㈱荏原製作所は7月29日、2023年9月に開発を発表した新しい構造を採用した無漏洩型液体アンモニア用キャンドモータポンプを、㈱JERA 碧南火力発電所の燃料アンモニア転換実証向けに納入し、現地でのアンモニア実液を用いた運転に成功したと発表した。
■背景
世界的な脱炭素化の流れの中、アンモニアは⽔素を低コストで効率良く運ぶことができるエネルギーキャリアとしての役割に加え、燃焼時にCO2を排出しない特性を活かした燃料として、温室効果ガス削減に有効であると期待されている。一方で、アンモニアは毒性・臭気を持つことから安全に取り扱うことが必要。荏原は、従来品に対しより安全なアンモニア実液の移送実現に貢献するため、新しい構造を持つ無漏洩ポンプとして同製品を2023年に開発した。
■概要
今回納入した同製品はモータ部分まで液体アンモニアに没液させる構造を採用することにより、外部へ液体アンモニアを漏洩させずに運転できる点が特徴。今回の実証試験において、同製品は発電所内の屋外環境に設置され、アンモニア実液を用いて様々なパターン・負荷で運転を実施し、そのいずれにおいても性能面、機能面で良好な結果を得ることができた。運転中は従来品に対して静音で、液体アンモニアの漏洩も一切見られず、設計構造の確実性だけでなく、安全面や環境負荷低減につながることも同時に確認することができた。
■今後の展開
温室効果ガス（CO2）の削減を目的としたアンモニアの利活用は世界的に数多く計画されており、火力発電所をはじめとするサプライチェーン全体の中で無漏洩型ポンプの需要が拡大していくと考えている。荏原は低温から極低温液を取り扱う実績を豊富に持つ世界有数のポンプメーカとして、今後も燃料アンモニアをはじめとするサプライチェーンの普及に貢献していく。ま
荏原グループは、長期ビジョンと中期経営計画に基づいてESG重要課題に取り組むことで持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指し、企業価値のさらなる向上を図っていく。