三井金属、全固体電池向け硫化物系固体電解質「A-SOLiD」の「初期量産工場」を新設

 三井金属鉱業(東京都品川区)は9月24日、成長分野の1つと位置づけている全固体電池(※1)向け硫化物系固体電解質「A-SOLiD(R)(※2)」について、事業創造本部 総合研究所 敷地内(埼玉県上尾市原市1333-2) に「初期量産工場」の新設を決定したと発表した。

 次世代の蓄電池として期待されている全固体電池は、電気自動車(EV)をはじめとした幅広い用途で開発が進んでいる。同社は、長年培った電池材料技術を活かして開発したA-SOLiD(R)をそのキー・マテリアルと位置づけ、顧客や市場パートナーの皆様と全固体電池の実用化に向けた取り組みを進めている。

 同社は2019年に固体電解質の量産試験用設備を埼玉県上尾地区に導入して以降、2度にわたる生産能力の増強を決定し、顧客における全固体電池開発ニーズに積極的に応えてきた。その結果、国内外における全固体電池開発競争が活発化する中、同社固体電解質は複数の顧客において開発標準材料として位置づけられ、更なる需要が見込まれている。

 その中でも、一部の顧客においては2027年近傍に全固体電池を搭載したEVの初期市場導入が計画されており、同社固体電解質が電池特性を左右するキー・マテリアルとして採用される見通しが高まってきた。

 かかる状況を鑑みて、同社としては更なる生産キャパシティーの確保、および革新的生産プロセス開発を目的として埼玉県上尾地区に固体電解質の「初期量産工場」を新設することを決定した。初期量産工場は2027年の稼働開始を予定しており、高効率な生産方式を採用することにより、これまで以上に顧客の全固体電池の実用化に貢献できることを見込んでいる。また、現在稼働中の量産試験棟と合わせ、当社は世界最大規模の固体電解質の生産能力を備えることになると見込んでいる。

 同社はパーパスである「探索精神と多様な技術の融合で、地球を笑顔にする。」を基軸に、EV用途をはじめ、全固体電池ならではの新しい用途を創造し、サステナブルな社会作りに貢献していく。参

【用語解説】
※1 全固体電池:高エネルギー密度化、高入出力特性、高耐環境性などの特徴を有し、特殊環境下における用途や新しい蓄電用途および電気自動車(EV)用途において精力的に開発が進められており、一部は実用化段階を迎えている。
※2 A-SOLiD ®:同社が開発した固体電解質は、有機電解液と同等水準の高いリチウムイオン伝導性を有し、電気化学的にも安定な「アルジロダイト型硫化物固体電解質」であることを特徴とし、 「A-SOLiD®」として商標登録をしている。同ブランドのもと全固体電池の普及に貢献していく。

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