総合空調メーカーのダイキン工業と産業用ボイラメーカーの三浦工業は、5月30日に開催された両社の取締役会で資本業務提携することを決定したと発表した。
今回の提携では、ダイキンが三浦工業に出資し発行済株式の4.67%を取得、三浦工業はダイキンの100%子会社である㈱ダイキンアプライドシステムズへの出資を行い、発行済株式の49%を取得する。両社が持つ製品や技術・サービスなどの事業ネットワークを活用することで、業種によっては1つの工場で使用される総エネルギーの50%相当に関与することが可能になる。両社は、日本各地の工場で空調や蒸気ボイラ、水処理システムなど熱・空気・水に関するトータルソリューションの提案をワンストップで実施し、工場市場でのカーボンニュートラルの実現に向けた具体的な協業を開始する。
ダイキンは、ヒートポンプやインバータなどの環境技術を活かした、省エネ性の高い空調機を製造・販売し世界170ヵ国以上で事業を展開している。グローバル各地域の特性や市場用途に応じた商品を展開し、顧客のニーズに合ったソリューションの強化を進めている。ダイキンアプライドは、食品・医薬品・化学・電機など各種工場の冷却加熱設備や産業用空調設備、環境試験室、クリーンルームなど、空気・熱に関わるモノづくりの現場で最適な現場の提供をめざし、さまざまな提案を行っている。
一方、三浦工業は、産業用ボイラのトップメーカーとして、工場・ビル・病院など暮らしのあらゆる熱源となる蒸気ボイラをはじめ、水処理機器・食品機器・メディカル機器等の製造・販売・メンテナンスを行ってきた。国内には顧客の工場内を熟知した1,200名を超えるフィールドエンジニアが、機器のメンテナンスを行うとともに、顧客にとって最適な熱のソリューションを提案している。
カーボンニュートラル実現をめざし、国や企業での取り組みが加速している。工場は、電力消費量やCO2排出量において多くの割合を占め、省エネ、再生可能エネルギーを活用した仕組みの導入が必要とされている。
今回の提携では、ダイキンの省エネ・環境性能が高い空調・冷熱関連の豊富な製品群を軸に、ダイキンアプライドが培ってきたエンジニアリング力をベースにしながら、三浦工業の工場を中心とした顧客への提案や設備運用・サポートといったフィールドサービス力を融合し、工場全体での省エネやCO2排出量の削減等の課題解決につなげる。ひとつとして同じ設備のない産業用の熱利用の現場においてさまざまな熱の融通を可能にすることをめざし、熱のゼロエミッションへの挑戦を幅広く加速していく。
将来的には、日本で確立した工場でのソリューションメニューを世界各地に広げ、世界の生産現場における脱炭素化に貢献していく。