日立エナジー、燃料電池メーカーのパワーセルグループと CO 2 排出量ゼロの水素発電機の実証機を開発

・脱炭素化が困難とされる建設現場、データセンター、病院などに持続可能な電力を供給

 日立エナジーは11月24日、スウェーデン・ヨーテボリを拠点とする燃料電池メーカーPowerCell Group(パワーセルグル ープ)と、燃料電池技術を活用した CO 2 排出量ゼロの水素発電機 HyFlex™の実証機を開発したと発表した。

 開発した水素発電機は、燃料電池と変電・付帯機器を一つの設備に纏めた一体型で、拡張性があり、送電網への連系が困難な環境におけるディーゼル発電機の代替として電力を供給することが可能。

 日立エナジーは今後この実証機の開発で得られた知見を生かし、 可搬型で一時的な利用に適した 400-600kVA の中出力タイプを 2024 年後半、恒久的な利用かつ顧客のニーズに応じ複数ユニットを 並べた設置が可能な 1MVA 以上の高出力タイプを 2025 年に発売予定。

 HyFlex は、交流電力、熱 エネルギー、水のみを生成し CO 2 排出量ゼロであるのに対し、一般的に 1MVA のディーゼル発電機を定格 出力で 1 時間稼働させる場合、225kg のディーゼル燃料を必要とし 720kg の CO 2 が排出される*1 。

*1 2023 年 11 月 22 日時点 日立エナジー調べ

 今回開発した HyFlex は、遠隔地や騒音・公害に配慮が必要な都市などにある建設現場、電動のダンプトラックや掘削機(油圧ショベル)が増えている採掘現場、電力や熱の緊急バックアップが必要なデータセンターや病院、ホテル、さらには港で停泊中の船舶などにおいて、ディーゼル発電機に代わり持続可能な電力を供給できる。

 日立エナジーは、テクノロジーパートナーのパワーセルグループと共同で、燃料電池技術を活用した水素発電機の開発に取り組んできた。開発ではパワーセルグループの燃料電池技術・知見と、日立エナジーの パワーエレクトロニクス、蓄電システム、冷却、制御、システムインテグレーションに関わる技術および知見を活 用している。

 日立エナジーのグリッド&パワークオリティソリューション・サービスの責任者マルコ・バラルデ氏は「脱炭素化が 困難と考えられてきた産業を支援する革新的なソリューションを発表することができて嬉しく思います。ネット ゼロへの転換の加速に伴い、より多くの産業において、環境負荷を低減しながら事業運営の効率を向上さ せるこうしたソリューションの需要が高まっています。」と述べている

 日立エナジーは、これまでも、スウェーデン *2 やフィンランド *3 における 20MW の水素製造設備向けに、高電 圧の送電網から電解槽への電力供給を最適化する「Grid-to-Stacks」ソリューションを提供している。今回 HyFlex がポートフォリオに加わることで、グリーン水素のバリューチェーン全体にわたりソリューションの提供が可能になる。こうしたソリューションを通して、日立エナジーは、高度な効率性、信頼性、品質を実現する最適な電力供給システムを提供するパートナーとして、将来のギガワット規模のプロジェクトに向けた水素エコシステムの拡大に貢献していく。

*2 Hitachi Energy supplies electrical system for the world’s first green hydrogen plant for heating steel before rolling

(英語サイト) *3 Hitachi Energy to supply main electrical system for Finland’s first industrial-scale green hydrogen production

plant (英語サイト)

■日立エナジーについて
 日立エナジーは、持続可能なエネルギーの未来へ向けた取り組みを加速する、グローバルな技術リーダーで す。さまざまな分野のお客さまに、バリューチェーン全体にわたる革新的なソリューションとサービスを提供すると ともに、お客さまやパートナーとの協創により、カーボンニュートラル実現に向けたエネルギー転換に必要な、デ ジタル技術を活用した変革を実現します。日立エナジーは、社会価値、環境価値、経済価値のバランスを 取りながら、世界でより持続可能、より柔軟、より安心・安全なエネルギーシステムを構築する取り組みを進 めています。また、当社はこれまで合計 150GW 以上の高圧直流送電(HVDC)システムを提供しており、よ り多くの風力発電や太陽光発電の導入が可能となるよう支援しています。スイス・チューリッヒに本社を置き、 全世界 90 カ国に 40,000 人以上の従業員を擁しており、140 カ国以上の導入実績と、1 兆円を超える 事業規模を有しています。

日立製作所について
 日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。 お客さまの DX を支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献す る「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネク ティブインダストリーズ」の事業体制のもと、IT や OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用する Lumada ソリ ューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客 さまとの協創で成長をめざします。2022 年度(2023 年 3 月期)の連結売上収益は 10 兆 8,811 億円、 2023 年 3 月末時点で連結子会社は 696 社、全世界で約 32 万人の従業員を擁しています。

 ニュースリリース
 *リリース内容から一部「ですます調」で表記しています。