・環境に対する影響をリアルタイムに遠隔監視、ソリューションを提案し、鉱山運営全体の最適化に貢献
日立建機は9月2日、環境に対する影響をリアルタイムに遠隔監視し、ソリューションを提案するオーストラリアのEnvirosuite Ltd(エンバイロスイート社)に1,000万豪ドル(約9億5,000万円)を出資し、同社の約12%の株式を取得し主要株主になると発表した。
出資は2回に分けて行い、9月の1回目の投資で同社株式の約11%を取得し、その後の投資と合わせ約12%分を取得する。
この協業により、日立建機はエンバイロスイート社の技術と日立建機の鉱山業界での経験、日立建機の100%子会社であるウェンコ社の鉱山運行管理システムやソリューションを活用し、環境に対する影響をリアルタイムに遠隔監視し鉱山現場の安全と生産性を維持しながら環境負荷低減につながる最適なソリューションを提案し、鉱山運営全体の最適化に貢献する。
鉱山現場は24時間365日稼働しており、作業者の安全・健康を保つ現場環境づくりおよび地域社会に対する環境負荷の低減は鉱山会社にとって持続可能な資源採掘のために不可欠。
エンバイロスイート社は総合的に環境管理ソリューションを有し、世界中で事業を展開している。鉱山・一般産業・航空・産業廃棄物処理業の顧客が操業上の環境に対する影響を管理してリスクを軽減することを支援する。具体的には、操業データ、科学的手法、気象条件に基づき、大気品質・粉じん・騒音・臭気・振動・水質の状態をリアルタイムで遠隔監視する。そして、顧客が安全と生産性の向上をめざしながら、地域社会や利害関係者と良好な関係性を維持することをサポートする。例えば、AIを活用して騒音データを詳細に分析し、騒音の要因を解明して顧客にソリューションを提案する。
日立建機は、鉱山機械が使われる採掘工程だけでなく、グループ会社のリソースを活用して選鉱工程まで事業領域を拡大しており、鉱山現場における多様なタッチポイントを有している点が強み。
中でもカナダにあるウェンコ社は、世界各地の露天掘り鉱山を中心に約150 の現場に導入実績がある世界有数の鉱山運行管理システムの開発・販売・保守を手掛けている。日立建機とウェンコ社は、2020年に鉱山機械を24時間リアルタイムで遠隔監視するサービスソリューション「ConSite Mine(コンサイト・マイン)」を共同開発するなど、鉱山現場の生産性・安全性の向上、ライフサイクルコストの低減につながるソリューションを強化してきた。また2021年にはウェンコ社の鉱山の安全性向上に寄与するソリューションを強化するため、脳波とAIテクノロジーを活用した疲労検知技術を持つスマートキャップ社を買収した。
今後、日立建機がエンバイロスイート社に出資した資金は、鉱山業界向けの環境管理ソリューションの拡充と拡販に投資される。日立建機は自社の製品にエンバイロスイート社のソリューションを組み込むことで、鉱山現場の安全と生産性を維持しながら環境負荷低減につながる最適なソリューションを強化する予定。
なお、日立建機グループは、鉱山機械見本市「MINExpo INTERNATIONAL 2024」(2024年9月24日~26日、場所:米国ネバダ州ラスベガス)の日立建機ブース(No.8649)で、エンバイロスイート社や他のパートナーとのデジタルソリューションを展示する予定。
日立建機グループは、さまざまなビジネスパートナーやスタートアップとのオープンイノベーションを強力に推進し、マイニングオペレーション全域において多様なタッチポイントで革新的ソリューションを提供していく。
■エンバイロスイート社 CEO ジェイソン・クーパー氏のコメント:
私たちは日立建機グループと共に、世界的にトップレベルの鉱山業界向けサービスに参入できることを嬉しく思います。私たちは、日立建機とその子会社とともに、世界の鉱山業界の操業管理と環境責任の新たな基準を構築していきたいと思います。1,000万豪ドル(約9億5,000万円)の投資と協業契約は、何か月にもわたる検証と議論の末に実現したものであり、当社の技術が業界最高水準であることを実証されたことを意味します。今回の協業により、エンバイロスイート社の環境管理技術と日立建機のソリューションを組み合わせ、鉱山現場全体の操業に最適なソリューションを提供することで、世界中の鉱山会社が生産性とESGの目標を達成できるように支援していきます。
■日立建機 執行役常務 マイニングビジネスユニット長 福西 栄治氏のコメント:
このたび、エンバイロスイート社に出資する機会を得ることができ、大変嬉しく思います。同社の数十年にわたる経験と環境・社会的責任へのコミットメントは、鉱山会社の生産性の向上を支援しながら、環境負荷の軽減をサポートしています。これは日立建機のビジョンである「豊かな大地、豊かな街を未来へ 安全で持続可能な社会の実現に貢献します」と一致します。今回の出資を通じて、エンバイロスイート社が有するソリューション、データサイエンティストによる分析力、サブスクリプションビジネスの知見・ノウハウを活用させていただき、日立建機 マイニング事業のソリューションの深化につなげてまいります。
<エンバイロスイート社の概要>
代表者 CEO:Jason Cooper
本社所在地:オーストラリア ビクトリア州 メルボルン市
設立:2006年 (創業1990年)
事業内容:環境管理ソリューションを提供する環境テック企業。航空事業者、マイニング事業者、政府機関など向けた大気の品質、騒音、水質、排ガスなどの環境ソフトウエア、ハードウエアの提供。
拠点数:米州、欧州、オセアニア、東南アジアを中心に15拠点
従業員数 274人(2024年8月時点)
ウェブサイ: https://envirosuite.com/
画像:鉱山現場の環境状態を遠隔監視(エンバイロスイート社提供)
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