酒井重工業 が2月9日に発表した2024年3月期第3四半期累計(2023年4〜12月)連結業績によると、売上高は、海外販売が斑模様ながらも好調に推移し、前年同期比 9.8%増の243億円となった。営業利益は、収益構造改革に円安効果が加わり、前年同期比62.7%増の 25億8千万円、これに伴い経常利益は同68.7%増の26億7千万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同66.1%増 の19億4千万円となった。
第3四半期連結累計期間における同社グループを取り囲む事業環境は、 世界的に拡大していたインフレと金融引き締め政策や、好調であった世界経済が変化局面を迎える中、イスラエル・ ハマス紛争勃発に伴う国際安全保障環境の先鋭化や生成AI技術の急速な普及に伴う社会構造変化など、激動する世界情勢の中で調整局面に入った。
このような情勢の下で同社グループでは、価格改定と高付加価値化による収益構造改革、人的資本投資とDXを 通じた新たな付加価値創造と生産性向上、経済ブロック化を前提としたサプライチェーンとグローバル事業活動の修正により、新たな事業環境に適応した経営体質への転換を進めた。
■連結地域区分別売上高
国内向け売上高は、国土強靭化加速化対策を背景とした堅調な市場環境の下、度重なる価格改定や幅広いコスト上 昇に対して、設備投資動向に足踏み傾向が見られ、前年同期比1.9%増の110億7千万円に留まった。
海外向け売上高は、北米及びインドネシア市場が好調に推移し、前年同期比17.5%増の132億3千万円となった。
北米向け売上高は、好調な建設投資を背景として力強い需要拡大が続き、前年同期比31.8%増の66億2千万円となった。
アジア向け売上高は、インドネシア市場が好調に推移したものの、中国及びASEAN主要市場が減速し、前年同 期比3.5%減の55億円に留まった。
その他市場向け売上高は、大洋州市場が堅調に推移するとともに、アフリカ向けODA案件が加わり、前年同期比 108.2%増の11億円となった。
■所在地別セグメント
日本:日本では、製品輸出が減少する一方で、グループ企業向け製品・部品輸出が増加し、総売上高は0.3%減の177億7千万円、営業利益は国内向け価格改定が進展し、前年同期比63.5%増の8億4千万円となった。
海外:米国では、好調な建設投資に対して販売が好調に推移し、総売上高は前年同期比30.7%増の66億3千万円、営業利 益は同74.1%増の7億6千万円となった。
インドネシアでは、国内販売が好調に推移する一方で、第三国向け輸出が減少し、総売上高は前年同期比0.9%増 の57億円、営業利益は同45.6%増の8億6千万円となった。
中国では、中国国内市場が低迷する一方で、グループ企業向け製品・部品輸出を拡大し、総売上高は前年同期比 51.9%増の14億3千万円、営業利益は同421.4%増の1億8千万円となった。
■ 連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
今後世界の建設機械市場では、日米の大型インフラ投資計画や新興諸国におけるインフラ建設と鉱山開発の活発化、更には老朽化インフラの更新需要や災害対策と復興需要など、底堅い潜在需要が期待される。一方で、コロナ以降急回復して来た世界経済が変化局面を迎える中、世界の安全保障環境先鋭化や国際社会のブロック化、生成AI技術による急激な社会構造変化など、世界経済の行方は予断を許さない。 このような情勢の下で同社グループでは、収益構造改革の推進、生産性向上と新たな付加価値創造、グローバル事業活動の修正により、時代の変化に適応した経営体質への転換を進めていく。
また引き続き、アジア市場深耕と北米市場展開、海外事業領域拡大、新技術活用による次世代事業開発、需要変化対応力強化を進めるとともに、積極的にESGを推進し、中長期的な事業成長と企業価値向上を目指す。
2024年3月期(2023年度)の連結業績は、売上高331億円(前期比5.2%増)、営業利益33億円(同31.7%増)、経常利益33億円(同41.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益23億円(同35.7%増)を前回予想を変更していない。
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