・CO₂削減に向け、航空機システム全体のエネルギーマネジメント最適化を目指す
IHIは1月12日、このほど、ジェットエンジン後方のテールコーン(*1)内部に搭載可能なものとしては世界初となる1MW級(*2)の電動機(*3)を、国内各社と連携し、開発したと発表した。航空機のCO2排出量削減に向けた技術革新として、エンジンを含む航空機システム全体のエネルギーマネジメントの最適化を目指す「航空機・エンジン電動化システム(More Electric Architecture for Aircraft and Propulsion、以下「MEAAP(ミープ)」)」を提唱している。
この開発は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO:理事長 斎藤 保)の「航空機用先進システム実用化プロジェクト」の委託業務「次世代エンジン電動推進システム研究開発/電動ハイブリッドシステム」において実施したもの。
ジェット旅客機の運航機数は、旅客需要の増加に伴い、今後20年間で約2倍に増加すると見込まれる一方で、国連の専門組織である国際民間航空機関(ICAO)は、航空機が排出するCO2を2050 年に実質ゼロにする目標を採択した。このためには、従来の技術改善のみならず、安全性・経済性を維持しつつ、環境性を飛躍的に向上させる新たな航空機システムの実現が必要。
MEAAP は、単なる機器の電動化にとどまらず、現状、有効利用されず機外に排出されている客室の空気を電気機器の冷却に再利用するなど、エンジンを含む航空機システムの最適化により、飛躍的な低燃費の実現を目指すもの。これは、従来の複雑な油圧・空気圧系統などを不要とすることから、設計自由度や整備性の向上および質量軽減を可能とする。この実現に向け、IHI は国内外各社と連携し、様々な研究開発に取り組んでいる。
今回開発したエンジン内蔵型電動機は、航空機内の電力需要増加に対応するための電力供給源としてだけでなく、現在、世界的に研究開発が行われているハイブリッド電動推進システムにおける重要なキー技術として適用可能なもの。
IHIは、2020年3月に現在運航中の旅客機に搭載されている最大の発電機容量クラスとして、250kW級のエンジン内蔵型電動機の開発に成功しています。今回の開発では、(*4)当時開発した300℃耐熱絶縁被膜を有する高密度成形コイル技術やジェットエンジンの研究開発で培った熱・流体 ・構造 技術を活かした新開発の排熱システム技術に加え、発電機構造の見直しによる効率改善を図ることで、ハイブリッド電動推進システムとして適用可能となる1MW級の出力が可能な電動機を実現した。
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