DMG森精機 が11月1日に発表した2024年12月期第3四半期累計(1〜9月)連結業績によると、売上収益は3,880億円(前年同期比 2.1%増)、営業利益は300億円(同15.9%減)、税引前中間利益は253億円(同19.7%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は6億円(前年同期は+230億円)となった。
連結受注額は3,815億円となり、前年同期比では4.5%減となった。工程集約機、自動化をはじめとする顧客への価値提案力が向上し、機械1台当たりの受注単価が、2023年度平均の61.9百万円(40.7万ユーロ)から71.5百万円(43.5万ユーロ)へと、円安の影響を除くユーロ換算ベースでも伸長している。
また、連結受注の24%を占めるサービス・補修部品の受注額が前年同期比7%増と、受注の安定に寄与した。一方、顧客の投資意思決定が長期化し、四半期ベースでは、7-9月の連結受注額が前年同期(2023年7- 9月)比7.2%減と、やや減少した。第4四半期(10-12月)も7-9月と同水準の受注を見込み、年度の連結受注見通しを従来計画の5,300億円から5,000億円へと修正した。
地域別受注額は、前年同期比、米州(構成比:21%)が7%増、中国を除くアジア(同:6%)が9%増となった。欧州(同:55%)は4%減、日本(同:11%)は10%減とやや弱含んでいる。中国(同:7%)は、前年同期が過去のピーク水準であったことに加え、昨年から輸出管理をより強化した影響もあり、32%減となった。
産業別の需要は、民間航空機、宇宙、メディカル、金型、発電・エネルギー関連向け受注は堅調に推移してい る。
機械本体の受注残高は、2024年9月末時点で2,490億円と、2023年12月末の2,470億円とほぼ同水準となった。第4四半期(10-12月)の売上収益を1,600億円程度と計画しており、当年度末の受注残高は2,050億円程度と なる見通し。
2023年~2025年を期間とする「中期経営計画2025」でも掲げているとおり、DMG森精機は工程集約・自動化・DX・GXに より、顧客へより付加価値の高い製品、システム、サービスを提供すること、これにより環境負荷を低減させ循環型社会にも貢献するといった、MX(マシニング・トランスフォーメーション)戦略による持続的な成長を目指している。MX推進による顧客の生産性向上とサステナブルな社会の実現を目指して邁進していく。
DMG森精機は2024年9月にドイツ・ミュンヘンで欧州本社の起工式を執り行い、バイエルン州やミュンヘン市、在ミュ ンヘン日本国総領事館、JETROの関係者が出席した。ミュンヘン欧州本社は2026年以降に開所予定 で、DMG森精機グループ欧州最大の開発・生産拠点であるドイツ・フロンテン工場をはじめ欧州の各拠点や世界各地へのアクセスも良いことから、国際的な交流の場となる。1階のショールームには最新の製品・技術を設置し、顧客との商談やトレーニング、ショールーム見学にも活用していく。
また、グループ最大の生産拠点である三重県伊賀事業所が2024年度のデミング賞を受賞した。DMG森精機は従来よりグローバルで統一された品質管理システムを導入し、機械不具合時の製造現場へのフィードバックや、社員による「改善提案」制度などの取り組みを実施してきた。加えて、2017年からTQMを導入後「顧客志向」 の重要性を再認識し、「中期経営計画2025」の中核であるMX実現に向けTQMを推進してきた。今後も全社 を挙げてTQM推進と品質向上を徹底し、継続的な成長を実現していく。
技術面では、SLM方式レーザ金属積層造形機 LASERTEC 30 SLM 3rd Generationの販売を開始した。同機は、 従来機より1.5倍拡大した積層容量で積層造形が可能であり、またレーザ発振器を最大4台まで搭載できるため、 より高速に積層造形を行えるようになった。必要な部分にのみ積層を行うアディティブ・マニュファクチャリ ングは無駄な切りくずの発生を低減し、積層時に使用した金属パウダーや不活性ガスは再利用が可能。また、DMG森精機ベストセラー機であるターニングセンタNLX2500シリーズに、MXを実現する最新技術を結集させたNLX 2500 | 700 2nd Generationの販売も開始しました。従来のマシニングセンタとターニングセンタの2台での加工を同機1 台で行うことや、オプションを用いることで多品種加工や専用機加工の工程集約も可能となる上、工程集約により 消費電力も大幅に削減できる。さらに自動化システムとの組み合わせによる夜間無人運転も可能となり、顧客の生産効率改善とサステナブルな生産現場に寄与する。そして、機械の予防保全と事故・故障時の修理費用を補 償するアフターケアサービスをセットにした「DMG MORI TOTAL CARE」も提供開始した。同サービスは、 DMG森精機の熟練エンジニアが顧客先で機械状態を定期的に診断・メンテナンスの提案を行うプリベンティブメンテナンスと、機械の不具合や操作ミス等による修理費用を3年間補償するアフターケアサービスをセットで提供する。DMG森精機は今後も加工・アフターサービスの両面から、顧客の価値創造やMX導入、そして環境負荷低減を サポートしていく。
人材育成の面では、9月にフランス・リヨンで開催された第47回技能五輪国際大会へターニングセンタ CTX 350 を14台、5軸加工機 DMU 40 Plusを15台の合計29台を提供した。同大会は職業訓練の振興と青年技能者の 国際交流を目的とし、世界中から集まった1,400人の若き技能者が技術を競い合った。DMG森精機は2007年から機械 提供や現場での技術サポート、訓練コースの実施などを通して継続的に本大会へ支援を行っている。今後も将来 の製造業を担う人材育成のための取り組みを行っていく。
また、DMG森精機は資源循環型の社会に向けた取り組みの一環として、自家消費型太陽光発電システムを導入している。2024年3月に伊賀事業所で第2期(約5,200kW)、奈良事業所で第1期(約354kW)の発電を開始し、今後の 発電ターム開始後には各事業所の年間電力需要量の約30%を賄う。2024年2月には、DMG森精機の温室効果ガス排出 削減に向けた取り組みや水リスクの管理体制が高く評価され、国際環境非営利団体CDPによる調査「CDP2023」にお いて、気候変動部門および水セキュリティ部門でリーダーシップレベル「A-」の評価を獲得した。6月に は、DMG森精機およびグループ会社のドイツDMG MORI AKTIENGESELLSCHAFTが、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」の目標において、国際的な環境団体のSBTイニシアチブから認定を取得した。今後 も再生可能エネルギーの活用を拡大し、持続可能な社会に貢献していく。
人的資本経営の面では、2021年に「DMG森精機 健康経営宣言」を発表した。2024年3月には健康経営に優れた上場企業として、経済産業省と東京証券取引所による「健康経営銘柄2024」に初めて選定されたほか、経済産業省と日本健康会議により、特に優良な健康経営を実践している法人を顕彰する「健康経営優良法人2024」の 大規模法人部門「ホワイト500」にも2年連続で認定された。
今後も全社的な健康増進施策を推進し、従業員が健康に個々の能力を発揮できるよう取り組んでいく。
■次期の見通し
連結業績予想及び前提条件については、2024年4月26日の「2024年12月期 第1四半期決算短信」で公表した通期の連結業績予想(下記)を下記に修正した。
2024年12月期の業績(連結)の見通しは、売上収益5,500億円(前期比 2.0%増)、営業利益440億円(同20. 5%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益100億円(同70. 5%減)。
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