ナブテスコ、23年売上は8.1%増の3,336億円、24年予想は3.5%減の3,220億円

 ナブテスコが2月13日に発表した2023年12月期(1〜12月)の連結業績によると、航空機器において民間航空機や防衛省向けでの需要回復が見られたこと、また舶用機器では新造船向け及び環境規制対応でのMRO(Maintenance, Repair, Overhaul)需要が好調だったことに加え、自動ドア事業では国内での建物用ドアの堅調な需要及び海外市場での為替効果により、売上高は同8.1%増加し333,631百万円となった。

 営業利益は、トランスポートソリューション事業での増収による増益はあったものの、コン ポーネントソリューション事業では下期での需要減少による影響、人件費や電力価格の高騰と 価格転嫁の遅れ等による減益影響があった。

 なお、第4四半期ではGilgen Door Systems AG(以下、Gilgen社)に係るのれんの減損損失、及びOVALO GmbH(以下、OVALO 社)に係る固定資産の減損損失の影響があった一方で、土地建物交換差益を計上した ことにより、営業利益は、同4.0%減少し 17,376百万円となった。

 また、㈱ハーモニック・ドライ ブ・システムズ(以下、ハーモニック社)株式の売却完了に伴う評価益等を計上し たことにより、税引前当期利益は同62.6%増の25,629百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は同53.8%増の14,554百万円となった。

 なお、受注高は、前期比0.9%増加し332,780百万円となった。

 ナブテスコ2023年通期データ

■セグメント別業績

<コンポーネントソリューション事業>

 コンポーネントソリューション事業の受注高は、前期比23.3%減少し112,690百万円となった。売上高は、同1.8%減少し138,089百万円、営業利益は、同34.8%減少し10,376百万円となった。

 精密減速機は、上期ではEV関連を中心に産業用ロボット向け需要が好調に推移した一方、下期に 入り、EV関連ならびに自動化設備投資が大きく減少したことにより、売上高は前期並みとなった。

 建設機械向け油圧機器は、日本及び欧米市場では需要が堅調に推移したが、中国市場では需要が一段と減少したため、売上高は前期比で減少となった。

<トランスポートソリューション事業>

 トランスポートソリューション事業の受注高は、前期比27.8%増加し100,323百万円となった。売上高は、同13.9%増加し80,787百万円、営業利益は、同16.6%増加し7,828百万円となった。

 鉄道車両用機器は、MROが堅調に推移したものの、国内市場で新車向け投資の抑制が継続したこ とにより、売上高は前期比で減少した。

 航空機器は、民間航空機向け需要の順調な回復に加え、防衛省向けでの需要が拡大したことから 売上高は前期比で大幅な増加となった。

商用車用機器は、国内顧客の生産が回復したことにより、売上高は前期比で増加した。

 舶用機器は、国内外の好調な造船・海運市況を背景とした高い新造船向け需要に加え、環境規制 に伴うMRO需要も好調に推移したため、売上高は前期比で大幅な増加となった。

 なお、当期はOVALO社に係る固定資産の減損損失1,761百万円を計上した。

<アクセシビリティソリューション事業>

 アクセシビリティソリューション事業の受注高は、前期比16.7%増加し101,313百万円となった。売上高は、同22.5%増加し96,275百万円、営業利益は、同117.9%増加し6,167百万円となった。

 自動ドア事業は、国内の建物用ドア需要が堅調に推移したことに加え、海外ではフランスの販売 会社の買収や為替の効果により売上高は前期比で増加となった。

 なお、当期は国内連結子会社で土地建物交換差益の4,243百万円及びGilgen社に係るのれんの減 損損失4,392百万円を計上した。

<その他>

 その他の受注高は、前期比5.4%増加し18,454百万円となった。売上高は、同0.4%減少し18,480百万円、営業利益は、同128.1%増加し3,385百万円となった。包装機は、需要回復及び電子部品不足が概ね解消されたことにより、売上高は前期比で増加となった。

■今後の見通し

 同社グループの次年度は、トランスポートソリューション事業では好調な需要の継続が見込まれることに加え、包装機でも国内食品メーカーでの需要増加が見込まれている。また、アクセ シビリティソリューション事業では国内外での需要が堅調に推移することが見込まれる。一 方、コンポーネントソリューション事業では需要停滞が継続することが見込まれ、次期の売上高は前期比3.5%減少の322,000百万円を見込んでいる。

 また、次期の営業利益は、コンポーネントソリューション事業において主に精密減速機での需要減少に伴う減益に加え、今後の需要回復 に備えた生産能力増強による減価償却費の増加等により、同26.3%減少の12,800百万円を見込んでいる。

<コンポーネントソリューション事業>

 コンポーネントソリューション事業の売上高は前期比15.9%減少の116,200百万円、営業利益は同68.2%減少の3,300百万円を見込んでいる。 精密減速機は、EV関連や自動化設備投資の鈍化の影響を受け、産業用ロボット向け需要の停滞が継続することを見込み、売上高は前期比で減少の見通し。 建設機械向け油圧機器は、中国市場において需要の低迷が継続し、欧米などの海外市場も建設需要が減少することを見込み、売上高は前期比で減少の見通し。

<トランスポートソリューション事業>

 トランスポートソリューション事業の売上高は前期比11.2%増加の89,800百万円、営業利益は同46.9%増加の11,500百万円を見込んでいる。 鉄道車両用機器は、国内市場での新車向け投資の増加が見込まれるとともにMROも堅調に推移し、売上高は前期比で増加の見通し。 航空機器は、民間航空機向けの需要がコロナ禍前の水準に回復、更なる成長が期待されることに加え、防衛予算の増加に伴う防衛省向け需要の拡大も見込まれ、売上高は前期比で大幅に増加の見通し。

 商用車用機器は、東南アジア市場での需要は減少するものの、国内顧客の増産を見込み、売上 高は前期比で増加の見通し。

 舶用機器は、新造船向け需要及び環境規制に対応したMRO需要が底堅く推移することに加え、 GHG(Greenhouse Gas)削減ニーズに基づく最適航路・船速制御システム製品の拡販を見込み、売 上高は前期比で増加の見通し。

<アクセシビリティソリューション事業>

 アクセシビリティソリューション事業の売上高は前期比0.3%減少の96,000百万円、営業利益は同26.5%増加の7,800百万円を見込んでいる。 自動ドア事業は、国内外の建物用ドアやプラットホームドア需要が堅調に推移することを見込み、売上高は前期並みの見通し。

<その他>

 その他の売上高は前期比8.2%増加の20,000百万円、営業利益は同26.1%減少の2,500百万円を見込んでいる。 包装機は国内食品メーカーを中心とした好調な需要環境を見込み、売上高は前期比で増加の見通し。

 ナブテスコの2023年12月期決算短信

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