日本化学産業、「先進的金属リサイクル事業」に向け、福島県いわき市にパイロットプラント建設

・経済産業省「重要鉱物の供給確保計画」に認定

 日本化学産業(東京都台東区)は9月26日、福島県いわき市の「いわき四倉中核工業団地」にパイロットプラントを建設することを決定したと発表した。

 このプラントは、電気自動車(EV)の使用済み二次電池の金属リサイクルのために、技術実証から事業化に向けた取り組みの一環として建設するもので、2024年度中の着工、2026年3月完成予定で、完成次第、稼働を開始する予定。

 2023年10月、同社は、「新・中期経営計画」を策定・公表した。そこでは、2030年に向けて「循環型社会の実現」と「脱炭素社会の構築」をめざす中で、薬品事業のビジョンとして、「オンリーワン事業」「先端の新素材事業」「先進的金属リサイクル事業」の3つのありたい姿を示しており、現在、その実現に向けて戦略的、積極的な取り組みを続けている。

 同社は、長年にわたって、金属リサイクルに必要な分離・精製技術、並びに電池材料の研究開発に取り組んできた。これらの独自技術を組み合わせて、相乗効果を発揮させることで、EVの使用済み二次電池に含まれる、ニッケル、コバルト、リチウム等の金属を分離・精製し、再びEV向け電池材料に戻すことが可能となるため、パイロットプラントでの技術開発を加速させていく。

 さらに、この技術開発をベースに量産化、事業化を進め、さまざまなパートナーと協働することで、EV向け電池の「クローズドループ・リサイクル」を実現し、当社だけでなく、サプライチェーン全体の環境負荷低減をめざす。

 なお、同パイロットプラントの建設ならびに技術開発については、経済産業省から「重要鉱物の供給確保計画」の認定(2024重要鉱物第1号-1)を受けている。

<実証用パイロットプラントの概要>
建設予定地:福島県いわき市「いわき四倉中核工業団地
概算投資額:約31億円
処理能力:ブラックマス*として約60トン/年
稼働開始:2026年4月予定
*回収後の電池を粉砕してできる、さまざまな金属が混じった粉体。

 ニュースリリース