東京計器、23年度売上は6.5%増の471億円、24年度予想は21.5%増の573億円

 東京計器が5月10日に発表した2024年3月期(2023年度)連結業績によると、売上高471億6,600万円(前期比6.5%増)、営業利益27億6,600万円(同111.0%増)、経常利益29億9.000万円(同12.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益22億7,700万円(同160.9%増)となった。

 東京計器2024年3月期通期データ


 2023年度における世界経済は、米国では堅調な景気拡大が続いたが、その一方で欧州の景気は低迷した。その中で、中国経済の低迷、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化、各国の金融引き締めの継 続等により、景気回復への影響が懸念される状況が継続した。
 我が国経済においては、日米金利差を背景とした円安の継続や、エネルギー価格の高止まり等の影響によ り物価が上昇し、景気の回復は緩やかなものにとどまる等、先行き不透明な状況が継続した。
 このような経営環境の下、東京計器グループは、2021年6月に開示した「東京計器ビジョン2030」を実現させるた め、中期事業計画の基本方針である「事業領域の拡大」、「グローバル化の推進」、「既存事業の継続的強化」 に取り組んだ。

 「事業領域の拡大」については、油空圧機器事業において、国立研究開発法人産業技術総合研究所とギ酸 からの高圧水素製造装置の小型・実用化モデルの共同研究開発を開始した。また、防衛・通信機器事業にお いて、宇宙事業の拡大を図るため、小型衛星の複数機同時生産を可能にする宇宙棟を竣工した。

 「グローバル化の推進」については、ベトナムの油圧機器生産子会社の更なる活用を進めるために、生産品目を拡充した。

 「既存事業の継続的強化」については、船舶港湾機器事業において、公益財団法人日本財団が推進する無 人運航船プロジェクトMEGURI2040における「無人運航船の社会実装に向けた技術開発助成プログラム」にコンソ ーシアムのメンバーとして参加し、ワーキンググループのリーダーとして主導的な立場で活動した。また、 防衛・通信機器事業において、昨今の防衛予算の増加を背景とする受注増に伴い、増産体制の強化と将来の新た な製品の開発・生産を行うために、防衛管理棟の建設を開始した。加えて、その他の事業において、鉄道機器事業の販売拡大を図るため、鉄道保線業務の安全・効率化に貢献する新製品「軌道検査省力化システム」をリ リースし、大手鉄道会社に初号機を納入した。

 このような取り組みの下、東京計器グループの2823年度における業績については、船舶港湾機器事業に おいて海外市場が好調に推移するとともに為替相場が円安に推移したことや、防衛・通信機器事業において、海上保安庁向けの新規案件の納入等により売上高は前期比で増収となった。また、利益については、油空圧機器事業をはじめとした販売価格の適正化や製品構成の変化により原価率が改善したこと等から、全ての利益 項目で大幅な増益となった。

■ セグメント別の業績

〔船舶港湾機器事業〕

<売上高の状況> 海外市場において、東アジアでの新造船向けや欧米での在来船向け機器が増加したこと、及び保守サービスが好調だったことに加え、為替が円安に推移したことから前期比で増収となった。

<営業利益の状況>

 原材料価格高騰の影響があったものの、売上高の増加や円安効果により、前期比で大幅な増益となった。

〔油空圧機器事業〕

<売上高の状況> プラスチック加工機械市場や海外市場は低調に推移したものの、建設機械市場が堅調に推移したことに加え、ダムゲート向け油圧応用装置の納入が増加した結果、前期並みとなった。

<営業利益の状況> 販売価格の適正化による利益確保の取り組みが進展したこと等から、黒字に転換した。

〔流体機器事業〕

<売上高の状況> 民需市場、海外市場は低調に推移したものの、官需市場においては下水道及び河川ダム向け案件が、消火設備市場においては、前期に引き続き「ガス系消火設備の容器弁の安全性に係る点検」に基づく部品販売及び交換工 事が好調に推移したため、前期比で増収となった。

<営業利益の状況> 消火設備市場における部品販売及び交換工事の売上高の増加により原価率が改善し、前期比で増益となった。

〔防衛・通信機器事業〕

<売上高の状況> 通信機器事業においては放送局向け機器が順調に推移し、防衛事業においては艦艇搭載機器が好調に推移したことに加え、海上保安庁向けWEB通報システムの新規納入があったことから前期比で増収となった。

<営業利益の状況> 売上高の増加、及び製品構成の変化による原価率の低減により黒字に転換した。

〔その他の事業〕

<売上高の状況> 同事業では、検査機器事業において販売価格適正化の効果等により増収となったものの、鉄道機器事業における主力の超音波レール探傷車の販売減により減収となった。

<営業利益の状況> 検査機器事業において販売価格の適正化により原価率が改善したものの、鉄道機器事業における主力の超音波レール探傷車の販売減により、前期比で減益となった。

■今後の見通し
 2025年3月期については、原油・原材料価格の高騰等に端を発した物価上昇、各国の金融引き締 め継続による景気回復の遅れと円安の継続への懸念が残る中で、ウクライナ情勢や米中対立、中東情勢等の地政 学リスクの一層の高まりや米国大統領選挙結果の影響等、不確実な状況が継続すると見込まれる。
 このような経営環境の中、次期の見通しについては、防衛・通信機器事業で売上増が見込まれていること に加えて、他事業も堅調に推移することから、全体として下記のとおり増収増益を予想している。

 2025年3月期の連結業績予想は、売上高573億円(前期比21.5%増)、営業利益35億6,000万円(同28.6%増)、経常利益37億8,000万円(同26.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益28億5,000万円(同25.2%増)。

 東京計器の2024年3月期決算短信

 決算説明資料

 中期経営計画