アイシンと新明和工業、国内初、車載システムと機械式駐車設備の連携技術を確立

・スマートフォンアプリの活用を想定した、機械式駐車設備への「自動バレー駐車」に成功

 ㈱アイシン新明和工業は1月25日、これまで自動駐車と機械式駐車設備の連携技術に関する共同開発に取り組んできたが、このほど行った実証実験において、国内で初めて 、車載システムメーカーが開発した自動走行および駐車システムを搭載した車両を、設備側と連携することで、機械式駐車設備に自動で駐車する「自動バレー駐車」 (レベル4)に成功したと発表した。なお、実証実験時は、安全性確保の観点から、監視員が乗車して行った 。

 これは、将来的に、スマートフォンに車両および機械式駐車設備の操作アプリを搭載することを想定したシステム。同システムを導入することで、利用者は、車両から乗降することなくスマートフォン上の操作のみで駐車設備に駐車できるため、設備内での人身事故防止に加え、 「駐車」や「機械式駐車設備の操作」 、「駐車にまつわる待ち時間」といったわずらわしさからも解放され、安全性と利便性が大幅に向上する点が特長。

 両社は、2022 年 4 月から自動駐車と機械式駐車設備の連携技術に関する共同開発に着手し、アイシンが自動走行や駐車等の車載システムを、新明和工業が車両アプリと機械式駐車設備アプリの連携システムおよびこれに適用する機械式駐車設備の開発を担い、全体の仕様やシステム構成の検討等は 2 社共同で取り組んできた。

 その後、 2023 年3月から新明和工業の敷地内にある機械式駐車設備 (エレベータ方式と多段方式の2種)を用いて実証実験を重ねてきた。

 実証実験では、車両と機械式駐車設備に設置したコントロールユニット内にそれぞれの専用アプリを搭載し、連携に関する初期設定を行った後、新明和工業の敷地内に設けた乗降場所から車両アプリ上で目的地を当該機械式駐車設備に指定するだけで、車両アプリと機械式駐車設備アプリが連携し、車両が自動で機械式駐車設備に入出庫できるかの検証を行ったもの。

実験結果から、自動運転車両を認識した機械式駐車設備は、新明和工業が開発したシステムにより指定パレットの呼び出しや車両の格納、ゲートの開閉を自動で行い、またアイシンが

 Visual SLAM*を用いて開発した自動走行および駐車技術を用いて駐車経路を制御し、段差や高い駐車精度が求められる機械式駐車設備に自動駐車することに成功した。

* Visual SLAM:車載カメラの映像を用い、周辺の地図作成を行うとともに、自車両の位置・姿勢を推定する技術

■開発に至った経緯と今後について
 アイシンは、これまでも自動運転技術の開発に取り組んでおり、 「駐車」に関しても、人を介する工程をすべて自動化する「自動バレー駐車」の技術や、平面駐車の技術を既に確立している。

 一方新明和工業は、未来社会における機械式駐車設備の進化を目指し、これまでも産学連携における自動運転による駐車技術の確立などに取り組んできた。

 こうした中、両社共に車両とインフラの実用的な連携に向けて次なるステップを模索していたところ、経済産業省および国土交通省が推進する自動バレーパーキングシステムに関する検討会での出会いをきっかけに、それぞれの技術を生かし、汎用性を視野に入れた機械式駐車設備への自動バレー駐車実現に向けた共同開発の実施に至った。

 今回、2社の技術が融合したことで、駐車や機械式駐車設備の操作が、スマートフォンの操作に置き代わり、より安全で快適、かつスムーズな駐車サービスを提供できる道がひらけたことから、利用シーンの拡大を視野に、自動運転車両の実用化に弾みをつけたいと考えている。

 なお、共同開発は、2024 年 3 月をもって終了するが、今後は、情報の共有やデベロッパーへの提案活動などを協力して行うなど、自動バレー駐車の実用化に向けて共に取り組んでいく。

 詳細は、ニュースリリース