DMG森精機、23年12月期売上は13.6%増の5,395億円、24年予想は0.1%増の5,400億円

 DMG森精機が2月5日に発表した2023年12月期(2023年1~12月)連結業績によると、売上収益は約5,395億円(前期比13.6%増)、営業利益は約542億円(31.4 %増)、 税引前当期利益は約479億円(31.2%増)、 親会社の所有者に帰属する当期利益は約339億円(33.6%増)となった。また、2023年の連結受注額は、前年度比4.1%減の5,200億円となった。5軸加工機、複合加工機などの工程集約機を中心に自動化、フルターンキー化、DX(デジタル・トランスフォーメーション)、GX(グリーン・トラン スフォーメーション)を実現するMX(マシニング・トランスフォーメーション)への需要は引き続き堅調。MX を中心とする顧客への付加価値提案力に加え、円安の影響もあり、機械1台当たりの受注単価が61.9百万円 (2022年度平均:49.8百万円)へと大きく上昇した。また、連結受注の約20%を占めるサービス・補修部品の 受注額も前年度比16%増と寄与した。

■ 地域別受注額

 地域別受注額は、前年同期比、欧州(構成比:55%)が3%増、米州(同:21%)も3%増と、これら両地域が 堅調に推移した。一方、中国(同:8%)が20%減、アジア他(同:5%)が17%減、日本(同:11%)が 25%減となった。産業別の需要は、宇宙、航空、医療、半導体製造装置関連が堅調に推移している。

■ 2024年度の連結受注見通し

 2024年度の連結受注見通しについては、5,200億円を見込んでいる。機械本体の受注残高は、2023年12月末 で2,470億円(2022年12月末:2,540億円)と、高水準を維持している。豊富な受注残に加え、サービス・補修部 品及びグループ会社など、安定収益部門からの売上寄与が来期以降の収益安定に寄与する見込み。

■2023年の取り組み

 2023年~2025年を期間とする「中期経営計画2025」でも掲げているとおり、DMG森精機は工程集約・自動化・DX・GXに より、顧客へより付加価値の高い製品、システム、サービスを提供すること、またそれらを通じて地球環境保護にも貢献する、MX戦略による持続的成長を目指している。MXの推進による顧客の生産性向上とサステナブル な社会の実現を目指して邁進していく。

 DMG森精機は2024年1月に倉敷紡績が保有する倉敷機械を連結グループ化した。倉敷機械のCNC横中ぐりフライス盤をDMG森精機の製品群に加え、高品質なアフターサービスやソリューションを提案できるエンジニアを確保することは、今後のMX戦略において非常に重要であると考えている。倉敷機械とのシ ナジー効果を追求し、DMG森精機グループの持続的な成長と企業価値向上に努めていく。

 また、DMG森精機グループ会社であり高精度位置検出システムを生産する㈱マグネスケールは、2025年5月の完成を目指し奈良県にレーザスケールの生産工場を建設することを決定した。レーザスケールは加工や検査の精度が向上する中、特に今後の半導体産業において重要性が高まる位置検出システム。新事業所の建設後に は、既存の伊勢原事業所と合わせて最大6万軸の生産能力を確保する予定をしている。

 技術面では、高精度5軸制御横形マシニングセンタ「INH 63 / INH 80」を開発した。幅広いワークを 1つの自動化システムで生産可能かつ、消費電力を抑えた製品となっており、工程集約・自動化・DXを通して省エ ネで環境に配慮した生産現場作りをサポートする。

 また、小型のターニングセンタや複合加工機に搭載可能 な高性能主軸「turnMASTER12in.C」を開発し、さらに工場内の工作機械や周辺機器をネットワークに接続しDX実現 に貢献するコネクティビティサービス「DMG MORI GATEWAY」の提供も開始した。今後も、高機能かつ信頼性の高い商品を提供し、ソフト・ハードの両面から顧客のMXやサステナブルな生産現場の実現に貢献していく。

 販売面では、中国で開催された「CIMT 2023」、ドイツで開催された「EMO HANNOVER 2023」へ出展した他、ドイ ツ・フロンテン工場でのオープンハウス、アメリカ・シカゴでのイノベーションデーなど、各拠点で顧客にDMG森精機 の技術を体験してもらうイベントを開催した。その他、小規模商談会「テクノロジーフライデー」も引き続 きグローバルに開催している。今後もデジタルとリアルの両方で顧客とつながり、顧客ニーズに沿った提案を行っていく。 

 人材育成の面では、顧客に実機を用いた加工トレーニングを提供する場所として、DMG MORI ACADEMYを浜松、金沢、仙台に開所した。2024年には岡山、福岡で開所を予定している。また、高等専門学校生向 けに5軸加工機など最新の工作機械の知識や操作経験を提供する「デジタルものづくり実践講座」や、5軸加工技 術の普及と高度専門技術者の地位向上を目的とした資格制度「5軸加工技術検定」の提供を開始した。10 月には、第47回技能五輪国際大会に向けた2種目の日本代表選手選考会が伊賀事業所を会場として開催さ れ、基幹機種計4台を提供した。今後も様々なコンテンツや制度の提供を通し、将来の製造業を担 う人材育成を支援していく。

 DMG森精機では「よく遊び、よく学び、よく働く」を経営理念に掲げ、従業員の心身の健康向上のための施策を系統的に継続し展開している。2021年に健康経営宣言を発表し、2023年には経済産業省と日本健康会議が共同で選定 する「健康経営優良法人2023」の大規模法人部門 ホワイト500に認定された。今後も従業員の心身の健康の保持・増進に向けて全社的に取り組んでいく。

 また、11月に三重県伊賀市にある伊賀事業所の最寄りJR関西本線新堂駅周辺地域をより魅力ある街とするた めの「新堂駅周辺プロジェクト」の一環として、「SHINDO YARDS(シンドウ ヤード)」を開設した。同施設は図書館、伊賀市伊賀支所、北伊勢上野信用金庫が入居する複合施設。同施設が伊賀地域の魅力の発信拠点となり、地域住民がより一層安心して子育てや教育に臨める環境・景観づくりに取り組んでいく。

 さらに、DMG森精機は持続可能な社会を目指し、資源循環型の社会に向けた取組みを行っている。2月には、グループ最大の生産拠点である三重県・伊賀事業所に自家消費型太陽光発電システムを導入し、第1期 (5,400kW)の発電を開始した。2024年予定の第3期発電開始後には、伊賀事業所の年間電力需要量の約 30%を賄い、年間約5,300トン相当のCO2排出量を削減できる。今後も再生可能エネルギーの活用拡大を図るとと もに、環境負荷低減を加速し、カーボンニュートラルな社会の構築に貢献していく。

■次期の見通し

 2024年12月期の業績(連結)の見通しは、売上収益5,400億円(前期比0.1%増)、営業利益570億円(同5.3%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益350億円(同3.1%増)。

 DMG森精機の2023年12月期決算短信

 決算リリース

 決算説明資料