東芝エネルギーシステムズ、浜川崎工場とインド製造拠点の生産能力を増強、旺盛な再エネ需要に対応

 東芝エネルギーシステムズ(神奈川県川崎市)は7月18日、世界的な再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入拡大などにけん引され、送変電機器の需要がグローバルで拡大していることを受け、同機器の国内外の製造拠点において増産投資を行うことを決定したと発表した。東芝エネルギーシステムズの浜川崎工場(神奈川県川崎市)およびインドの東芝電力流通システム・インド社(以下、TTDI)において、2024年度から2026年度までの3年間で総額約200億円の投資を予定しており、これにより両拠点の生産能力をそれぞれ23年度比で約1.5倍に引き上げる。

 東芝エネルギーシステムズは、「電気をつくる、おくる、ためる、かしこくつかう」ための機器・システム・サービスを提供している。送変電機器は電気を「おくる」ために使われ、発電所から電気を利用する需要地点までの変電所に設置され、電力の安定共有において重要な役割を果たす。

 東芝エネルギーシステムズは、電気の通り道を開いたり閉じたりするスイッチの役割を担う「開閉装置」、電力を効率よく送るために電圧の上げ下げを行う「変圧器」、雷からの大電流を地面に逃がし電力設備を保護する「避雷器」などの送変電機器を100年以上製造しており、これまで信頼性の高い製品をグローバルで提供してきた。また、変電所などの顧客の送変電設備の運用・保守を支援するため、デジタル技術を用いたサービスの強化にも取り組んでおり、デジタル技術を活用した信頼性の高い設備管理を通じて、設備寿命の延長や、設備の効率的な運用に貢献している。

 世界的な再エネ導入拡大の潮流の中、近年、国内外で送配電機器の需要が急拡大している。再エネは一般的に分散して発電されるため、開閉装置や変圧器、避雷器といった送変電機器全般のニーズが高まっている。

 また、国内においては、再エネ関連以外の分野でも需要が伸びている。電力会社が高度経済成長期に整備した設備が更新時期を迎え、送変電機器の更新需要の増加や、大規模工場の受電設備の更新などが計画されている。半導体工場の新設や増強による需要増も期待されている。さらに、減少傾向にあった国内の電力需要は、生成AIの急速な拡大期待によるデータセンターの開設にけん引され、増加に転じる見込み。

 東芝エネルギーシステムズは、こうした旺盛な国内外の需要に対応するために、浜川崎工場およびTTDIの生産能力を増強する。浜川崎工場においては開閉装置や変圧器の組み立てラインを増強する。

 TTDIはインド市場に加えて、これまでに50カ国を超える地域に変圧器を供給しているが、今後も継続して需要の伸長が見込まれることから、最終消費地に近い変電所向けの「配電用変圧器」および発電所に近い変電所向け「電力用変圧器」それぞれについて、組み立てや試験ラインの能力を増強する。また、高まる避雷器のニーズにこたえるため、24年度上期中に避雷器の製造設備を新設し、下期よりTTDI製避雷器の販売を開始する。

 東芝エネルギーシステムズは、送変電事業を注力事業と位置付けており、国内外の電力会社や製造業のカーボンニュートラルと社会インフラの品質確保に貢献している。今後も製造能力の増強や新技術の開発に向けた投資を継続し、効率的な保守サービスの開発・ソリューションの提案を積極的に行っていく。

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