積水化学工業、タイ工場で合わせガラス用中間膜の生産能力を増強、投資額は約80億円

 積水化学工業の高機能プラスチックスカンパニーは7月22日、タイ(ラヨン県)の合わせガラス用中間膜の生産拠点に「新製膜ライン」を増設することを決定したと発表した。

 今回の生産能力増強にかかる投資額は約80億円で、新製膜ラインは2026年度下期の稼動を予定している。また、新製膜ラインでは、ヘッドアップディスプレイ(HUD)用くさび形中間膜を中心とした高機能製品群(N-HPP*1)を生産する計画。

■背景・目的
 中間膜事業部では、自動車や建築物で使用される合わせガラス用中間膜の製造・販売をグローバルに展開しており、自動車向けの中間膜市場では世界トップシェア(2023年度、積水化学工業推測)を誇る。世界の自動車生産台数は今後、年率1~2%程度で成長し、2030年には98百万台(2023年90百万台)*2に達すると予想されている。加えて、新エネルギー車(EVなど)へのシフトが加速しており、合わせガラス用中間膜は、フロントガラスのみならずサイドガラスやルーフガラスなど使用される部位が広がるとともに、補修需要も拡大していることから、自動車生産台数を上回る需要拡大を見込んでいる。

 さらに、安全性・快適性・省エネ性など自動車性能に対するニーズの拡大を受けて、HUD対応、デザイン、遮音・遮熱など高い機能を付加した中間膜については、年率5%以上の高い成長率で推移すると考えている。

 このようなニーズを背景に、2017年下期にメキシコ工場(モレロス州)で遮音中間膜を、そして2020年下期にオランダ工場(ルールモンド市)でHUD向けくさび形中間膜の本格的な生産を開始した。そして今回、タイにHUD用くさび形中間膜、カラー/デザイン中間膜を中心としたN-HPPの生産ラインの増設を決定した。

 積水化学工業は、今後も、成長を続ける自動車産業と社会課題解決に貢献する高機能で高付加価値な製品の開発・提供を通じて、サステナブルな社会の実現に向けて取り組んでいく。

*1 N-HPP:New-High performance productsの略。従来の高機能膜から遮音膜を除き、それ以外のHUD用、遮熱、カラー/デザイン膜を総称するものの

*2 各種資料を基に積水化学工業推測。

<タイ工場の概要>
所在地:SEKISUI S-LEC(THAILAND)CO., LTD. (当社100%出資、社長:鈴木康幹)
64/31 Moo4 Eastern Seaboard Industrial Estate, T .Pluakdaeng A. Pluakdaeng Rayong 21140, Thailand
生産品目:合わせガラス用中間膜(通常膜、遮音膜、遮熱膜、カラー/デザイン膜、HUD用くさび形膜)
増強する生産能力:自動車700万台分/年の増強

 ニュースリリース