三菱ロジスネクスト、24年4〜12月売上は3.9%減の 5,008億円、24年度予想6,700億円(4.5%減)は変えず

 三菱ロジスネクストが2月4日に発表した2025年3月期第3四半期(2024年4〜12月)連結業績によると、売上高は、価格適正化効果や為替の円安影響があったものの、北米でのエンジン認証遅延による影響に加えて、代理店における在庫調整もあり、5,007億8千9百万円(前年同期比3.9%減少)となった。利益面では、米州での売上減少の影響が大きく、営業利益は182億1千7百万円(同49.4%減少)、経常利益は
136億円(同58.6%減少)となった。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、固定資産の譲渡に伴う売却益が計上されたが、中国販売子会社の譲渡に伴う売却損が計上されたこともあり、97億3千4百万円(同60.4%減少)となった。
 なお、のれん等償却の影響を除くと、営業利益は261億5千5百万円(同40.1%減少)、営業利益率は5.2%(同3.2ポイント減)となった。

 4〜12月期における世界経済は、緩やかではあるものの安定して成長している。また、地政学的緊張が続く中、世界的にはディスインフレが進展しているが、地域によってはインフレ率が高止まりして金融政策の舵取りを難しくしている。米国の景気は安定した内需のもと底堅く推移しています。欧州は堅調な内需を背景に持ち直しつつある一方で、中国は不動産不況を始めとして内需が依然低迷を続けている中、これまで好調だった輸出も米国による関税引き上げで先行きは不透明。加えて、長期化しているウクライナ侵攻や不安定な中東情勢といった地政学的リスクもあり、景気の動向は地域ごとに異なる様相を呈している。  

 一方、我が国経済は、好調なインバウンド需要や物価上昇に対応した価格転嫁の進展などもあって企業の景況感は良好、設備投資も依然として堅調に推移しており、賃金の伸びも拡大基調で景気は緩やかに持ち直している。

 このような中、フォークリフトを始めとする物流機器市場は、国内においては、引き続き安定的・堅調に推移している。一方、海外においては、米州では代理店在庫の調整局面が想定よりも長引き、卸売需要も弱含みに推移していたが、その局面も徐々に解消しつつある。欧州は一時回復基調にあったものの需要は伸び悩んでいる状況。堅調に推移していたアジアも在庫調整局面からか伸長が鈍化している一方、中国においては景気減速にあっても物流機器需要は堅調。また、電気車化が進む中、リチウムイオンバッテリー車を始めとした中国製品の台頭により、特に欧州・アジアにおける競争は一層厳しいものとなっている。
 同社においては、課題だったリードタイムを正常化させ、価格適正化による収益性の改善を進めながら、安心・安全、自動化・自律化、脱炭素といった物流機器市場のニーズの高まりにも応えている。そのような中で生じた北米のエンジン認証遅延による出荷停止については、一部機種の出荷再開や新型エンジン搭載車の生産などの施策によって挽回に努めている。世界経済が緩やかに成長する中で、米国新政権の各種政策に対する期待と不安、中国を含むサプライチェーンに対するリスク、金利や為替の動向、長期化する地政学的リスクなどにより不確実性を増す世界経済の先行きは、不透明で予断を許さない状況となっている。

 三菱ロジスネクスト2025年3月期第3四半期データ

■セグメントごとの経営成績
(国内事業)
 国内事業は、受注が堅調に推移する中、価格適正化の効果も寄与したことから、売上高は1,462億3千3百万円(前年同期比3.3%増加)となった。セグメント利益は、国内販売においては堅調に推移している。
 一方、エンジン認証の遅延に伴い、北米向けノックダウン部品の供給やライセンス収入及び国内エンジン製造子会社の輸出が減少したことに加えて、研究開発費等の経費の増加もあり、30億7千6百万円(同46.9%減少)となった。
 なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は67億2千9百万円(同28.6%減少)となった。
(海外事業)
 海外事業は、為替の円安影響はあったものの、北米での一時出荷停止の影響に加え、地域によっては代理店の在庫調整の長期化もあり、売上高は3,545億5千5百万円(前年同期比6.6%減少)となった。セグメント利益は、欧米での売上減少の影響が大きく、151億4千万円(同49.8%減少)となった。
 特に海外事業の前年同期は、部品欠品が解消されていく中で生産を拡大、出荷を促進して、加えて価格適正化効果の寄与もあり、売上高並びにセグメント利益を大きく伸長させた。それに反して当期は、北米でのエンジン認証遅延に伴い旧型エンジンの換装などに追加工数を要して生産効率の悪化を招き、また、転用・転売の効
かない生産部品の廃却引当などの一時費用の発生もありました。加えて、地域によっては代理店の在庫調整の長期化などがあったために、売上高、セグメント利益ともに減少している。
 なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は194億2千5百万円(同43.2%減少)となった。
 
■ 今後の見通し
 2025 年3月期の通期連結業績予想については、2024年11月5日に公表した下記のとおり。

 売上高6,700億円(前期比4.5%減)、営業利益270億円(同44.0%減)、経常利益210億円(同44.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益180億円(同34.6%減)。

 三菱ロジスネクストの2025年3月期第3四半期決算短信