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川崎重工、5MW以上の大型ガスエンジンにおける水素100%燃焼技術を開発

 川崎重工業は10月16日、発電出力5MW以上の大型ガスエンジンにおいて、水素のみを燃料として二酸化炭素を発生せずに安定した燃焼を実現できる技術を開発したと発表した。同技術は、世界初という。

 水素を燃料とするレシプロエンジンでは、水素の燃焼特性の制約から、出力を下げるか、水素を天然ガスと混焼させる方法が一般的。今回の開発では、発電用として豊富な納入実績がある電気着火式カワサキグリーンガスエンジンの単気筒試験機において同技術を適用することで、水素のみを燃料として運転した場合でも、天然ガスを燃料とした場合と同じ出力を維持したまま安定して運転が可能であることを確認した。今後、2030年頃の商品化を目指し、製品実装への最適化と設計を進めていく。

 川崎重工は、地球温暖化やエネルギー資源の枯渇などの環境問題に対応すべく、燃焼時に二酸化炭素が発生しない究極のクリーンエネルギーと言われる水素の活用に注力している。水素は、天然ガスに比べ燃焼速度が速く燃焼温度が高い特性から、異常燃焼が生じる可能性や燃焼室の部品が過熱することによる早期劣化が懸念されていた。川崎重工が開発に取り組んできた「水素燃料に対応したエンジン仕様」と「水素の燃焼特性を調整する技術」を組み合わせることで、異常燃焼や早期劣化を防ぎながら、水素専焼・混焼を問わず、水素と天然ガスの任意の混合比率に応じて燃焼状態を適正に制御することが可能。

 川崎重工は、脱炭素社会に向けた水素エネルギーの普及を見据え、水素サプライチェーン(つくる・はこぶ・ためる・つかう)の技術開発を進めており、中でも、水素ガスエンジンは、日本の二酸化炭素 発生量の約4割を占める発電分野において脱炭素化に大きく貢献する「つかう」分野の重要な製品のひとつ。今後も、現在稼働中の川崎重工製ガスエンジンへの適用など、さらなる水素エネルギー利用の開発を進め、カーボンニュートラルの実現に貢献していく。

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