●年頭所感(2024年) 株式会社日本貿易保険 代表取締役社長 黒田篤郎

 新年あけましておめでとうございます。
 旧年中は格別のご厚情を賜り心より御礼申し上げます。新たな一年の始まりに際し、謹んでご挨拶申し上げます。

 3年以上にわたったコロナ禍が収束に向かう中、引き続く自然災害や長期化するロシアによるウクライナ侵攻、深刻化する新興国・途上国の債務問題、米中関係の悪化と中台関係の緊張、さらに直近ではイスラエル・パレスチナ紛争の激化など、地政学的リスクを含む非常リスクが日々顕在化しております。こうした中、戦争、内乱、テロ、経済制裁、為替取引制限、輸入制限、自然災害、疫病蔓延といった非常リスクに対するヘッジ手段の1つとして、日本貿易保険(NEXI)の提供する貿易保険へのお客様からのご期待がより一層高まっていると感じております。

 NEXIは昨年も、様々なリスクに対応するため、ロシア・ウクライナ危機対応のほか、ALPS 処理水放出に伴う対応、万博貿易保険の創設など、国内外の情勢変化に合わせた機動的な対応を実施してまいりました。さらに、貿易保険の新機軸ともいえる商品・制度の創設も行いました。具体的には、日本企業と海外企業の新たな取引の創出・拡大を目指す「SEED(Support to Expand Emerging Deals)スキーム」や短期の極度型融資向け「リボルビング・クレジット・ファシリティ特約」の創設、「国内融資に対する保険」提供の開始等がございます。本年には加えて、海外ビジネス支援パッケージ等を活用した中堅・中小企業支援の抜本的強化や、G7・QUAD・各国輸出保険機関(ECA)等との協働といった国際連携の強化にもつとめてまいります。

今後、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」戦略を踏まえたパートナーシップの促進、サプライチェーンの強靭化、脱炭素社会に向けたトランジションの加速、グローバル・サウスにおける様々な取組み等が益々重要になってまいります。また、ウクライナ復興支援に向けた動きも本格化してまいります。NEXIはこれらの分野においても、我が国唯一の貿易保険機関として全力で貢献してまいる所存です。

 本年も引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

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