アマダ、本社内に次世代型エンジニア教育施設「ATEC」を開設

・ビジネスモデルの進化に向け、DXの推進と人材育成を強化
・顧客工場の未来に貢献

 ㈱アマダは11月21日、神奈川県伊勢原市の本社内に「アマダ・テクニカルエデュケーションセンター(ATEC)」を開設したと発表した。10月より社員のエンジニアリング教育を開始し、国内外 の顧客の製造現場に貢献できる人材の育成を目指している。

 アマダは、DXの推進 と次世代の人材育成をより一層強化することで、時代に即したビジネスモデルの構築を図っているが、同センターの開設は、その取り組みの一つ。

 近年、世界規模の労働者不足や技能継承の問題に対し、製造業ではスキルレス化や自動化への対応が急務となっている。さらには、脱炭素社会の実現に向けた日々の環境への取り組みや、急速なデジタル技術の発展による製造現場でのDXへの対応も喫緊の課題となっている。 持続可能な社会の実現に向けたこれらの課題に応えるためには、ソリューション提案による顧客課題の早期解決と、社員のエンジニアリング力強化が必要と考えている。

 アマダはIoTソリューション「V-factory」の提供を2018年に開始し、2024年11月現在、国内外で 8,000台のマシンと接続している。V-factoryは接続したマシン、ソフトウエア、装置などの稼働状 況をリアルタイムで確認できるモニタリングの機能と、アマダのカスタマーサポートセンターと接続することで、リモートにてマシンの健康状態を診断し予防保全を行うIoTサポートの主に2つの機能で構成されている。V-factoryはIoTの活用により、顧客工場の「今」の課題を見える化し、付加 価値の高い生産を実現していく仕組みとして、データを生かした新たな提案、顧客を待たせないサポートを提供していく。

 今回、顧客課題の解決スピードをさらに加速させるため、アマダ独自のビジネスモデル である直販・直サービスを、データに基づくデジタル営業・サービスへとさらに進化させる新たな取り組み「ADMS(AMADA DX Management Solutions)」を構築した。ADMSはマーケティングデ ータの分析を通じた新たなビジネス機会の創出により、モノづくり産業が抱える社会課題解決を目 指すとともに、より優れた商品・サービスを提供していく取り組み。

 従来の人依存のモデルから本社と現場が一体化したモデルへ変革するため、従来のアマダ独自の営業支援・顧客管理システムをさらに進化させるとともに、V-factory、IoTサポートと同一プラ ットフォームに移行し一元化した。これによりアマダグループ国内既納入約6万3,000社をはじめとする顧客情報のさらなる可視化、分析、共有が可能となり、本社と現場のパフォーマンスをより 一層平準化する。さらに、各種社内情報システムとの連携も強化したことで、見積りや仕様書作成などの間接業務を効率化した。

 セールスエンジニアの提案ツールにおいては、最新ソリュー ションの導入効果を客先でシミュレーション可能なアプリを多数開発。顧客自身がアプリを使用可能な専用サイトも用意した。これらの取り組みにより現場の効率を最大化し、顧客の課題に対してより質の高いスピード感のある提案をすることで、さらなるパートナーシップの醸成を目指す。

 さらに最新の社員教育により、より一層のエンジニアリング力の強化を目指す。近年、顧客ニーズの多様化によりマシンラインナップも多様化が進み、既納入マシンは約200機種におよぶ。また、自動化やDXに対するニーズの高まりから、特にサービスエンジニアにおいては多様なスキルが求められている。

 サービスエンジニアのエンジニアリング力向上、マルチスキル化に向け、オンライントレーニング サイトを構築した。サイトでは個々のスキルを14分類で分析したスキルマップと、試運転やメン テナンスのみならず、ソフトウエアや加工技術、ビジネス提案など独自に作成した約800種類のオ ンラインコンテンツが連携。個々のスキルに応じてリモートでトレーニングを実施することで、サービ スエンジニア全体のスキルの平準化を実現する。

 新たな教育施設「ATEC」1階の実習場には新旧45機種のマシンを設置。マシン本体の分解・組 付けだけでなく、駆動機構やレーザ発振器などの専門知識も習得可能。さらには高まる自動化ニーズに対して、自動化システムとロボットも多数設置。試運転だけでなくプログラム作成から加工まで、顧客への教育が可能なスキルの習得を目指す。2階にはNC装置、空圧・油圧、 専用治工具など、5部屋のシミュレーター室を用意。研修室では特定の危険性を伴う業務を行う場合に必要な、特別教育や職長教育などを実施する。これらの教育を通して36カ国、約1,700人 のサービスエンジニアを、顧客の製造現場に貢献できる次世代型エンジニアへと育成する。さらに、グローバル全社員のエンジニアリング化を推進し、顧客課題の早期解決と満足度のさ らなる向上を目指す。

 アマダは中期経営計画2025における活動として、バランス投資へのシフトにより、成長への未来 投資を高めている。また、アマダグループは「創造と挑戦を実践する人づくり」を人材育成の基 本理念としている。近年の急激な社会変化に対応していくためには、多様な価値観、背景、環 境にある人材が自ら成長し、活躍できる環境づくりが重要であると考えている。今後もDXの推進や人材育成に継続して投資し、社会変化に左右されにくい盤石な経営基盤の構築を進めるとと もに、グローバル環境で活躍できる人材やビジネスリーダー、先端・専門分野における技術人材の 育成強化など、中長期的な戦略を推進していく。

■ATECの概要
名称:AMADA Technical Education Center
所在地:神奈川県伊勢原市石田200 アマダ本社敷地内
建築面積:約3,530㎡(鉄骨、3階建て)
延床面積:約5,199 ㎡

主な機能エリア:
1階 「実習場」:新旧45機種のマシンと自動化システム、ロボットを設置

2階 「シミュレーター室」:NC装置、空圧・油圧、専用治工具など5部屋のシミュレーター室 「研修室・プログラミング室」
3階 「事務所・会議室」
屋上 :「太陽光パネル」 ・容量200kWの太陽光パネルを設置、年間206MWhを発電、CO2排出量を年間80t削減
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