SMC 、23年度売上は5.8%減の約7,769億円、24年度予想は8.1%増の約8,400億円

・当面の目標 は引き続き「2026年度に売上高1兆円」

 SMCが5月14日に発表した2024年3月期(2023年度)連結業績によると、売上高は、7,768億73百万円(前期比5.8%減)となった。所在地別で は、主に中華圏(中国・香港・台湾)が前期比で14.8%減少した。販売先業種別では、半導体業界向けの 低調が続いていることが主な減収要因だった。

 営業利益は1,962億26百万円(同24.0%減)となった。製品等販売量の減少、原材料費の増加、人件費の増加、及 び減価償却費の増加を主因とする製造原価や費用の増加により前期比で減益となった。経常利益は2,510億8百万円(同18.0%減)となった。主に、為替差益は減少したものの、受取利息の増加額がより大きかったことにより、営業利益に比較して前期比の減益幅が縮小した。親会社株主に帰属する当期純利益は1,783億21百万円(同 20.6%減)となった。

 SMC2024年3月期通期データ

 2023年度は、長期化するウクライナでの戦争、中東での紛争勃発、 世界的な金融引締めの動き、米中関係の冷え込み、中国経済の減速懸念などから先行き不透明感が強まり、幅広い業種において設備投資を手控える動きが続いた。
 自動制御機器(空気圧機器)の需要は、半導体・電機関連は、日本・アジア・北米など各地域で設備投資の抑制・先送りの動きが継続した。自動車関連は、欧米を中心にEV関連投資はあったが、前年度高水準だった中華圏のEVバ ッテリー需要が大きく落ち込むなど、総じて低調に推移した。工作機械関連は、半導体関連需要の不振や中国 の景気減速などにより、調整局面が続いた。医療機器関連、食品機械関連及びその他の業種向けは、コロナ後 の新たな省人化・自動化需要はあるものの、伸び悩んだ。

 このような環境においてSMCグループは、中長期的な需要拡大に備えて製品供給体制の強化のための設備投資を積極的に推進するとともに、顧客のCO2排出量削減に貢献できる新製品開発やソリューション提案、BCP体制の構 築、グローバル人材の活用などの課題に引き続き取り組んだ。

■今後の見通し
 2025年3月期(2024年度)は、ウクライナ及び中東における戦争の長期化、米中貿易摩擦、各国の金融引締めによる景気減速懸念、物価上昇、為替変動による影響など、不透明な状況が継続すると見込んでいる。市場別では、半導体・電機関連は、足元は設備投資が低迷しているものの、徐々に需要回復の兆しが見えてきて おり、年半ばから後半にかけて半導体関連を中心とした回復を見込んでいる。自動車関連は、欧米を中心にEV関 連需要の増加を見込んでいる。工作機械関連、食品機械及び医療機器向けは、労働力不足による自動化・省力化需要の増加が見込まれる。
 このような状況において、SMCグループは、「2026年度に売上高1兆円」の中期目標を掲げ、積極的な設備投資、BCP体制の構築、非空圧製品・省エネ製品の拡販、低圧化等のソリューション提案に努めて、各地域でのシェアアッ プと原価低減、生産性の向上を図る。

 次期の連結業績については、1米ドル=146円、1ユーロ=158円、1人民元=20円50銭の為替レートを前提に、 売上高8,400億円(前期比8.1%増)、営業利益2,340億円(19.3%増)、経常利益2,740億円(9.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益 1,940億円(8.8%増)と予想している。

 SMC の2024年3月期決算短信