竹内製作所、2024年3〜8月売上は4. 2%増の1,096億円、営業利益は46.5%増の249億円

・通期売上予想は 2.155億円(1.4%増)に下方修正

・利益面は前回発表予想を上回る見込み

 ㈱竹内製作所が10月10日に発表した2025年2月期第2四半期(2024年3〜8月)連結業績によると、中間連結会計期間の販売台数は前年同期を下回ったが、円安影響と製品価格の値上げ等により、売上高は1,096億6百万円(同4.2%増)となった。利益面は、原材料価格の高騰や2023年9 月に稼働開始した青木工場の減価償却費や労務費等の減益要因はあったものの、円安影響、製品価格の値上げ、及び製品構成や顧客構成の変化等の増益要因により、営業利益は248億6千7百万円(同46.5%増)、経常利益は231億8千7百万円(同35.8%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は、税金費用を63億3千 3百万円計上したことにより、168億5千4百万円(同33.0%増)となった。

 竹内製作所グループは第三次中期経営計画(2023年2月期から2025年2月期まで)において、①人的資本への投資、②製品開発のスピードアップ、③生産能力の増強、④販売網の拡充とアフターパーツの拡販、⑤サステナビリティ経営の推進を重点施策として取り組んでいる。
 2022年9月からセミノックダウン方式によりクローラーローダー の生産を開始した米国サウスカロライナ州の工場に続き、2023年9月に長野県小県郡青木村の青木工場において、4トンから9トンのミドルクラスのショベルの生産を開始。中期経営計画での生産能力目標を 2024年8月末に達成し、既存の本社工場と合わせた生産能力は概ね1.5倍となった。

 中期経営計画の最終年度となる2025年2月期の中間期(2024年3月〜8月)における同社グループの販売台数は、市場全体で建設機械の需要が減速しており、欧米ともに前年同期を下回った。北米では油圧ショベルは好調に推移したが、ミニショベル及びクローラーローダーが伸び悩んだことにより、販売台数は前年同期をやや下回った。
 なお、クローラーローダーについては、買入部品の不具合のため、販売の一部が第3四半期にずれ込んだ影響によるものであり、製品需要そのものは力強さを維持している。欧州では低調な経済環境が継続し、建設機械のみならず全般において投資意欲が減退している。ミニシ ョベル及び油圧ショベルの需要は、国ごとに差はあるものの、総じて低調に推移しており、販売台数は前年同期を大きく下回った。

 また、受注面では、米国の大手レンタル会社からの従来の受注タイミングが当期にずれこんだ影響で、中間期の受注高は973億1千1百万円(前年同期比11.5%増)となった。中間期末の受注残高は、前年度末に比べ122億9千5百万円減少し、1,166億2百万円となった。

 竹内製作所2025年2月期第2四半期データ

■セグメント別の経営成績
(日本) 日本セグメントは、売上高のほとんどが欧州ディストリビューター向けの販売で占められている。欧州では、住宅ローン金利の高止まりとエネルギー価格をはじめとした生活費の高騰により住宅需要が低迷しており、建設投資などの非住宅関連の建設工事需要も軟化している。このような環境下、欧州ディストリビューター向けの販売台数は前年同期を大きく下回り、売上高は331億6千3百万円(前年同期比8.3%減)となった。セグメント利益は、製品価格の値上げ、及び円安影響等により224億円(同79.8%増)となった。

(米国) 米国セグメントでは、住宅ローン金利と住宅価格の高止まり等により、新築住宅の着工件数は調整局面が継続しているが、人口増に対する慢性的な住宅不足を背景に、住宅に対する潜在需要は根強く、足元では金利引き下げ の期待感から持ち直しの動きもみられている。このような環境下、油圧ショベルは好調に推移したが、ミニ ショベル及びクローラーローダーが伸び悩んだことにより、販売台数は前年同期をやや下回った。なお、クロ ーラーローダーについては、買入部品の不具合により、第2四半期で生産が停滞したため、販売の一部が第3四半期にずれ込んだ影響によるものであり、製品需要そのものは力強さを維持している。販売台数は減少したものの、製品価格の値上げ、及び円安影響等により、売上高は629億2千1百万円(前年同期比11.1%増)となり、セグメント利益は69億7千5百万円(同35.0%増)となった。

(英国) 英国セグメントでは、住宅ローン金利の高止まりとエネルギー価格をはじめとした生活費の高騰が住宅需要を押し下げており、市場全体で建設機械の需要が減速している。このような環境下、住宅関連工事で主に使用され るミニショベルの販売が引き続き低迷している。販売台数が前年同期を大きく下回ったことに加えて、販売促進のための値下げを実施したこと等により、売上高は73億4千6百万円(前年同期比1.9%減)となり、セグメン ト利益は1億1千万円(同86.8%減)となった。

(フランス) フランスセグメントでは、住宅ローン金利の高止まりとエネルギー価格をはじめとした生活費の高騰が住宅需要を押し下げており、市場全体で建設機械の需要が減速している。このような環境下にあっても、ミニショベル 及び油圧ショベルの販売台数は前年同期をやや上回り、売上高は61億3千2百万円(前年同期比26.0%増)となり、セグメント利益は5億3千3百万円(同2.5%増)となった。

(中国) 中国セグメントは、日本セグメントに向けた建設機械の部品の製造・販売が事業の大半であり、外部顧客への売上高は4千2百万円(前年同期比18.9%増)となり、セグメント利益は1億9千2百万円(同621.4%増)となった。

■今後の見通し
 2025年2月期(2024年度)の連結売上高は、 2,155億円(前期比1.4%増)、営業利益は445億円(同26.1%増)、経常利益は420億円(同18.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は300億円 (同14.7%増)に修正した。

<修正理由>
 竹内製作所グループの主要販売市場は北米及び欧州であり、住宅関連工事、生活インフラ整備工事、官民の建設投資に同社製品は使用されている。衣食住の「住」に深く関わり、エッセンシャル事業に必要 不可欠な同社製品の需要は、中長期的には安定拡大が見込めると考えているが、足元では4年ぶり にミニショベルの販売が減速している。

 前回発表予想では、北米では根強い住宅需要、老朽化が進む生活インフラ、政策的な建設投資の拡大などを背景に、販売台数の大幅増を見込んでいた。欧州では、長引く物価高による個人消費や住宅需要の低迷、地政学的緊張の高まりなどを背景に、住宅関連工事で主に使用されるミニシ ョベルの販売台数が減少すると見込んでいた。

 上期においては、欧州のみならず北米においても、市場全体の建設機械の需要が減速しており、 同社グループの販売台数は欧米ともに想定を下回った。下期においても、欧米における市場全体の製品需要は上期と同程度を見込むが、北米では、買入部品の不具合により一部のクローラーロ ーダーの販売が下期にずれ込んだこと、及び新規顧客の獲得等の営業努力によって、販売台数は上期を 上回ると予想している。欧州では、英仏の販売子会社で持ち直しを見込むが、欧州全体の販売台数は上期と同程度になると予想している。

 以上により、2025 年2月期の通期の販売台数は、昨年度に比べて北米で 1.6%の増加、欧州で 14.9%の減少、連結で 8.6%の減少を見込んでいる。(前回発表予想では北米で 17.2%の増加、欧州で 10.2%の減少、連結で 1.0%の増加)

 この状況を踏まえて通期の連結業績予想を見直した結果、売上高は前回発表予想を下回る見込みだが、海上運賃の減少及び円安影響等により、利益面では前回発表予想を上回る見込み。

 なお、第3四半期以降の為替レートは、1米ドル=138円、1英ポンド=179円、 1ユーロ=152円、1人民元=19.30円を前提としている。

竹内製作所の2025年2月期第 2四半期決算短信
第 2四半期決算参考資料