テスホールディングス、インドネシアでEFB ペレット製造工場の地鎮祭を実施

 テスホールディングス(大阪市淀川区)は2月21日、連結子会社である PT PTEC RESEARCH AND DEVELOPMENT(本社:インドネシア リアウ諸島州、以下、PTEC社)が、2月20日に、農作物残渣由来のバイオマス燃料である「EFB※1ペレット」の製造拠点となる工場の建設予定地(インドネシア北スマトラ州セイマンケイ工業団地)において、地鎮祭を執り行ったと発表した。

■将来の大規模商業化の早期実現を目指し、パーム産業の主要拠点であるセイマンケイ工業団地に進出

 同社グループは、2018 年に農作物残渣をバイオマスペレットに加工するための研究開発拠点としてインドネシアにおいて PTEC 社を設立し、パーム油産業の代表的な未利用残渣物である EFB 等をはじめとする様々な「農作物残渣原料をバイオマスペレット化するノウハウ」を蓄積してきた。

 同社グループは、これまでインドネシア 西ジャワ州でEFB ペレット製造に関する小規模工場を建設する計画としていた。一方、EFB 等の農作物残渣の有効活用に対するエネルギー業界の期待の更なる高まりを受け、同社グループのパートナーであるインドネシア国営パーム農園企業の PTPN グループとも協議を重ねた上で、EFB ペレット製造における大規模商業化の早期実現を目指すため、商業化をより円滑に進められることを目的として、同社グループが大規模商業化を計画しているセイマンケイ工業団地に建設場所を変更することにした。

 今回、新たに建設する新工場の敷地面積は約 11,000 ㎡となり、操業開始は 2026 年6月を目指す。操業開始後の EFB ペレットの年間生産量は約1万 t となる予定であり、バイオマス燃料としてインドネシア国内や日本に向けて販売する予定。

 変更後の建設場所であるセイマンケイ工業団地は PTPN グループがパーム産業の主要拠点として開発・運営を進めており、工場運営に関するインフラ等が充実していることからパーム産業に関わる様々な企業が進出している。EFB ペレット製造にかかる原料の供給についても PTPN グループのパーム搾油工場のサポートを受ける計画としている。また、同地域には同社グループが行う PKS※2燃料販売事業のストックパイル(出荷拠点)もあり、サプライチェーンの構築等におけるシナジー効果が期待できる。

■新工場の建設によって、インドネシアにおける EFB の有効活用を目指す

 インドネシアは世界最大のパーム油生産国であり、パーム油産業はインドネシアの経済を支える重要な基盤となっている。その一方で、パーム油を搾油する際に大量に発生する EFB は、肥料や燃料等に利用される以外の大半は有効な活用方法が無いことから未利用のまま放置されており、土壌汚染や腐敗時の温室効果ガスであるメタンガス(メタンガスの地球温暖化係数※3は約 25)の発生が問題視されている。そのため、パーム油生産国では EFB の有効活用の方法が模索されている。

 今後も同社グループは、新工場におけるノウハウや実績等を大規模商業化に繋げていくことによって、EFB の有効活用を目指していく。

■今後の展開
 同社グループは、「Total Energy Saving & Solution の実現により、世界的なエネルギー脱炭素化に貢献する」ことをパーパス(存在意義)とし、ESG とコンプライアンスを経営の根幹に位置付け、「再生可能エネルギーの主力電源化」「省エネルギーの徹底」及び「エネルギーのスマート化」の 3 つの事業領域に注力している。

 同社グループの 2030 年6月末までの経営計画を定めた中期経営計画「TX2030」では、 「資源循環型バイオマス燃料事業」を注力事業分野の1つとしており、EFB や PKS 等のパーム産業における農作物残渣の活用によりサーキュラーエコノミーとストックビジネスの拡大を目指している。

 EFB ペレットについては、セイマンケイ工業団地における小規模工場での生産・販売を進め、量産化に向けた研究開発を継続し、大規模商業化に向けて中計期間において 10 万 t/年の製造能力の獲得を目指す。

 今後も同社グループでは、PTEC 社における農作物残渣を利用したバイオマス燃料の製造事業を通して、世界的なカーボンニュートラルの実現に貢献していく。

※1 EFB(Empty Fruit Bunch) :アブラヤシからパーム油を搾油する際の副産物(残渣)である椰子空果房のこと。
※2 PKS(Palm Kernel Shell) :
パーム椰子の種からパーム油を搾油した後に残った椰子殻のこと。
※3 地球温暖化係数(GWP: Global Warming Potential) :
CO₂を基準にして、その他の温室効果ガスがどの程度温暖化する能力があるか表した数字のこと。

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