建設機械の需要予測、2025年度の出荷金額は前年度比横ばいの2兆9,714億円と予測

・2024年度は2兆9,690億円(前年度比11%減)、4年振りの減少

 日本建設機械工業会は2月18日、会員アンケートをベースとした建設機械出荷金額の需要予測結果を発表した。2024年度については、国内、輸出とも減少に転じ、2024年度通年の出荷金額は2兆9,690億円(前年度比11%減)となり、全体では4年振りの減少と予測。2025年度については、下期より緩やかに回復に転じるものの、国内、輸出とも前年並みに推移し、2025年度通年の出荷金額は、2兆9,714億円(前年度比0%)と予測された。

<国内>

 2024年度は、金利上昇による設備投資意欲低下等によりレンタル向けの出荷が減少すると予測。
 上期は、トラクタが前年同期比4%増加、建設用クレーンが同5%増加するなど3機種が増加したものの、他6機種が減少し、4,420億円(前年同期比6%減少)となった。下期は、建設用クレーン、油圧ブレーカ・圧砕機の2機種が増加するものの、他7機種が減少となり、4,905億円(前年同期比6%減少)と見込まれる。
 この結果、2024年度通年では、9,325億円(前年度比6%減少)となり、4年振りで減少すると予測される。(前回昨年8月時の予測と比較して425億円下方修正となった。)

 2025年度は、公共投資等に支えられ、横ばいと予測。
 上期は、4機種が増加もしくは横這いとなるものの、5機種が減少となり、4,393億円(前年同期比1%減)と予測される。下期は、6機種が増加もしくは横いとなり、4,907億円(前年同期比0%)と予測される。
 この結果、2025年度通年では、9,300億円(前年度比0%)となると予測される。(前回昨年8月時の予測と比較して414億円下方修正となった。)

<輸出> 

 2024年度は、主要地域(北米、欧州、アジア)等での金融引き締めによる金利高止まり等の影響から減少すると予測。
 上期は、主力機種である油圧ショベルが前年同期比28%減少するなど5機種で減少し、1兆222億円(前年同期比14%減)となった。下期は、7機種で減少し、1兆144億円(前年同期比12%減)と見込まれる。
 この結果、2024年度通年では、2兆366億円(前年度比13%減)となり、4年振りで減少すると予測される。(前回昨年8月時の予測と比較して、1,494億円下方修正となった。)

 2025年度は、金利も落ち着き、ミニショベル等が増加に転じ、下期より緩やかに回復すると予測。

 上期は、2機種が増加もしくは横這いとなり、1兆42億円(前年同期比2%減)と予測。下期は、6機種が増加もしくは横這いとなり、1兆372億円(前年同期比2%増)と予測。
 この結果、2025年度通年では、2兆414億円(前年度比0%)となると予測される。(前回昨年8月時の予測と比較して、1,905億円下方修正となった。)

 建設機械出荷金額推移(5年間:2021~25年度予測)

<出荷台数ベース>
①油圧ショベル
 24年度は、海外生産が「増加」。国内は生産・出荷双方が「減少」。25年度は、国内・海外とも生産及び出荷の双方が「増加」。
②ミニショベル
 24年度は、国内・海外ともに生産及び出荷の双方が「減少」。25年度は、国内は生産が「減少」、出荷は「増加」。海外は生産が「増加」。

 油圧ショベル・ミニショベルの生産・出荷台数予測(24・25年度)


*参考 

■会員の見方(国内需要予測の背景)

①公共投資:24、25年度とも「横這い」の見方が大勢を占めるも、25年度上期は「減少」が増える一方、下期には「増加」の見方がやや増える。
②民間設備投資:24、25年度ともに「横這い」の見方が大勢を占めるも、25年度下期から「増加」の見方が増える。

③住宅投資:24、25年度ともに「横這い」の見方が大勢を占めるも、25年度から「減少」の見方が微減。

■会員の見方(海外需要の背景)
①北米市場の動向:24年度は「横ばい」の見方が多いが、25年度は「増加」の見方が増える。
②中国を除き、オセアニアを含むアジア市場の動向:24年度に比べ、25年度は「」横ばい」の見方が増える。
③中国市場の動向:24、25年度とも「減少」の見方が多いも、25年度は「横ばい」の見方がやや増える。

■需要予測に影響を与える要因①
・需要予測にpositiveな影響を与える要因としては、国内は公共投資、民間設備投資や為替動向、海外は為替期間の他に、民間設備投資、公共投資の影響を挙げる答が多かった。
・一方、negativeな影響を与える要因としては、国内は、資源価格状況や物流費状況、鋼材価格状況の答が多く、海外は、為替動向や各国中央銀行の利上げ、ロシア・ウクライナ問題の影響を挙げる答が多かった。

 国内市場:Positive要因/Negative要因

 ①公共投資(125)②民間設備投資(106)③為替動向(16)/①資源価格動向(55)②鋼材価格動向(52)③物流費状況(51)

 海外市場:Positive要因/Negative要因
 ①為替状況(74)②公共投資(72)③民間設備投資(61)/①為替動向(51)②各国中央銀行の利上げ(44)③ロシア・ウクライナ問題(41)

・今後の市況に影響があると思われる要因として、国内・海外それぞれ以下の12項目のうち、3つまで優先順位をつけて回答。

 1.公共投資、2.民間設備投資、3.為替動向、4.各国中央銀行の利上げ、5.ロシア・ウクライナ問題、6.コンテナ状況、7.部品・部材状況、8.資源価格状況、9.物流費状況、10.鋼材価格状況、11.販売店在庫状況、12.その他
・ ()内の点数は、影響があると思われる順に①、②、③とし、①を3点、②を2点、③を1点として算出。

■会員の見方:需要予測に影響を与える要因②

 米国・トランプ新政権のおける、日本からの輸出・需要に対する影響については、

【主な回答理由】
① 増加:25%
・公共工事、設備投資に伴う需要増加の期待
・米国内での鉱山やエネルギー関連への投資増加の期待
② 現状と同等:53%
・化石燃料回帰の動きはオイル関連プロジエクトに影響があり、ポジティブな一方で、輸入品への関税引き上げリスクはネガテイブ。双方を合わせると、決して楽観視できず、注意が必要
・現時点では、どのHSコードに対して関税が引き上げられるか、その関税率も全く予測がつかず、判断ができない
③ 減少:22%
・輸入品への関税を引き上げる可能性が高いため
 ——————–
 この需要予測資料は、一般社団法人日本建設機械工業会(会長:山本 明)が、2025年 1月時点で正会員である建設機械メーカ 61社を対象に実施した需要予測結果を取りまとめたもの。予測期間とした 2024年度上下期と2025年度上下期の4期に関して、建設機械を9機種に区分し、国内出荷金額及び輸出金額をアンケート方式により予測調査をしたものであり、今回で 67回目の調査となる。

 詳細は、会長記者会見資料(2025年2月18日会長会見)