・エベロ社が、英国北西部に所有するインス・バイオマス発電所にCO2回収プラントの設置を計画
・バイオマス発電とCO2回収の組み合わせであるBECCSにより、年間25万トンのCO2排出量削減を目指す
炭素な廃棄物発電(注1)のリーディングカンパニーである英国のバイオマス発電事業会社・エベロ社(Evero Energy Group Limited、本社:バークシャー州)と三菱重工は、11月9日、英国のバイオマス発電所からCO2を回収・貯留するInBECCS(Ince Bioenergy with Carbon Capture and Storage)プロジェクトで技術提携すると発表した。
InBECCSプロジェクトは、エベロ社が、英国北西部チェシャー州のHyNet CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)クラスター近傍に所有するインス・バイオマス発電所にCO2回収プラントを設置、回収後のCO2を貯留することで年間25万トンのCO2排出量削減を目指すもの。2029年の運転開始後に見込まれる削減量は、英国政府が掲げるGreenhouse Gas Removals(GGR)部門における2030年の温室効果ガス削減目標の約5%達成に寄与する。
バイオマス発電とCO2回収を組み合わせたBECCS(Bio Energy with Carbon dioxide Capture and Storage)は、大気中からのCO2削減を実現する現在利用可能な技術の中で最大規模のCO2削減能力を有し、英国のネットゼロ達成を支援する上で重要な役割を果たします。英国政府が2023年8月に発表したバイオマス戦略によると、インス・バイオマス発電所で使用されている廃棄木材を燃料とするBECCSは、持続可能性の高い手段の1つであることが認められている。
このプロジェクトには、三菱重工が関西電力と共同開発した独自のCO2回収技術「Advanced KM CDR Process™」が適用される。エベロ社と三菱重工は、インス・バイオマス発電所へのCO2回収技術の提供を通じて英国CCUS事業を強力に推進するとともに、地球規模での温室効果ガス排出削減に向けた取り組みを進めていく。
(注1)廃棄物をエネルギー源に電気や熱をつくる仕組みで、「Waste-to-Energy(WtE)」や「Energy-from-Waste(EfW)」とも呼ばれる。
■三菱重工グループのCO2回収技術について
三菱重工グループは、1990年から関西電力と共同でCO2回収技術KM CDR Process™やAdvanced KM CDR Process™の開発に取り組んでいる。2023年11月現在、KM CDR Process™を用いたプラントを16基納入しており、さらに2基を現在建設中。またAdvanced KM CDR Process™には、これまで納入した商用のCO2回収プラント16基全てで採用されているアミン吸収液KS-1™に技術改良を加えたKS-21™が採用されている。KS-21™は、KS-1™と比べて再生効率に優れ劣化も少ないといった特長を持ち、優れた省エネルギー性能と運用コストの低減および低いアミンエミッションが確認されている。
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