コマツ、新世代建機メディア発表会で西浦建機マーケティング本部長らが会見、小川社長はビデオメッセージ

 コマツは11 月27日、幕張メッセ展示ホール (千葉市美浜区)において、建設業界が抱える課題の解決を目指した、「新世代油圧ショベルPC200i-12 メディア発表会」を開催した。代表取締役CEOの小川啓之社長はビデオレターで挨拶、以下の役員が出席して会見に臨み、概ね以下のように述べた。
 常務執行役員 建機マーケティング本部長 西浦泰司/執行役員 スマートコンストラクション推進本部長 四家千佳史/執行役員 商品企画本部長 今城輝政/執行役員 建機マーケティング本部国内販売本部長(兼)コマツカスタマーサポート(株)取締役会長 吉澤 秀樹—-各氏。

■ 小川啓之社長の挨拶
 本日は、ご多忙のところ新商品発表会にお集まりいただき誠にありがとうございます。コマツの小川でございます。労働人口の減少や長時間労働の是正など、皆様の現場においてさらなる生産性を求められていることと存じます。
 PC200i-12型は、コマツとしての大きな決断をした機械となります。今後は国が推進している3D施工は工事のスタンダードになると想定し、20トンクラスの油圧ショベルの標準機は 3Dマシンガイダンスを標準仕様とし、PC 200i12型に統一いたしました。
 そして、世界初となる必要な時に3Dマシンコントロール機能が選択できるサービスをご利用できるようにいたしました。
 この機械のリリースを契機に、皆様の現場の生産性が大きく変わり、コマツが皆様のビジネスパートナーに欠かせない存在になるべく、 今後も精進して参ります。それでは、本日ご紹介させていただきました新世代PC200i-12型を皆様にお披露目させていただきます。限られたお時間ではございますが、お楽しみいただけましたら幸いです。

■西浦 泰司 建機マーケティング本部長の挨拶
 PC200i-12型発表会にお集まりいただき、誠にありがとうございます。建機マーケティング本部の西浦でございます。
 本日は、コマツが3D施工を牽引していくこれからの標準建機として開発した PC200i-12型の紹介をしたいと思います。PC200i-12型の詳細を説明する前に、まず私より 建設業界の直面する課題について話させていただきます。
 現在、建設業界の課題は大きく3つあります。労働力不足と高齢化、自然災害の激甚化、頻発化、インフラの老朽化です。
 まず1つ目の労働力不足と高齢化の進行についてです。2023年に公表された 日本の将来推定人口によると、今後50年で日本の総人口は約3割減少し、65歳以上の高齢者が全体の4割を占める見込みです。
 また、建設業界において、2023年の建設業就業者数は483万人で、 ピーク時の1997年から約30%減少しております。年齢の構成としても、55歳以上の就業者が約36%を占める一方、 29歳以下の割合は約12%と、全産業に比べて高齢化が顕著です。さらに、 2024年には建設業においても時間外労働の上限規制が開始され、建設業界における労働力の不足が非常に深刻で、生産性の向上、働き方改革が急務となっております。
 2つ目は、自然災害の激甚化、頻発化です。我が国は、地震や台風といった自然災害に長年悩まされてきましたが、近年、気候変動によりその頻度や規模が増加しております。災害時の迅速な対応は不可欠ですが、 災害の復旧には多くの人と時間が必要です。労働力不足が進行している中、 復旧と復興の効率化の対応が求められております。
 3つ目は、インフラの老朽化です。社会経済活動の基盤となるインフラの多くは高度経済成長期以降に整備されており、今後20年で建設から 50年以上経過する施設が半数以上に増え、加速度的に増加しております。しかし、 地方自治体の技術系職員が不足していることなどもあり、メンテナンスの対応が追いついておらず、予防保全型のメンテナンスへの転換、維持管理の効率化が必要となっています。これらの課題を解決するために、建設業界では、省人化、 生産性向上を実現する3D施工の取り組みが急務となっております。
 2016年9月、 未来投資会議で安倍元総理が建設現場の生産性革命を提唱され、2025年までに生産性を2割向上させる方針が示されました。この流れの中で、国土交通省は、2016年4月より 建設プロセス全体を3Dデータでつなぐ新しい建設手法、3D施工の普及を推進するicmstructionの取り組みを始めました。コマツもこの流れを受け、 2015年2月から、業界の先陣を切って、3Dデータで現場をつなぐスマートコンストラクションの取り組みを開始し、 多くのお客様に導入いただいております。2013年には世界初のマシンコントロールによるブルドーザー、2014年には世界初のマシンコントロール油圧ショベルなどを発表し、業界をリードしてまいりました。
 私たちは、現場を変えたいという強い思いを胸に、皆様とともに3D施工の標準化を目指して、 本日はその一歩として、3D施工の普及を牽引していく業界の標準建機となるPC200i-12型を発表させていただきます。

■執行役員 スマートコンストラクション推進本部長 四家 千佳史氏の説明

 3D施工の普及の現状、それからスマートコントラクションの取り組み、また今回、3D施工標準建機となりますPC200i-12型の導入の背景についてご説明させていただきたいと思います。
 まず、3D施工の現状でございます。当社は、2016年度から、国土交通省が推進するiphonestructionによりまして3D施工が普及しております。2023年度においては、国土交通省の直轄工事の約87%において3D施工が導入されております。2024年4月には、国土交通省から新たにさらなる生産性向上を目指すiconstruction2.0が発表されております。
 商品化を3割、 それから生産性向上を2040年度までに 1.5倍にするという、 非常に深刻化する労働力不足、建設業界が直面する課題を解消するということでこのiconstruction2.0が発表されました。2025年度には、国交省の直轄工事においては3D施工が原則化されるということになっております。
 私どもコマツは、2015年にスマートコンストラクションの活動を開始いたしました。従来の製品である建設機械、つまり「もの」だけでなく、お客様の施工プロセスを最適化していく様々な「ソリューション」を一緒に提供することで、安全で生産性の高い、スマートでクリーンな未来の現場を実現していこうという活動でございます。
 すでに国内では3万現場、 海外でも1万現場以上にご導入いただいておりまして、いま、日本初のスマートコンストラクション、安全で生産性高い、3D機能を搭載した、ICT3D機能を利用できる安全で生産性高い、スマートでクリーンな未来の現場が世界に広がっているということでございます。
 スマートコンストラクションは大きく5つのステップがございます。まず最初のステップは、建設機械の3D化でございます。3D機能を搭載した、ICT建機だけでなく、後付けで3D機能を利用できる3Dマシンガイダンス、2019年に私ども導入しております。3D施工することにより、建設現場では作業を確認する補助作業員必要なくなるということで、安全も生産性も大きく向上しております。
 また、次のステップは、建設機械だけでなく、建設現場の工事中の地形、それから建設機械以外の、例えば土を運ぶダンプトラックのような車両、そういったものの位置情報をモニタリングすると地形を簡単にスマホで高精度な3次元測量をしてしまうとか、それから作業員とのコミュニケーショション、また作業員の健康状態をモニタリングする等、様々なソリューションによって建設現場全体がICT化してまいります。
 ステップの3番目でございます。その建設現場でICT化された地形、機械、材料、これらが、このデータがつながってまいります。つながった先には、 デジタル空間において建設現場がリアルタイムに、高精度に忠実に再現されますデジタルツインの世界でございます。
 デジタルツインになりますと、建設現場で見落としていた課題、建設現場では見つけることができなかった課題を見つけることができ、その見つかった課題については、 現場監督の経験から生まれてきた色々な経験から出てきた値でですね、まず現場で実行する前にシミュレーションで先にそれが最適解であるかどうか確認ができる。また、経験したことのない課題の場合は、最新のテクノロジーにAIなどを使いまして最適な解、そして最後のステップでございます最適化された施工計画、これを現場で実行しなければ結果が出てまいりません。これを再度、 ICT化された建設機械、 そしてこれらにその計画が分かることによってそれが実行されます。そしてその先に、安全で生産性の高い、スマートでクリーンな未来を見ながら生まれてくるということでございます。
 さて、コマツの3D施工でございますが、先ほど説明したように国交省の直轄工事の3D施工を拡大しております。一方で、実は3D施工というのは、費用が高いとか、 施工する際の準備が大変であるとか、そういったことでなかなかその効果が理解できない、それから難しいということで、地方の自治体の工事や中小規模の工事においてはまだ普及が進んでいないのでございます。
 ただ一方で、建設業が直面する課題、先ほど西浦からも説明しましたが、どんどん課題が深刻化しております。コマツは、このスマートコンストラクションの最初のステップである3D建機による施工、これを拡大して、当たり前にできるようにしていかなければいけない。そう考えまして、今回、土木分野の我々の主力機種であるPC200i-12型については3D施工を標準でできる機能として搭載する3D施工標準値と位置付けました。
 これにより、お客様は、このPC200i-12型を導入いただいた場合、その最初の日から、何の用意もしなくても簡単に3D施工ができるようになってくるということでございます。コマツはこの3D施工を広げていき、また安全で生産性高い、スマートな、クリーンな、未来の限度をですね、どんどん拡大していきたいと考えております。
 今回発売いたしますPC200i-12型は、この施工の自動化、それから遠隔化、無人化、こういった未来の自動施工に向けて実現していく建機となってまいります。こちらの経費については、ソフトウェアのアップデートによりまして様々な機能が今後追加されていくこととなっております。
 コマツはお客様にさらに高い価値を提供することで、お客様により安全で生産性の高い、スマートなクリーンな未来の現場を作っていただきたいと考えております。

■執行役員 商品企画本部長 今城 輝政氏の説明
 PC200i-12型は、建設現場の3D施工が待ったなしの状況の中、 従来ラインナップでご用意しておりましたPC200i-12型プラス後付け機器、PC200i-12型それぞれの持つ機能を1機種に統合いたしました。
 3Dデータを活用して建機のコントロールをサポートする3Dマシンガイダンスを標準搭載。そして、お客様の希望に合わせて3Dデータを活用して建機を自動でコントロールする3Dマシンコントロール選択して利用可能とする研究を開発いたしました。
 PC200i-12型の最大の特徴は、業界初の3Dマシンコントロールを選択可能にした点です。また、 建設現場の内容やフェーズによっては、3Dマシンコントロールの機能が常時必要ではないという場合も存在することから、必要な時に必要な分だけ利用できる3Dマシンコントロール選択可能システムとして、3つのプランをご用意いたしました。
 マシンコントロールを無制限に利用可能なプランマシンコントロールを利用した分だけ後払いするプラン、 マシンガイダンスのみ利用可能なプランです。このようにお客様のニーズに合わせ導入可能とすることで、必要な時に必要な分だけ利用できる3Dマシンコントロール選択可能システムとして、3つのプランをご用意いたしました。
 マシンコントロールを無制限に利用可能なプランマシンコントロールを利用した分だけ後払いするプラン、 マシンガイダンスのみ利用可能なプランです。このようにお客様のニーズに合わせ導入可能とすることで、あらゆる現場で誰もが活用しやすい見気になっております。
 ここからはさらに詳しく、PC200i-12型の特徴について、大きく進化した4つのポイントに分けてご説明させていただきます。
 1つ目の進化はICT機能です。PC200i-12型は、11型で好評だった3Dマシンコントロールの基本機能は踏襲されております。
 設計図面通りに施工できるように刃先が自動制御されたり、設計面に近づくと自動停止したり、 微操作しなくても設計部へなぞるように動いたりすることが可能です。また、従来機に比べ 作業機操作が停止されたことにより、操作性を改善しました。今回新たに掘削した土をダンプに積み込む際、自動で旋回する自動旋回機能を搭載したことで、経験が浅いオペレーターでもストレスなく作業することができます。
 2つ目の進化は安全性です。 4台の高精細、高角カメラで周囲の状況を把握するKomVision機械周囲カメラシステムを標準搭載しており、360度ビューを実現しました。また、本カメラシステムにレーダーを組み合わせたKomVision衝突検知ブレーキシステムにより 人や物を検知し、ブザーによる注意喚起、危険時の速度制御、停止などを自動で行い、 運転者、周囲の作業者の安全を確保いたします。さらに、衝突を避けなければならない単位を設定し自動で停止するジオフェンス機能、建機の転倒を防止する転倒検知警報システムを標準搭載し、 安全性の大幅な向上を実現しております。
 そして、3つ目の進化は快適性です。従来のキャブを刷新し、大型のキャブを採用することで、視界性を向上させ、操作空間を広くし、操作機器や装備類を充実させました。また、オペレーターシートも刷新することで、エアサスペンション、 クッションスライド調整機能の機能などを標準搭載し、座り心地が大きく向上しました。さらに、 見やすく操作しやすいタッチパネル型の機械モニターの搭載、スイッチ類を集合して配置、エンジン始動はキーレススタートシステムを採用。人間工学的に考えられた 最新の電気レバーを搭載することで、詳細操作性が向上しております。オペレーターシートに座ってレバーを握った瞬間、 新しいコマツの建機を実感できるでしょう。
 そして最後、4つ目の進化は、生産性、メンテナンス性です。今回、車体制御システムを刷新し、コマツ独自の電子制御油圧システム、エレクトリックアンドハイドロリックシステムを採用し、 また、新4気筒エンジンを搭載することで、従来機に比べて燃費の大幅低減を実現し、 燃費効率は20%向上、作業量18%、掘削力7%増加、また積載量を可視化する低ロード機能の標準搭載により、作業効率の大幅な向上を実現しております。
 そして、点検部分を集約、効率的に点検できる仕様とし、作動油やフィルターの交換、 エアクリーナーに清掃インターバルを延長させることでメンテナンスコストも20%削減しており、メンタ性の大幅向上も実現しております。 このような進化により、PC200i-12型は、安全で生産性の高い、スマートでクリーンな未来の現場の実現に寄与いたします。
 今後、さらにソフトウェアをアップデートしていくことで、様々な機能が進化していき、お客様がさらに高い価値を想像できるように尽力してまいります。

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