川崎重工、パラオ公共事業公社と、脱炭素化促進に向けた「電力システム安定性と運用柔軟性向上を図るプロジェクト組成に関する覚書」を締結

 川崎重工業は10月28日、㈱東光高岳東京電力ホールディングスとともに、パラオ公共事業公社(Palau Public Utilities Corporation)との間で、「パラオ共和国の電力システム安定性と運用柔軟性向上を図るプロジェクト組成に関する覚書を締結したと発表した。

 ディーゼル発電依存からの脱却を推し進めるパラオ共和国では、再生可能エネルギー の大量導入に起因して電力系統が不安定化する問題が顕在化している。太陽光発電や蓄電池といった再生可能エネルギーのインバータ電源は回転部を有する発電機ではなく、回転による慣性を持たないため、外乱に対して電力系統の周波数を維持することができず、その導入比率が増加すると電力系統の安定性が低下して広域停電へと繋がるおそれがある。そのため、再生可能エネルギーの大量導入を図るためには、電力系統安定化効果を有する化石燃料発電の継続的な運用が必要であり、このことがディーゼル発電依存からの脱却に際し大きな課題となっている。

 また、同地では、再生可能エネルギーの技術的特性を理解し、対策技術の導入を推進する人材の育成も喫緊の課題となっている。このような状況から、川崎重工、東光高岳、東京電力の3社は覚書を締結し、以下の課題解決に取り組む。

■覚書での取組み
1) 電力システムの安定性向上
パラオ共和国における、疑似慣性技術であるiVSG※を搭載した蓄電池システムの導入計画と他地域に向けた水平展開計画の立案

2) 運用柔軟性向上
パラオ共和国における、エネルギーシステム高度化に資する人材育成の在り方の検討

 川崎重工は各社と連携し、同覚書での取組みを通じて、パラオ共和国における島嶼部や離島等の小規模系統での再生可能エネルギーの大量導入に際して生ずる課題解決を支援し、カーボンニュートラルの実現に貢献する。

※iVSG(アイブイエスジー)
 川崎重工が開発したインバータ電源の制御方式。太陽光発電などの再生可能エネルギーのインバータ電源では回転部がなく系統の周波数を維持することができないが、iVSGを搭載したインバータ電源ではあたかも回転している発電機と同じように振舞うような制御をすることができ、それによって、系統を安定化する効果が期待できる。
「iVSG」は川崎重工業の登録商標です。(登録商標第6699786号)

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