武蔵エナジーソリューションズ、山梨県南アルプス市に新工場建設

・HSCの需要増に対応、年間生産能力を合計 650万セルまで拡大

 武蔵精密工業(愛知県豊橋市)は11月7日、連結子会社である武蔵エナジーソリューションズ(山梨県北杜市)において、新工場を建設すると発表した。

 武蔵エナジーソリューションズは、ハイブリッドスーパーキャパシタ(HSC)の開発・製造・販売を手掛けており、世界でも数少ない大量生産が可能なインフラを保有している。

 HSCは、電気二重層キャパシタとリチウムイオンバッテリーの技術を掛け合わせ、急速な充放電が可能なキャパシタの長所を維持しつつ、大幅にエネルギー密度を高めた蓄電デバイス。長寿命でメンテナンスフリー、かつ安全性が高いといった特長があり、現在は国内外で瞬時電圧低下・短時間停電の補償装置や、軌道交通のエネルギー回生システム、太陽光・風力発電の平準化用途などで採用実績がある。

 北米市場では、生成 AIの急速な普及により、2030年に向けてデータセンターの数が大幅に増加する見通し。これに伴い、今後データセンターで消費される電力量の急増が予想されるとともに、需給の逼迫による電力システムの不安定化が懸念されている。

 これに対し、武蔵精密工業と武蔵エナジーソリューションズでは、データセンター運営事業者等に対して HSC の特性を活かして電力使用量を効率化する独自のソリューションを提案。世界大手の電機電子機器の受託サービス企業である Flex社をはじめとした複数の引き合いを受けており、量産開始の準備を進めている。

これらデータセンター向けの旺盛な需要に対応するため、山梨県北杜市の既存工場の年間生産能力を現在の20 万セルから150万セルへ拡張させる設備投資を実施し、今年度中の完了を予定している。一方で、HSCに対する需要が当初予測を上回るペースで増加しており、これに見合った態勢を構築すべく山梨県南アルプス市に新工場を建設し、年間生産能力を合計 650万セルまで拡大する。

 新工場では、武蔵精密工業の強みである“ものづくり力”を最大限発揮し、新技術の導入と生産プロセスの最適化による QCD+E(品質、コスト、デリバリー+環境)の進化を実現し、事業競争力と収益力の向上を目指す。

<新工場建設の概要>
①連結子会社の概要
名称:武蔵エナジーソリューションズ株式会社
所在地:山梨県北杜市大泉町西井出 8565
代表者の役職・氏名:代表取締役 髙橋 航史
主な事業内容:ハイブリッドスーパーキャパシタおよび蓄電デバイスに関連する装置の開発・製造・販売
設立年月日:2007年8月1日
資本金:3億円(武蔵精密工業株式会社100%)

②新工場の概要(予定)
所在地:山梨県南アルプス市鏡中條字中河原4036 番1
敷地面積:40,461㎡
建屋面積:7,144㎡
操業開始予定日:2026年9月予定
生産能力:年間500万セル

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