DMG森精機は2月27日、設備メーカーの GLOCK ecotech GmbH(オーストリア、以下、GLOCK 社)、エンジニアリング担当のテス・エンジニアリング(大阪市淀川区)、との 3 社共同の取り組みにおいて、木質バイオマス発電のガス化炉メンテナンスフリー連続稼働 2,000 時間を達成したと発表した。
DMG 森精機では、持続可能な社会の実現を目指す取り組みの一つとして、2022 年 5 月より CO2 排出量が実質ゼロとなる GLOCK 社製の木質バイオマスガス化熱電併給設備を伊賀事業所(三重県)に導入し、運転を開始している。同設備は木質チップ原料を蒸し焼き(ガス化)にすることで、可燃性ガスを取り出し、電気と温水を生み出す。電気は、発電施設に隣接する塗装工場の動力・空調・照明用電力の約 25%を賄い、温水は塗装工場の洗浄液の温度管理と、燃料チップの乾燥に使用している。焼却灰は、DMG 森精機の葡萄圃場にて、バイオ炭として有効利用することを計画している。また、同プロジェクトは、木質チップ原料を近隣の伊賀・名張地域から間伐材を調達することで、地域の森林整備と林業振興に寄与することも重要な目的としている。
一般的に木質バイオマスガス化熱電併給設備は、蒸し焼きを行なうガス化炉内に付着物が堆積し、閉塞トラブルが発生するため、安定稼働に向けて適切な予防メンテナンスが必要。日本の木質バイオマスは灰融点が低いため、この閉塞トラブルが特に発生しやすく、DMG 森精機ではこれまで約 500 時間ごとにガス化炉内のメンテナンスを実施していた。ガス化炉メンテナンスフリーの時間拡大に向けて、3 社で共同し、木質チップの品質改善と、チップ微粉を除去するためのふるい装置の追加、GLOCK 社によるガスフィルタの目詰まり解消機能の改良など、検証と実験を繰り返してきた。その結果、これまでの一般的な目安とされる 500 時間を大きく上回る連続稼働 2,000 時間を超えることが出来、年間稼働率も 65%から 80%以上まで高めることができた。
<設備概要>
・メーカー :GLOCK ecotech GmbH(オーストリア)(www.glock-ecotech.com)
・設備 :木質バイオマスガス化熱電併給設備
・定格発電出力 :18kW
・定格熱出力 :44kW
DMG 森精機は、持続可能な社会の実現に向けて、再生可能エネルギー導入の取り組みを積極的に進めている。同設備の活用と共に、今後もさらなる木質バイオマスの利活用について、引続き取り組んでいく。
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