.2%減)。

 技研製作所の2025年8月期第2四半期決算短信

 第2四半期決算説明資料