日立建機が1月26日に発表した2024年3月期第3四半期(2023年4~12月)連結業績によると、売上収益は、過去最高の1兆203億6千9百万円 (対前年同期増減率13.0%)と大幅な増収となった。利益項目についても、資材費や物流費を中心としたコスト増加の影響があったものの、原価低減活動や販売価格の引き上げに取り組み、売上収益の増加に為替影響等も加わった結果、調整後営業利益は、売上収益同様、第3四半期累計として過去最高の1,227億8千4百万円(同40.8%)と大幅な増益となった。また、親会社株主に帰属する四半期利益についても、営業外為替差損があったものの過去最高の710億7千4百万円(同65.1%) となった。
日立建機グループは、2024年3月期より2026年3月期を最終年度とする3カ年の中期経営計画「BUILDING THE FUTURE 2025 未来を創れ」を新たに策定し、①顧客に寄り添う革新的ソリューションの提供、②バリューチェー ン事業の拡充、③米州事業の拡大、④人・企業力の強化、の4つの経営戦略を掲げて、持続的な成長と企業価値 の向上に取り組んでいる。
2023年4~12月における油圧ショベル需要は、市況が低迷している中国に続きアジア・西欧などでも減速感が出ているものの、 北米・日本では引き続き堅調に推移した。マイニング需要は、高水準の資源価格を背景とした顧客の高い投資意欲や、高い稼働率に伴うオーバーホール需要および定期メンテナンス需要等が継続し、全体的に堅調に推移した。
日立建機グループはこのような環境下、期初から続く高い水準の生産活動が第3四半期も継続し、2022年3月 から本格的な独自展開を進めている米州事業が前年同期比で大幅に増加したほか、これまで注力してきたマイニ ング事業およびバリューチェーン事業も大きく伸長した。これらの結果に為替影響等も加わった。
■セグメントの業績
①建設機械ビジネス
第3四半期連結累計期間における売上収益は9,157億3千3百万円(同12.8%)、調整後営業利益は1,117 億9百万円(同40.4%)と大幅な増収増益になった。
米州における独自事業が前年度から引き続き堅調に拡大しているほか、コンストラクション・マイニング事業ともに、新車販売だけでなく部品サービスを中心としたバリューチェーン事業も好調に推移し、前年同期比で大きく伸長した。
②スペシャライズド・パーツ・サービスビジネス
同事業は、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社と、サービスソリューションを提供するH-E Parts International LLC及びその子会社で構成されている。
第3四半期連結累計期間における売上収益は、マイニング市場が堅調に推移した結果、1,089億6千3百万円(同13.9%)、調整後営業利益も、売上収益の増加と為替影響、これまで取り組んできた事業構造改革の結果、高収益事業が伸長したこと等により、110億7千5百万円(同44.9%)と大幅な増収増益になった。
なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値。
■今後の見通し
2024年3月期通期の油圧ショベル需要は、政府によるインフラ投資効果等が期待される北米で引き続き堅調な需要を見込んでいる。一方で、市況が低迷している中国をはじめアジアや西欧、中南米などでも減速の傾向が続いている。これらを勘案して、世界全体の油圧ショベル需要を約21.2万台(前年同期比△14%)と、前回 10月公表時点から僅かではあるが、1千台(同△1%)下方修正した。
また、マイニング製品の通期の需要は、一般炭価格が落ち着き、中小鉱山の投資意欲の低下が見込まれることなどから、小型のマイニングショベルについて減少を見込む。しかしながら日立建機のマイニング事業の中心となる超大型のマイニング機械は、コロナ禍後の経済刺激策を目的としたインフラ投資の高まりや高水準を維持する資源価格等を背景に、グローバル全体の需要が底堅く、引き続き前年度並みの高い水準になると見込んでいる。
以上のように、市場環境は一部地域・製品での需要減を想定するものの、マイニングを中心に全体としては概ね高い水準を維持すると見込んでいる。海上輸送のひっ迫、さらには資材費・物流費の高止まりなどの厳しい事業環境は継続しているが、引き続き、原価低減活動および販売価格の引き上げに取り組み、注力している 米州事業・マイニング事業・バリューチェーン事業の成長が牽引する結果、業績は堅調に推移すると見込んでいる。
2024年3月期連結業績予想(2023年4~24年3月)については、第3四半期連結累計期間の実績および第4四半期の前提為替レート見直しを踏まえ、売上収益と調整後営業利益をともに上方修正し、過去最高の業績をめざす。一方で、さらなる継続的な成長をめざし、事業ポートフォリオ見直しに伴う一過性の構造改革費用を追加計上することや、 営業外の為替差損等から、 親会社株主に帰属する当期利益は下方修正した。
2024年3月期(23年度)修正見通しは、売上高1兆4,000億円(前期比9.4%増)、調整後営業利益1,710億円(同26.0%増)、税引前当期利益1,420億円(同26.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益880億円(同25.4%増)。
なお、業績見通しの前提となる当第4四半期の為替レートは、実勢を踏まえ米ドル140円、ユーロ150円、 人民元19.5円、豪ドル95円に修正した。
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