コマツが7月29日に発表した2025年3月期の第1四半期(4~6月)連結業績によると、連結売上高は9,598億円(前年同期比6.7%増加)となった。建設機械・車両部門では、一般建機の売上げは減少したものの、鉱山機械の売上げが、アジア以外の地域で堅調 に推移した。加えて、円安及び各地域での販売価格の改善の影響などにより、売上高は前年同期を上回った。産業機械他部門では、自動車産業向けの大型プレスの販売増加と半導体産業向けエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、売上高は前年同期を上回った。利益については、建設機械・車両部門の販売量減少などの影響はあるものの、円安の影響や各地域での販売価格の改善により、営業利益は1,570億円(前年同期比6.8%増加)となった。売上高営業利益率は前年同期を0.1ポイント上回る16.4%、税引前四半期純利益は1,505億円(同1.6%増加)、株主に帰属する四半期純利益は1,097億円(同4.1%増加)となった。
コマツは、2025年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value – Together, to “The Next” for sustainable growth」において、①イノベーションによる成長の加速、②稼 ぐ力の最大化、③レジリエントな企業体質の構築を成長戦略の3本柱として掲げ、収益向上とESG課題解決の好循環による持続的成長を目指すサステナビリティ経営を引き続き重視し、需要変動に左 右されにくい事業構造の構築に向け、活動を進めている。
■部門別の概況
[建設機械・車両]
建設機械・車両部門の売上高は8,943億円(前年同期比5.6%増加)、セグメント利益は1,423億円 (同2.8%増加)となった。
自動化・自律化・遠隔操作化に向けた取り組みにおいては、鉱山向け無人ダンプトラック運行シ ステム(AHS)の導入を着実に進め、24年6月末時点の累計導入台数は754台となった。また、 24年4月より、日本市場にて、事務所などの安全・快適な環境から複数の現場の油圧ショベルを切 り替えて遠隔操作できるシステム「Smart Construction Teleoperation」の販売を開始した。
電動化に向けた取り組みにおいては、24年4月にフランスのパリで開催された建設機械の展示会 「INTERMAT」にて、今後、欧州市場への導入を予定している2トンクラスの電動ミニショベルのプ ロトタイプを展示した。また、電動化建機向けの給電ソリューションの実現に向け、水素混焼 エンジンを用いた可搬式の発電機のコンセプト機を開発した。
重点活動の一つである坑内掘りハードロック事業の拡大に向けた取り組みにおいては、小型のジ ャンボドリル「ZJ21」とボルター「ZB21」の2機種について、バッテリー式電動車仕様を発表した。また、24年7月1日にドイツの坑内掘り鉱山機械メーカーであるGHH Group GmbHの買収を完 了した。
■地域別の概況
<日本> 日本では、レンタル向けの新車需要が減少したものの、販売価格の改善などの影響もあり、売上高は前年同期並みに推移した。
<米州> 北米では、一般建機の需要は、レンタル、エネルギー関連向けが減少したものの、インフラ向けは堅調に推移した。売上高は、鉱山機械の販売増加や、円安、販売価格の改善の影響などにより、前年同期を上回った。
中南米では、経済の先行き不透明感などにより、一般建機の需要が減少したものの、鉱山機械の 販売増加や、円安、販売価格の改善の影響などにより、売上高は前年同期を上回った。
<欧州・CIS> 欧州では、金利やエネルギー価格の高止まりの影響で、主要市場であるドイツ、英国のほか、イ タリアなどを中心に一般建機の需要が減少したことから、売上高は前年同期を下回った。
CISでは、ウクライナ情勢に起因したサプライチェーン及び金融・経済の制約の影響から、売上高 は前年同期を大幅に下回った。
<中国> 中国では、不動産市況の低迷などに起因した経済活動の停滞はあるものの、主に部品の売上げが増加したことにより、売上高は前年同期を上回った。
<アジア・オセアニア> アジアでは、最大市場のインドネシアで鉱山機械の販売が減少し、一般建機も公共事業の予算執行の滞りなどにより需要が減少したことから、売上高は前年同期を下回った。
オセアニアでは、一般建機の需要は減少したものの、円安の影響や鉱山機械の部品・サービス売 上げが増加したこともあり、売上高は前年同期を上回った。
<中近東・アフリカ> 中近東では、一般建機の需要は減少したものの、UAEやエジプトでのプロジェクトなどにより販売が増加し、売上高は前年同期を大幅に上回った。
アフリカでは、鉱山機械の販売増加や、円安の影響により売上高は前年同期を上回った。
[リテールファイナンス]
リテールファイナンス部門では、円安や受取金利率の上昇、金融債権の増加などにより、売上高 は305億円(前年同期比33.2%増加)、セグメント利益は76億円(同20.4%増加)となった。
[産業機械他]
産業機械他部門では、自動車産業向けの大型プレスの販売増加や、半導体産業向けエキシマレー ザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、売上高は455億円(前年同期比12.6%増 加)、セグメント利益は50億円(同160.9%増加)となった。
■次期の見通し
2024年4月26日に公表した2025年3月期の連結業績予想(下記)に変更はない。
売上高3兆8,610億円(前期比0.1%減)、営業利益5,570億円(同8.3%減)、税引前当期純利益5,180億円(同10.0%減)、株主に帰属する当期純利益3470億円(同11.8%減)。
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