加藤製作所、23年度売上は横ばいの575億円、営業利益は31%増の16.5億円

・24年度予想は、21.7%増の700億円、営業利益は27.0%増の21億円

 ㈱加藤製作所が5月14日に発表した2024年3月期(2023年度)連結業績によると、売上高は574億9千8百万円(前年同期比99.9%)と、前期並みの水準で推移したが、中期経営計画で掲げた収益性改善・強化の各施策の効果が発現したことに加え、外貨建て売上債権の為替差益もあり、営業利益は16億5千4百万円(前年同期比131.4%)、経常利益は25億7千5百万円(前年同期比 138.1%)となり、利益面では大幅な改善が図れた。

 また、2023年2月に公表した連結子会社であるKATO WORKS(THAILAND)CO.,LTD.の工場売却により14億1千7百万円を特別利益に計上する一方、加藤(中国)工程机械有限公司における生産一時停止を受け、事業構造改善費用1億2千1百 万円、工場設備の減損損失7億6千4百万円を特別損失に計上した。また、 繰延税金資産の回収可能性を見直し た結果、法人税等調整額(△は利益)△13億8千6百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は42億3千5百万円(前年同期比176.3%)となった。

 2023年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行したことにより、社会経済活動正常化が一段と進んだこともあり、景気は緩やかに回復した。 一方、世界経済は、欧米での金融引締めに伴う景気下振れやウクライナ問題および中東情勢の悪化など地政学リスクの拡大・長期化への懸念に加え、中国経済における不動産市況の低迷が継続するなど、依然として不透明な状況が続いた。
 このような状況下、加藤製作所は2022年度を初年度とする中期経営計画のもと基本方針として掲げた「収益性改善・強化」「財務体質の改善」「将来の基盤構築」の各施策を継続的に取り組んだ。

 加藤製作所2024年3月期通期データ

■セグメント別の経営成績
①日本
 国内向け建設用クレーンの売上高は、一部機種の主要部品供給制約の影響等により296億7千3百万円(前年同 期比94.1%)と減収となった。海外向けの売上高は、アジア向けが回復し、44億7千2百万円(前年同期比 120.7%)となった。
 国内向け油圧ショベル等の売上高は、競争激化による影響を受け、78億3百万円(前年同期比91.4%)と減収となった。海外向け油圧ショベル等は、米国向けが堅調に推移し、売上高は82億8千4百万円(前年同期比 131.4%)となった。
 これにより日本の売上高は511億9千万円(前年同期比100.4%)、セグメント利益は20億2千2百万円(前年同期比 109.6%)となった。

②中国
 中国においては、市場の低迷を主因に厳しい販売環境が続き、売上高は22億9千9百万円(前年同期比77.4%)となり、セグメント損失は12億1千万円(前年同期はセグメント損失9億7千2百万円)となった。

③欧州
 欧州においては、売上高は56億4千6百万円(前年同期比104.4%)と前期並みの水準を維持したものの、原材料高騰の影響を受けセグメント利益は7千1百万円(前年同期比53.7%)となった。

④その他
 その他の地域においては、KATO(THAILAND)CO.,LTD.の操業停止により売上高は発生せず(前年同期は1億6千5百万円)セグメント損失は7千6百万円(前年同期はセグメント損失8千4百万円)となった。

■主要品目別売上高の状況

①建設用クレーン
 国内売上高は296億7千3百万円(前年同期比94.1%)と一部機種の主要部品供給制約の影響等により減収となった。海外売上高は、アジア向け輸出が回復し、45億6千万円(前年同期比124.3%)となった。
 これにより建設用クレーンの売上高は342億3千4百万円(前年同期比97.3%)となった。

②油圧ショベル等

 国内売上高は、競争激化による影響を受け、78億3百万円(前年同期比91.4%)と減収となった。 海外売上高は、中国市場の低迷が継続した一方、米国向けが堅調に推移し、145億4百万円(前年同期比112.5%)となつた。
 これにより油圧ショベル等の売上高は223億8百万円(前年同期比104.1%)となった。

③その他
 その他の売上高は9億5千5百万円(前年同期比105.2%)と前期並みの水準で推移した。

■今後の見通し
 加藤製作所グループは中期経営計画の最終年度として、「収益性改善・強化」「財務体質の改善」「将来の基盤構築」に加え、次期中期経営計画での飛躍への橋渡しとして、欧米市場の堅持とアジア地域の再編成等によりグローバル 戦略マップを完成させ、一層の運転資本効率化に取り組んでいる。

 2025年3月期の連結業績見通しについては、国内の生産・販売台数増加により売上高700億円(前年同期比 21.7%増)、営業利益21億円(前年同期比27.0%増)、経常利益については、為替影響が不透明な事もあり、15億 円(前年同期比41.8%減)を予想している。

 2024年5月14日に公表した子会社である加藤中駿(厦門)建機有限公司が中国福建省厦門市において製造・販売しているミニショベル事業について、2024年6月に期限を迎える2社間での合弁契約の期間延長は行わず、同社の清算を前提に両社が保有する株式の処分を含めた協議を合弁先との間で進めている。
 また、もう1つの中国拠点である加藤(中国)工程机械有限公司を含めた中国事業の根本的な見直し及びインドにおける新規事業など海外事業の見直しを行っている。これらにより、親会社株主に帰属する当期純利益については、精査中であるため、判明しだい公表するとしている。

 加藤製作所の2024年3月期決算短信
 決算説明資料