日立建機の先崎正文社長は5月13日、新年度メディア合同ミーティングを開催し、2023年度を振り返るととともに、24年度における建設機械の世界需要、中期経営計画の進捗状況などについて概ね次のように語った。以下、順不同で内容を抜粋。
■先崎社長の挨拶
皆さん、おはようございます。この間、我々が主催する霞ヶ浦マラソンに参加し、先週はカザフスタン、アフリカの鉱山を回ってきましたので、非常に日焼けをしております。現地でいろんな話をしてると、本当にやらなきゃいけないことが明確に見えてくるような気がしており、いろんなところを走り回ってるっていうのが現状です。
先月、23年度の決算を発表をさせていただきました。本日は、まず23年度の話、そして24年度の話、もう1つは 中期経営計画の進捗状況についての考え方の話の3つを簡単に説明させていただきます。
23年度決算に関しては、いま我々がやっている方向性、米州(北中南米)、マイニング、そしてバリューチェーン、こういったところがしっかりと進捗しているということを示せたと思っております。この結果として、売上収益、調整後営業利益、 当期利益の部分も過去最高を達成することができました。
24年度についても為替対応しなきゃいけないと思っていますが、慎重に見させていただいています。そして、中型ショベルを中心とする需要動向っていうのは弱く見るべきであるというふうに考えております。為替の影響を除けば、売上収益も過去最高の23年度と同じように置いていますし、 利益ベースでは上振れします。繰り返しになりますけど、 米州、マイニング、そしてバリューチェーンも、24年度は、最高であった前年度を超えていくことを積極的に盛り込んでいるというふうに私は思っております。この中で、新車需要というものは若干弱いけれども、その中でも我々は別のストーリーを持って進められているということを示した24年度の予想ということになります。その中でも、今回は年度の配当を示さしていただいたという中身になっているというふうに考えております。
最後に、中計ですが、こちらも年度決算発表会の中でも総括させていただいたましたように、「BUILDING THE FUTURE 2025 未来を創れ」という副題を出させていただいているように、 未来を作りつつあるというふうに思っています。
3年の中計の初年度23年度はああいう結果であり、24年度もいま申し上げた内容で進められています。これから技術の「日立建機」ということの中で、ICT、IOT、こういったソリューションということを行う遠隔操作、これも順調に進められています。電動化についても、いま千葉県の方で「ZERO EMISSION EV-LAB 」というのを5月に開設するということを認められているように、こちらの方でもある一定のプレゼンスを示しながら、実際にお客様にどうやったらソリューション、電動というソリューションを機械だけではないインフラとかその使い方、こういったところのソリューションを提供する素地を作りつつあります。
そして最後に、今回私がアフリカに行った理由の1つというのが 、トロリー式電動バッテリートラックの 現地での組み立てが十分に進んでいて、来月その施工が始まるということに先立って、その進捗を確認するとともに、その技術の信頼性をお客様とコミュニケーションするということをやってきております。
そういう中で、我々は技術というものをマーケットに示して、 そしてESG、特にゼロ・エミッション化、そしてサーキュラーエコノミーというところで貢献していくんだということを中計で示していくということをやっておりますので、この中計の進捗も 順調というふうに考えております。
■質疑応答(一部を抜粋)
・・・・・ 2023年度の業績を振り返って全般的にどう見ているか。
先崎社長:2023年度の業績に関しては、 総括すると過去最高ということは継続できましたので、これについてはある一定の満足感はあります。ただ、例えば在庫に関する部分ですとか、それから営業外のところの見通しの部分とか、こういうものが少しずつ違っています。これは、特に、私は生産をやってきたこともありますので、棚卸しの考え方について 少し強気な発言をしましたけれども、結果としてはこういう数字で終わっているんで、これはやはりアメリカの事業をやっていくのにやはり在庫というのはある程度必要だということを見直しながら、24年度は適切な在庫計画にしていくということを含めてやっていくっていうこともあります。
・・・・・油圧ショベルの世界需要推移で23年度に中国が大きく落ちているが、中国のリスクと見通しについては。
先崎社長:もちろんどこの国でもリスクというのはあります。中国のリスクというのは、やはり市場が読みづらいということになる。実際に中国には100数十万台という中・小型油圧ショベルが稼働している。それがどうやって現地で動いていくのか、特に政府や地方政府の主導する財政出動というものを、ある予想の中で各社が事業環境を見ながら、油圧ショベルのような機械設備に投資していく中で、事前に機械を確保するという行動をするわけなんですけども、その波というのが実際に起きる実需に加えて、ああいう世界ですから事前に持っておこうというような波(仮需)があります。そこに今回のようなある一定の不況が来ると、秩序と違う世界っていうのが中国は他の国に比べて多いというふうに思っています。そこをどうやって読みながらいくかということ。加えて、 やはり現地の建設機械メーカーが、物量とかいろんな中国特有の中で、あれだけの低価格で、世界、特に東南アジアの方に来ている。こういうものに対するリスク、それをどうやって我々は「別世界」を作っていくのかっていうことをこれからもやっていく。ただ、中国にはチャンスも多くございまして、あえて言うことでもないですけれども、中国の事業ということは継続をしていきます。
中国の魅力というのは、まだまだ当然あるわけで、市場の大きさだけではなく、サプライヤーの多様さや、レベルということがございます。あれだけ電動に対する政府主導の動きというのがありますので、それが世界の潮流の可能性を秘めている。そのところに対して我々は、中国でも電動のサプライヤーを探したり、その時に現地の工場を最大限使っていく、こういう施策を展開してまいります。
結果として、我々は日本でモノを作りますけれども、中国でも作っていく、そしてインドでも作っていく。こういう中で、グローバルの供給を、そして新しい潮流になる可能性を我々はそこで探っていくということを考えています。
・・・・・マイニング需要については。
先崎社長:マイニングの需要というのは 、2022年から23年にかけて、「バブル」とは言いませんけれども、かなりの需要があった。それは、コロナ後の世界の状況という中で、これは建設系もそうでしたけれども、各国政府がいろんな支援を打ち出し、特に建設は経済波及効果が期待できるんだと思うので、こういうところに投資をするっていうことで需要が生まれた。世界需要は、20年にコロナ禍で低下したものが、22、23年にかけて一定の戻りがあった。それが24年度は落ち着くという意味合いで下がったように見えますか、高い水準にあります。
2024年5月13日 会見より当サイト編者が抜粋
*なお、上記記事は当サイト編者が「聞いた、また概略そのように聞こえた」という感覚で編集していることをお断りします。建設機械業界は専門性が高いため、詳しく知りたい場合は、日立建機がIRページ等で公開している経営資料を参照されたい。
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