・衛星通信サービス「Starlink」を活用し、現場のデジタル化を促進
清水建設は11月24日、KDDIと共同で、超高層ビル建設現場の高層フロアで低層部と同等の高速通信環境を簡易に構築する新手法の実証実験を都内の現場で行い、高さ100m以上の施工フロアで安定的な通信環境を確保できることを確認したと発表した。同手法は、KDDIが提供する衛星通信サービス「Starlink Business」を通信インフラとして活用するもので、タワークレーン上部に設置した専用アンテナを利用し、超高層フロアで高速かつ安定した通信環境を実現する。
超高層ビルの施工フロアは、地上からの電波が届きにくくなり、モバイル回線を利用することが難しくなる。モバイル回線を利用できない高層フロアでは、通信インフラを独自に構築しなければならず、施工が進捗する都度、最上層フロアへ通信ネットワークを延伸させる必要が生じる。そこで清水建設は、クレーン部分が常に施工フロアの最上層に位置するタワークレーンに着目。クレーン部にStarlinkの専用アンテナを設置することで、タワークレーンを現場内の電波塔として活用することを発案した。
Starlinkは、米国スペースX社が運用する数千基の衛星を利用した通信サービスで、受信アンテナと衛星の間に遮蔽物がなければ、安定した通信環境を確保できる。建設現場の施工フロア最上層は直上に遮蔽物がない環境下にあることから、Starlink専用の広角電波受信アンテナ「Flat High Performanceアンテナ」を現場のタワークレーン上部に設置することで、超高層の施工フロアで高速通信を享受することが可能になる。
実証実験では、タワークレーン上部の鋼製ロープを支持するガイサポートの手すりに専用アンテナとルーターを設置し、高さ100mの施工フロアでStarlinkの通信感度を確認した。1ヶ月の実証期間の中で、タワークレーンの旋回時や、豪雨・強風などの悪天候時の通信状況を検証し、最大220Mbpsの高速通信環境を安定的に維持できることを確認した。
清水建設は今後、同手法を国内の超高層ビルの建設現場に広く展開し、デジタル化を促進していく考え。
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