●年頭所感(2024年) 一般社団法人 日本経済団体連合会 会長 十倉 雅和

・官民連携でデフレから完全脱却し、「成長と分配の好循環」を実現する—-経団連会長新年メッセージ

 謹んで新年のお慶びを申し上げる。

 コロナ禍を乗り越えた今、日本経済は、企業の強い設備投資マインド、継続的な賃金引上げのモメンタム、消費の拡大などに支えられ、長きにわたる低迷から脱する明るい上向きの力が生じている。2024年は官民が連携して経済のダイナミズムを取り戻し、30年来のデフレからの完全脱却を実現する歴史的な転換の年としたい。

 カギとなるのは、生態系の崩壊や格差の拡大・固定化・再生産といった、われわれが直面する深刻で複雑な社会課題の解決を通じた、持続的な経済成長の実現である。これまで経団連会長として、「サステイナブルな資本主義」の実践を目指し、企業自らが「成長と分配の好循環」をけん引すべく取り組んできた。引き続き、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、スタートアップ振興等を柱に、イノベーション創出、生産性向上、産業競争力強化を通じた力強い成長の実現を目指す。

 分配の観点からは格差問題の解決に向けて、多くの人々が豊かさを実感し希望がかなえられるよう「分厚い中間層」の形成に取り組む。そのためには、「マクロ経済政策」「社会保障・税制」「労働政策」の3つの政策分野について、官民連携のもと、全体感をもって一体的に取り組むことが肝要である。とりわけ現役世代の将来不安を払拭するために、公平・公正で安心な全世代型社会保障・税制の構築が急務である。構造的な賃金引上げの実現に向けて、30年ぶりとなる高水準を記録した昨年以上の熱量と決意で取り組んでいく。

 世界に目を転じれば、国際情勢がますます混迷を深めるなか、わが国が果たすべき役割は大きい。経団連は民間経済外交を推進し、自由で開かれた国際経済秩序の再構築を働きかける。開幕まで500日を切った2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)は、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げている。コロナ禍を経験し、世界各地で紛争・戦争が続く今こそ、生命の尊さと連携の大切さをわが国から世界に発信すべく尽力してまいりたい。

 今日ほど官と民の連携が求められる時代はない。経団連は政府と力を合わせて成長と分配の好循環の実現に取り組んでいく。会員の皆さまのご理解と一層のご支援をお願い申し上げる。

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