安川電機、ロボット技術とアステラス製薬の製薬技術を融合した細胞医療プラットフォーム構築で覚書締結

 ㈱安川電機は5月21日、5月17日(金)に、アステラス製薬とロボット技術と製薬技術の融合による革新的な細胞医療プラットフォームの構築に向けた覚書を締結したと発表した。なお、覚書は両社間の提携に関する法的拘束力のない覚書であり、今後、両社の間で具体的な検討を進めていくこととなる。

 同覚書に基づき、細胞医療分野における研究初期から製品化に至るまでをシームレスにつなぐことで、高品質な細胞医療製品の製造と研究開発期間の短縮を実現する、新たな細胞医療プラットフォームを共同で創出することを目指す。そして、両社で開発したプラットフォームをスタートアップやアカデミアに提供し、薬機法*1に基づく治験薬製造への投資を軽減するとともに、イノベーションの発掘、育成に寄与できる優位性のあるサービスの構築も目指す。

 細胞医療製品の新薬承認までの開発においては、作業プロセスが熟練者の「匠の技」に頼っており、安定性・再現性が低いという製品製造の難しさがスタートアップやアカデミア単独で細胞医療を事業化することの大きな障壁の一つとなっている。また基礎研究からGMP (医薬品の製造管理及び品質管理の基準)に沿った製造あるいは商業生産への技術移転が困難かつ大規模・高額な製造関連投資が必要となるなど多くの課題を抱えている。

 そのようななか、アステラス製薬は2017年末に、安川電機子会社であるロボティック・バイオロジー・インスティテュート(以下RBI)が開発・販売しているバイオ向け双腕ロボット「まほろ」を導入し、細胞医療の創薬研究および製造技術研究を進めてきた。今回の取り組みにおいては、この「まほろ」を活用し、細胞医療における革新的な細胞製造技術、臨床開発および細胞医療に関連する当局の規制に関する知見を、プラットフォームの構築に向けて提供していく。

 一方、安川電機では新中期経営計画「Realize 25」の主な戦略のひとつとして、メカトロニクス応用領域の事業拡大を掲げ、クリーン環境で動作するロボットを医療・食品・農業向けなどに開発・販売してきた。これまで培ってきた技術を細胞医療に活用する取り組みを強化しており、安川電機が提唱する自動化にデジタルデータ活用を加えたソリューションコンセプトi3-Mechatronicsの展開も見越した今回の取り組みを通じ、細胞医療分野を起点とした医療領域における安川グループの価値を高めていくことを見込んでいる。

 両社の相互の強みを生かした細胞医療の取り組みは、新薬の製品化・安定供給・収益化を加速させるとともに開発環境の改善などにつながるものであり、アステラス製薬との協業を通じて医療領域におけるサステナブルな社会の実現に貢献していく。

*1薬機法:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律。

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