日揮ホールディングスは7月2日、海外EPC事業会社である日揮グローバルが、タイ王国のセメント製造大手の一つであるサイアム・セメント・グループ(以下、SCG)から、同社のセメント工場排ガスからのCO2分離回収・利用(CCU:Carbon dioxide Capture and Utilization)設備に係るPre-FS(Pre-Feasibility Study:事前事業化調査)役務を受注したと発表した。
セメントは、原料として炭素と酸素を含む石灰石を燃焼させて製造するため、その製造過程で大量のCO2を排出するため、電力、鉄鋼と並んでCO2排出量が多い産業の一つと言われている。世界的にCO2排出削減が求められているなかで、タイ王国のセメント産業においても、CO2排出削減は喫緊の課題となっている。
今回受注したCCU設備のPre-FS役務は、SCGが所有するセメント工場から排出されたCO2を大気放出前に回収し、新たなケミカル製品に転換するCCU設備の建設に向けて、CCU技術のライセンサーの検討、CO2回収設備やケミカルプラントの必要生産能力、および経済性などの検討を行う。
SCGは、タイ王国を代表する企業グループとして循環型のビジネスモデルへの転換を推進・強化しており、タイ政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」の達成を牽引する企業の一つであり、同プロジェクトはSCGのネットゼロを実現する戦略の一つ。
日揮グループは、将来のEPC役務受注に向けて、同プロジェクトの実現をサポートしていくほか、今後タイ王国においてCO2排出削減が課題となる産業を対象に、CCU関連の技術および経済性の高いビジネスモデルの検討・提案を進め、同国の脱炭素社会の実現に貢献していく。