日立建機が10月25日に発表した2025年3月期第 2四半期累計(4〜9月)の売上収益は、6,657億3千7百万円(対前年度増減率△0.0%)と僅かに減収となった。利益項目については、引き続き原価低減や販売価格の引き上げに取り組んだことに加え、為替が円安基調で推移した影響もあったものの、物量の減少や人件費、研究開発費の増加などが影響した結果、調整後営業利益は、713億1千4百万円(同△13.5%)と減益となった。また、親会社株主に帰属する中間利益については、期末に為替レートが円高に推移したことによる為替差損を主とする一時的な金融費用の増加により、317億4千7百万 円(同△44.8%)となった。
日立建機グループは、2026年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画「BUILDING THE FUTURE 2025 未来 を創れ」のもと、①顧客に寄り添う革新的ソリューションの提供、②バリューチェーン事業の拡充、③米州事業 の拡大、④人・企業力の強化、の4つの経営戦略を掲げて持続的な成長と企業価値の向上に取り組んでいる。
2024年4〜9月期(中間期)における油圧ショベル需要は、金利の高止まり等の 影響を受けて西欧や北米市場を中心に、全般的に減少した。マイニング需要は、アジア向け小型のマイニングショベルは厳しい状況が続いたものの、超大型機械について は比較的堅調に推移した。
このような環境下でも、日立建機グループにおいて、これまで注力してきたマイニング事業及びバリューチェー ン事業は堅調に推移した。一方、米州事業においては、代理店の在庫積み上げが一服したことを背景に、独自展開分の売上収益は、大きく伸長した前年同期比で減少したものの、代理店が最終顧客向けに売るリテール販売は見通し通りに進捗し、シェアは着実に増加した。
■先崎正文 執行役社長兼COOのコメント
今回の第2四半期決算は、営業外の利益項目を除いて、為替効果を含めれば、ほぼ想定内の結果となります。注力するマイニング、バリューチェーン事業は引き続き堅調で、独自展開を進める米州、特に北米の一般建機市場での停滞や代理店在庫の縮減、その影響によって米州事業が対前年で減収となる中、全社の売上収益はほぼ同額を確保することができました。
営業外の利益項目については、9月末の一時的かつ急激な円高もあって前年同期比で減益でございますが、総論として、 厳しい需要環境の中で中期経営計画の各施策の展開が着実にできています。為替の追い風もありますが、ほぼ想定内で進捗しています。
年度の見通しについては、投資意欲の停滞から、現時点では北米需要は年度内の回復を見通しづらいという状況になっています。こうした状況を踏まえ、今回下期の北米の売上収益予想を見直し、年度全体の業績予想を下方修正します。
しかし、北米市場においては、この需要環境でもリテール(小売り)シェア(4→6%)を順調に伸ばしています。独自の事業は現地通貨ベースでも伸長できる見込みであり、独自展開開始以降の取り組みが着実に実を結びつつあると考えています。また、注力してきたバリューチェーン事業も年度当初の計画を上回るペースで拡大しています。
足元の状況は厳しいですけれども、米州、バリューチェーン、マイニング、この3つの分野の長期的な成長により、 収益構造の改善は着実に進んでおります。
中計を締めくくる来年度とその先に向けて、今申し上げた3つの分野をさらに注力し、逆風がありますけど、逆境にひるまず、その実現を目指してまいります。
また、株主還元についても期初の年間計画を維持し、増配を計画しております。どうぞ皆様、ご支援をよろしくお願いいたします。
■セグメントの業績
①建設機械ビジネス
中間期における売上収益は6,058億2千9百万円(同0.6%)、調整後営業利益は643億1千2百万 円(同△13.5%)と増収減益になった。コンストラクション・マイニング事業ともに、部品サービスを中心としたバリューチェーン事業は好調に推移したものの、北米、欧州、アジアをはじめ主要市場での物量減少に加え、人件費や研究開発費が増加したこと等 にり、調整後営業利益は減少した。
②スペシャライズド・パーツ・サービスビジネス
同事業は、主としてマイニング設備日立建機、24年4~9月期売上収益は微減の6,657億円、通期予想は1兆 3,500億円(4.0%減)に下方修正及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社と、サービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子会社で 構成。
中間期における売上収益は、644億7千4百万円(同△2.8%)と減収になった。調整後営業 利益は、減収の影響に加えて、人件費が増加したこと等により、70億2百万円(同△13.8%)と減益になった。
なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値。
■今後の見通し
2025年3月期通期の油圧ショベル需要については、北米においてFRB政策金利引き下げが想定より遅いペースとなったことで、当初見込んでいた下期での市況回復が翌年度以降に遅れる見通しとなった。一方、その他地域では年初来の想定通り、金利の高止まり等の影響を受ける西欧や、総選挙を終えたものの未だ先行きが不透明なインドにおいて前年度比で大幅な減少を見込み、中国も前年度並みの低い需要水準が継続している。これらを勘案し、世界全体の油圧ショベル需要は北米に加えて日本も上期実績を踏まえて見直し、約19.9万台(前年度比△11%)と、前回7月公表時点の通期の見通しから7千台下方修正した。
また、マイニング製品の通期の需要は、一般炭価格が落ち着き、中小鉱山の投資意欲の低下が見込まれることなどから、従来の想定どおり、アジア向け小型のマイニングショベルを中心に減少が続くと見込み、前回見通しを据え置いた。一方で、高い稼働率に伴うオーバーホール需要及び定期メンテナンス需要は引き続き堅調に推移するものと見込んでいる。
以上の市況感を前提に、2025年3月期連結業績予想(24年4月〜25年3月) は、売上収益1兆3,500億円(前期比4.0%減)、調整後営業利益1,510億円(同10.1%減)、税引前当期利益1,270億円(同20.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益800億円(同14. 2%減)と、前回7月公表時点の見通しから下方修正した。利益面も主要市場での物量減少に加え、持続的発展のための人的資本投資の強 化に伴う人件費や研究開発費などを主体とする間接費の増加を見込み下方修正した。
一方で、キャッシュフローは運転資本縮減の改善が進み、上期実績を踏まえて下期も相応のキャッシュを創出できるものと見込み、年間の株主還元については年初計画を維持する。
日立建機は、今後も引き続き、原価低減及び販売価格の引き上げに取り組み、注力している米州独自事業、 マイニング事業及びバリューチェーン事業の成長により、新車需要に左右されにくい安定的な収益体質への転換を図る。
業績見通しの前提となる第3四半期以降の為替レートについては、米ドル141円は据え置く一方、 ユーロ155円、人民元19.8円、豪ドル96円へ変更した。
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