コマツは2月19日、鉱山機械の主力機種である大型ダンプトラックHD785(最大積載量 約92トン)に水素専焼エンジン※1を搭載したコンセプトマシンを開発し、茨城工場(茨城県ひたちなか市)で実証実験を開始したと発表した。大型ダンプトラックに水素エンジンを搭載するのは世界初※2の試み。実証実験を通じて、水素エンジンの活用に向けた知見の蓄積を進め、未来の”水素建機”の開発に繋げる。
水素エンジンを建設機械に搭載する場合、バッテリーや水素燃料電池と異なり、ディーゼルエンジン車の コンポーネントの多くをそのまま活用できるため、コストを抑えられるメリットがある。また車両から排出されるCO2を実質ゼロにできるため、鉱山の顧客からは現場のカーボンニュートラル実現に向けた動力源の選択肢の一つとして導入を希望する声も寄せられている。安全管理や水素供給のためのインフラ整備などの課題もあるが、業界団体や関係者と連携して解決を図っていく。
コマツは中期経営計画において、2030年までに、製品使用により排出されるCO2の50%削減(対2010年比)、生産によるCO2排出の50%削減(対2010年比)という経営目標とともに、2050年にカーボンニュートラルを実現することをチャレンジ目標としている。これまで、ハイブリッド油圧ショベルや有線式電動油圧ショベル、および、バッテリー搭載の中小型電動ショベルの市場導入を実現している。さらに、カーボンニュートラル燃料への対応、バッテリー搭載建機への給電システムの開発、水素燃料電池搭載ショベルの実証実験、パワーアグノスティック対応の超大型ダンプトラック※3の開発など、あらゆる方面から環境対応の技術開発に取り組んでいる。
コマツは引き続きカーボンニュートラルの実現に向けて、自社での技術開発とともに、オープンイノベーションの 推進やパートナーシップを通じて、顧客の多様な環境対応ニーズに応えしていく。
※1:水素専焼エンジン:水素のみを燃料として使用するエンジン
※2:コマツ調べ
※3:ディーゼルエレクトリック、電動、トロリー(有線)、燃料電池、水素など、いかなる動力源でも稼働可能な超大型ダンプトラック