・HC事業は2.5%減の1,344億円、24年度予想は3.8%減の1,293億円
カヤバ(KYB)が5月10日に発表した2024年3月期(2023年度)連結業績によると、売上高は4,427億81百万円(以下、前期比2.7%増)となった。営業利益については224億17 百万円(31.1%減)、税引前利益は213億61 百万円(32.8%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は158億18 百万円(41.9%減)となった。
2023年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動制限の緩和が進み、景気回復の 動きが見られたが、一方で、中東地域を含めた地政学リスクの高まりによる不安定な世界情勢やエネルギー資源の高騰、インフレ加速に対する各国の金融引締め政策といった景気減速のリスクは依然として残されている。
こうした中、わが国経済は、海外からの入国者増加や政府による賃上げ方針といった景気循環の下地があるもの の、円安基調による物価高の長期化が需要抑制要因となって個人消費は足踏み状態であり、構造的な人手不足問題や中国経済の減速等により、不確実性が高まる中で先行きの見通しづらい経営環境が続いている。
カヤバグループの事業に関する市場においては、自動車関連で需要の持ち直しがみられたものの、建設機械関連では中国市場を中心に需要が大きく減速したことや二輪需要の変動、米国や中米・欧州での生産性の悪化等によ り、2023年度は前年比で厳しい経営環境となった。
■セグメント別の業績
<AC事業>(オートモーティブコンポーネンツ)>
同セグメントは、四輪車用油圧緩衝器、二輪車用油圧緩衝器、四輪車用油圧機器とその他製品から構成。
四輪車用油圧緩衝器は、中国市場における需要は減少したものの、北米や欧州における半導体不 足からの回復によるOEM製品の生産増、円安による為替影響等により、売上高は2,149億円と前年度に 比べ6.3%の増収となった。
二輪車用油圧緩衝器は、東南アジアや中国での需要減少により、売上高は413 億円と前年度に比べ10.0%の減収となった。
以上の結果、同セグメントの売上高は2,930億円と前年度に比べ4.8%の増収となったものの、北米 や欧州での生産性悪化のためセグメント利益は165億円と前年度に比べ23億円の減益となった。
<HC事業 >(ハイドロリックコンポーネンツ)
同セグメントは、産業用油圧機器、システム製品、その他製品から構成。
建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、主要な市場である中国での需要減少の影響を大きく受け、売上高は1,245億円と前年度に比べ4.4%の減収となった。
以上の結果、同セグメントの売上高は1,344億円と前年度に比べ2.5%の減収となり、セグメント利益は54億円と前年度に比べ21億円の減益となった。
<航空機器事業 >
同セグメントは、航空機器用油圧機器から構成。
北米における一部製品の生産終了等により、売上高は39億円と前年度に比べ11.5%の減収となり、セグメント損失は20億円と前年度に比 べ6億円の減益となった。
<特装車両事業及びその他>
同セグメントは、特装車両等から構成。
コンクリートミキサ車を主とする特装車両において、半導体不足等の影響緩和により、国内得意先の需要が回復傾向にあることから、同セグメントの売上高は114億円と前年度に比べ23.7%の増収となり、セグメント利益は11億円と前年度に比べ5億円の増益となった。
■今後の見通し
新型コロナウイルス感染症収束や半導体不足の解消等により、今後の世界情勢は、緩やかに回復していく一方、インフレの高止まりやウクライナや中東など地政学的な緊張の長期化など、先行きは依然として不透明な状況が続くものと予想される。
四輪車用油圧緩衝器を中心としたAC事業は、今後も緩やかな回復が続くと想定されることから、2024年3月期比で増収を予想している。
また、建設機械用油圧機器を中心としたHC事業においては、中国の市況低迷、欧州の需要減等により2024年3月期比で減収を予想している。
2025年3月期(2024年度)の連結業績予想は以下のとおり。
売上高4,480億円(前期比1.2%増)、セグメント利益215億円(2.6%増)、営業利益225億円(同0.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益135億円(14.7%減)。
なお、業績予想における 為替レートについは、1USドル143円、1ユーロ155円を前提としている。
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