三菱重工サーマルシステムズ、愛三工業の安城新工場向けに帯水層蓄熱システムを受注

・中部地方で初の社会実装となる大規模帯水層蓄熱システム、地下水を冷暖房熱源として有効活用
・最適制御を用いたシステムで、愛三工業が安城新工場で取り組む環境配慮型工場の実現に貢献

 三菱重工グループの三菱重工サーマルシステムズ(東京都千代田区)は11月25日、愛三工業(愛知県大府市)の安城新工場(仮称)において中部地方で初の社会実装となる大規模帯水層蓄熱システムを受注したと発表した。

 ヒートポンプ型ターボ冷凍機を含む三菱重工サーマルシステムズの帯水層蓄熱システムの省エネ性、最適制御技術、運用実績が高く評価され、同工場の施工を担う大林組を通じて受注したもの。三菱重工サーマルシステムズが帯水層蓄熱システムを関西地区以外で初めて社会実装する案件で、国内での導入実績は、実証試験と社会実装で合計5ヵ所目となる。

 今回受注したシステムに採用されたヒートポンプ型ターボ冷凍機「ETI-Z25.HP」は、1台あたりの冷房能力が234冷凍トン(823kW)で、冷水供給に加えて温水供給が可能。冷媒には、地球温暖化係数(GWP)が1と環境負荷の極めて低い「HFO-1233zd(E)」を使用している。同システムは、同工場の空調用に使用され、2025年冬期に稼働を開始する予定。従来方式の空調システムと比較して、高効率ターボ冷凍機の採用に加え自動で最適な運転モードを切り替えるなどの制御技術導入により、年間約50%のCO2排出量削減を見込んでいる。これらが評価され、環境省の「令和5年度(補正予算)二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」に採択された。

 帯水層蓄熱システムは、地中深くの帯水層に蓄えられた砂利や地下水を巨大な蓄熱槽に見立て、冬期暖房時の冷排熱を夏期冷房に利用する一方、夏期冷房時の温排熱を冬期暖房に利用するといった、季節をまたいだ熱の循環利用を可能とすることでエネルギーを有効活用する。三菱重工サーマルシステムズの帯水層蓄熱システムは、「2021年度(令和3年度)省エネ大賞」の省エネ事例部門における「省エネルギーセンター会長賞」(注7)、2022年には「令和4年度デマンドサイドマネジメント表彰」において「一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センター振興賞」を受賞している。

 愛三工業の安城新工場(仮称)は、「ものづくり変革への挑戦」を掲げ、(1)工場全体のカーボンニュートラルの実現(2)DX実現を推進した高付加価値な働き方(3)新たな価値提供を目指してる。物流を含め24時間止まらない全自動ラインの構築・運用や、作業者とロボットが一緒に働く協働ロボットを活用した高効率な生産活動、デジタルデータやIoTを駆使した品質保証など、革新的なものづくりに挑戦している。その中で、カーボンニュートラルを目指したエネルギー循環の取り組みにおいて、三菱重工サーマルシステムズは、最適制御を用いた帯水層蓄熱システムによる自然エネルギーの活用という側面から貢献する。

 三菱重工サーマルシステムズは、地域冷暖房分野や工場空調向けなどに多数のターボ冷凍機を供給し、同分野で国内トップシェアを誇る。今後も、引き続き顧客ニーズに応えるとともに、地球環境負荷の低いターボ冷凍機および空調システムの納入を通じてカーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。

 詳細は、ニュースリリース