タクマ、大阪府北部流域下水道事務所向け下水汚泥処理施設の包括管理事業を受注

 ㈱タクマは11月28日、大阪府北部流域下水道事務所が発注する「安威川流域下水道 中央水みらいセンター 汚泥処理施設包括管理事業(設計・建設・維持管理)」を受注したと発表した。

■事業の概要
 大阪府では、流域下水道事業において民間事業者の技術力、ノウハウ等の活用による事業運営の効率化に取り組んでおり、茨木市に位置する中央水みらいセンターにおいて、焼却炉施設等の設計・建設業務と維持管理業務を一体とした包括管理事業を推進している。同事業は、中央水みらいセンターにおける焼却炉施設及び脱水施設の更新並びに汚泥貯留施設の新設を合わせて行い、これまで個別に発注していた「汚泥処理施設の更新工事」と「汚泥処理施設の点検整備業務」を一括して民間事業者に委ね、民間事業者が保有する技術力やノウハウ等を最大限活用することで、長期的かつ安定した汚泥処理を実現するとともに、環境負荷の低減及び汚泥処理施設の運用の効率化を図るもの。

■事業におけるタクマの取り組み
 同事業においてタクマは、省エネ型焼却炉であるストーカ炉と発電設備による創エネを組み合わせた、省エネ・創エネ型の汚泥焼却発電システムを納入し、下水汚泥がもつエネルギーを有効利用することで補助燃料の使用量を削減しつつ、温室効果ガスの排出量や消費電力の削減を実現する。また、これまでに培ったメンテナンスノウハウや、一般廃棄物処理プラントの運営事業(DBO・O&M)において蓄積してきたノウハウを活かして、施設の長期安定稼働を実現する。

■現在の下水道事業を取り巻く環境とタクマの今後の取り組み
 全国には約2,200か所の下水処理施設があるが、供用開始から15年以上経過した施設が9割を占めるなど老朽化が進んでおり、設備の更新需要が高まっている。

 下水道事業は下水処理の過程で温室効果ガスを排出するとともに多くのエネルギーを消費している。全国では約300基の下水汚泥焼却施設が稼働しているが、2050年カーボンニュートラルの実現に向けバイオマス資源である下水汚泥の資源・エネルギーとしての有効利用ニーズがこれまで以上に高まっている。

 老朽化施設の増大、使用料収入減少、下水道職員の不足等の課題への解決策の一つとして、民間企業のノウハウや創意工夫を活用したPPP事業 (Public Private Partnership、官民連携事業)のニーズが高まっている。

 設備の老朽化に伴う更新や下水汚泥がもつエネルギーの有効活用、官民連携事業へのニーズが高まる中、タクマにおける同システムの受注は全国で4件目となる。また、維持管理業務を含めた包括管理事業の受託は今回が初めてとなる。

 これからも全国の施設へ同システムの積極的な提案を進めるほか、包括管理事業においては施設の長期安定稼働を実現するサービスを通じて、下水道事業の脱炭素の取り組みと住民の安全・安心な暮らしを守る質の高いサービスの提供に貢献していく。また、これらの取り組みを通じて、ESG課題(※1)でも掲げる気候変動対策への貢献、資源・環境保全、顧客・地域との信頼関係の一層の強化を図り、持続可能な社会の形成を目指していく。

(※1)タクマのESGへの取り組みについて
https://www.takuma.co.jp/esg/

■システムの特長
 焼却廃熱のカスケード利用(※1)により、補助燃料が不要なほか、電力使用量やCO2排出量を削減(※2)
※1 蒸気発電機で発電し、その排蒸気を乾燥機や空気予熱器に利用。
※2 汚泥性状によっては、本システムでの使用電力を発電によりすべて賄うことも可能。900~1,100℃程度の高温燃焼により、温室効果ガスである一酸化二窒素(N2O)を削減

<受注概要>
発注者:大阪府北部流域下水道事務所
受注者:大阪中央ハイトラスト株式会社(株式会社タクマが設立するSPC)
事業名:安威川流域下水道 中央水みらいセンター汚泥処理施設包括管理事業(設計・建設・維持管理)
建設場所:大阪府茨木市宮島三丁目地内
事業内容:汚泥処理施設の設計・建設、約10年間の維持管理業務
※DBM(Design:設計、Build:建設、Maintenance:維持管理)方式

施設規模:汚泥焼却炉(100t/日×1炉(ストーカ炉)、発電出力:240kW)、脱水施設、汚泥貯留施設
契約金額:65億7,000万円(消費税抜き)
設計・建設期間:2023年10月~2027年6月(3年9か月)
点検整備業務期間:2027年7月~2038年3月(10年9か月)

 ニュースリリース