・スピーディーな製品供給体制を構築し、ハードロックの高い需要が見込まれる南米市場で拡販
日立建機は1月22日、100%子会社で、鉱山機械向け部品などを製造する Bradken PTY Ltd(本社:オーストラリア連邦ニューサウスウェールズ州、以下、ブラッドケン社)は、鉱山現場向け鋳鋼品などを製造するペルー共和国の Fundacion Technologica S.A.(以下、ファンテック社)から鋳造工場(ペルー・チルカ市)に必要な土地、建屋および一部設備などを取得したと発表した。
ブラッドケン社は、ハードロックが豊富に採掘されるペルーやチリを中心に、世界最大のミルライナー市場*1である南米の旺盛な需要に応えて、スピーディーに製品を供給し、ミルライナー事業のさらなる拡大をめざす。ブラッドケン社は、新たに取得した鋳造工場への設備投資を完成し、大型ミルライナーの生産を2026年から開始する。
2023 年度から始まった日立建機グループの中期経営計画「BUILDING THE FUTURE 2025 未来を創れ」では、経営戦略の 4 つの柱の中に「米州事業の拡大」を掲げ、真のソリューションプロバイダーとしての成長をめざしている。
今回の取得は鉱山現場における Pit to Plant(採掘から選鉱まで)の多様なタッチポイントで、顧客の課題を解決する製品・ソリューションを提供する一環として決定したもの。
ミルライナーとは、鉱山現場で採掘された鉱石を粉砕し有用な鉱物を分離する粉砕装置(ミル)の内壁に取り付ける鋳物製の消耗部品。金、銅、鉄鉱石などのハードロックで使用される。南米のミルライナー市場はハードロックを中心とした世界最大市場。中でもチリ・ペルーには、銅や金鉱山が密集しており、南米地域の8割*2以上の大型ミルライナー需要を占めている。ブラッドケン社では、現在、南米市場向けのミルライナーをインドとカナダから輸入しているが、ミルライナーの消費地であるペルーで現地生産することで、スピーディーな製品供給体制を構築し、使用済みミルライナーのリサイクル方法を提案するなど、顧客のニーズに応え、より持続可能なマイニングプロセスを実現する。
*1,2 : 2024年1月現在、ブラッドケン社調べ。
2ファンテック社から取得する鋳造工場は、ペルーの首都リマから南へ約70km のチルカ市に位置している。この鋳造工場は、工業団地に位置し、必要な生産設備の多くが敷地内にあり、工場操業に必要な許認可を取得済みのため、早期の工場立ち上げが可能。
なお、ペルーでは豊富な水資源を活用する水力発電による電力調達が可能なため、新工場では水力発電を最大限活用することで、一般的な電力エネルギーを使用した場合と比べて、工場稼働時の CO2排出量を年間約95%*3低減する見込み。
*3: ペルー工場で水力発電を利用した場合の CO2排出量と、一般的な電力エネルギーを使用した場合の CO2排出量を比較した場合。
ブラッドケン社は、1922年の創業以来、鋳造事業で100年以上の歴史があり、15カ国40拠点で事業を展開している。今回の案件で鋳造工場の操業開始後、まずはペルー向けの拡販に注力し、順次、生産設備の追加投資と人員増強を段階的に行い、今後は近隣の市場へも拡販をめざす。
今回の取得は、日立建機グループが2022年3月より米州で取り組んでいる独自事業において、南米初の大型投資案件となる。将来的には今回投資を決めたペルーの鋳造工場内に、日立建機のマイニング部品を保管するデポとして活用することも検討し、日立建機グループの南米マイニング市場拠点として活用する予定。
<ブラッドケンペルー工場概要>
所在地:Baja Grande sector, Quebrada Parca zone, Chilca district, Cañete province, Lima, Peru
ペルー・チルカ市
設立年:2016年
面積:土地62万㎡、建屋28万㎡
投資額:2023~2027年度までの総投資額10,200万 US ドル(約138億円)
*4: 日立建機想定為替レート1US ドル=135円で算出。
生産品目:ミルライナー
生産能力:20,000トン
■日立建機について
日立建機は、油圧ショベル、ホイールローダ、道路機械、鉱山機械などの開発・製造・販売・サービスの事業をグローバルで展開している建設機械メーカー。新車販売事業に加えて、部品・サービス、再生(部品・本体)、レンタル、中古車の「バリューチェーン事業」を拡大し、革新的なソリューションをお客さまに提供する真のソリューションプロバイダーとして、顧客と共に成長をめざします。世界に約25,000人の従業員を擁し、2022年度(2023年3月期)の連結売上収益は1兆2,795億円、海外売上収益比率は82%。
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