コベルコ建機と安藤ハザマは2月29日、自動運転ショベルの本格展開を視野に、「重機搬入からシステム稼働までの時間短縮」と「現場人員での運用」という実際の作業現場で求められる実用性について、シールド工事現場で検証したと発表した。
建設現場の生産性向上と現場無人化による本質的な安全の確保の実現を目的に、お互いの強みを活かして油圧ショベルの自動運転システム開発に取り組むため、両社は 2019年4月に共同研究に関する協定を締結した。コベルコ建機は油圧ショベルの自動運転システムの開発を、安藤ハザマは現場へ適用するための施工と安全に対する管理システム開発や現場運用ルール化を担い、これまで段階的に油圧ショベルの自動運転の実現に向けて実証実験を重ねてきた。
2019 年秋にはティーチングとプレイバック※1 による油圧ショベルの単純な自動運転の実証実験を、2020年秋には土砂形状、ダンプトラックの荷台位置を人口知能(AI)で認知し、掘削、積込み位置を自動調整により 現場の状況変化に対応できることの実証実験を行った。
さらに 2021年 12 月の実証実験では、実作業環境での自動運転に必要とされる基本的な機能と、AI により 侵入物体や人を検知・認識、距離測定することで、危険度に応じた各種警報を自動的に発報するという安全確保 の仕組みが問題なく作動することを確認した。一方で、現場人員だけで自動運転ショベルの初回システム設定 を行うのは難しく、稼働開始までに時間が掛かってしまい、またショベルを自動運転するための日々のシステム 操作も難しいという実用面での課題が残った。
そこで、これらの課題を解決するために、下記 2 点を改良したうえで、2023 年 12 月、安藤ハザマが施工中 のシールド工事現場において、自動運転ショベルでダンプトラックに土砂積込みを行い、実用性を検証した。
◎自動運転ショベルの初回システム設定が短時間で完了し、稼働までの所要時間を短縮 短時間で自動運転ショベルの初回システム設定を完了できるように手順書を作成した。加えて、タブレッ ト内のアプリについて自動運転システム設定画面のユーザーインターフェース(UI)を再設計したことで、ショベル搬入から自動運転システムの初回設定までを半日程度で完了できた。
◎現場人員の誰もが自動運転ショベルを扱え、2 週間スムーズに稼働アプリは自動運転システム操作画面についても直感的に扱えるように UI を設計し直した。また、分かりやすい取り扱いマニュアルを作成した。これにより 2時間弱の教育で、現場人員の誰もが自動運転システムを操作できるようになった。また、自動運転システムの日常点検リストを作成することで、日々の点検業務を現場人員でスムーズに行えた。誤操作などによるトラブルは発生せず、2 週間、自動運転ショベルを安全に稼働できた。
機能面と安全面に加え、今回の検証により、実用面でも現場における自動運転ショベルの本格展開について一定の目途がついたと考えている。コベルコ建機と安藤ハザマは、これらの共同研究の成果をもとに、今後、自動運転の適用工種の拡大と現場展開に向けた取り組みを加速させていく。
※1 自動運転ショベルにおいて、ティーチングとはプログラム作成のために重機の動作を「記録」すること、プレイバックとはその記録した動作を 「再生」すること。
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