芝浦機械は12月6日、低コスト・低環境負荷を特徴とする新たな電極製造プロセスの開発を手掛ける米国スタートアップ企業 AM Batteries Inc.(以下、AMB)に出資したと発表した。
■出資の背景
スマートフォンやノート PC など小型の民生品向けから、PHEV(プラグインハイブリッド車) ・BEV(電気自動車)などの車載用向け、住宅用電源装置や基地局向けの大型電源装置向けなど、リチウムイオン電池市場は今後も様々な分野において、世界規模で拡大していくことが見込まれている。市場の拡大を背景に、電池の製造設備についても活発な投資が続くと見られるなか、製造工程におけるコストやエネルギー消費量の削減、有機溶剤の使用や CO2 排出などの環境負荷の低減に対する要請も高まりつつある。
■出資の目的
AMBは、静電スプレー方式を用いた独自の粉体塗装技術により、有機溶剤を使用せずに電極を製造する事が可能な「ドライ電極製法」の開発に取り組む米国のスタートアップ企業であり、2024 年には米国 TIME 誌の America’s Top Greentech Companies 2024 や The Best Inventions of 2024 にも選ばれるなど注目を集めている。 「ドライ電極製法」は、従来の湿式による製法と比較して、製造工程の簡略化や CO2排出量の削減に繋がるだけでなく、電池そのもののコストダウンに貢献することが可能となる。芝浦機械はこれまでも、リチウムイオン電池向けセパレータフィルム製造装置の製造・販売を通じ、国内外の電池製造装置市場において重要な役割を果たしてきたが、将来需要が拡大すると想定されるドライ電極市場への参入や、更にその技術を活用した全固体電池への展開も見据え、今回の出資を決定した。今後、AMBとの連携を通じ、革新的な電極製法の開発に向けて取り組んでいく。
■AMB・Lie Shi CEOのコメント(日本語訳):「ドライ電極技術のリーダーとして、AM Batteries Inc.は電池製造方法の変革に取り組んでいます。芝浦機械株式会社による出資と両社の協業は貴重な専門知識とリソースをもたらし、当社の規模拡大と世界中の電池メーカーに向けたターンキー・ソリューションの提供を加速することでしょう。私たちは共に、蓄電
池産業における新たなスタンダードの確立を目指してまいります。 」
<AMBの概要>
会社名:AM Batteries Inc.
所在地:米国マサチューセッツ州ビレリカ
代表者の役職 ・ 氏名:CEO Lie Shi 氏
事業内容:リチウムイオン電池の電極製造装置の開発・製造・販売
主な出資企業・パートナー TDK Ventures Inc.、Toyota Ventures、Zeon Ventures Inc.など
注)出資条件の詳細については守秘義務の観点から非開示。