清水建設、車両搭載型AI監視カメラシステム「カワセミ」を商品化

・物体検知・骨格推定AIで重機オペレータの死角を漏れなくカバー

 清水建設は11月1日、東京大学発のAIベンチャー、㈱Lightblue、日本道路グループのエヌディーリース・システムと共同開発した建設重機用の車両搭載型安全監視カメラシステムを商品化(商品名:カワセミ)したと発表した。今後、建設現場における重機接触災害の根絶を目指し、清水建設と日本道路の建設現場への導入を進めるとともに、11月1日から、エヌディーリース・システムを通じて外部販売を開始する。

 カワセミは、画像解析AIを活用して建設重機オペレータの死角となる後方危険区域内にいる人や車両を瞬時に検知し、警告音、ライト点灯、モニター表示等でアラートを発報するカメラ監視システム。システムは、重機オペレータの死角を監視する単眼カメラユニット、カメラユニットの撮影画像から人や車両の侵入を検知する画像解析AIサーバー、パトライト、監視モニターで構成される。

 システムの特徴は、画像解析AIに組み込んだ骨格推定アルゴリズムによりさまざまな作業姿勢に対応した人の検知機能を有すること、人が重機を認識しているかどうかをリアルタイムに判定できること。また、カメラユニットは重機の種類を問わずマグネットで簡単に固定できる。

 建設現場で発生する災害のうち、重機接触災害が占める割合は約2割に上る。特に、狭い作業空間内で複数の重機を稼働させる山岳トンネル現場では、重機と作業員との接触をいかに回避するかが安全管理上の大きな課題となっている。

 重機接触災害の防止対策技術としては、人の検知と重機からの距離推定を行うカメラ監視システムが既に製品化されている。ただ、人がしゃがんでいたり、手荷物等で体の一部が隠れていたりする場合には検知精度が低下してしまうなど、機能面での制約があった。

 カワセミの核となる画像解析AIは、さまざまな姿勢の骨格を機械学習しており、しゃがんだ状態や手荷物等に隠れて体の一部が画像に映っていない場合でも、人の存在を検知できる。また、骨格から推定した目・鼻・耳の位置関係を基に、当該人物が重機を視認しているかどうかを判断することもできる。これにより、アラートの発報レベルを「注意」から「警告」へと段階的に上げるといった運用が可能となり、アラートの影響で必要以上に作業が遅れる事態を回避できるようになる。

さらに、人物に加えて車両を検知する機能も備えており、重機と車両の衝突回避にも効果を発揮する。

 システムの開発にあたっては、検出アルゴリズムの開発を清水建設とLightblue社、販売計画の策定と販路開拓をエヌディーリース・システム社が担当し、3社で現場実証に取り組んできた。今後、清水建設と日本道路の建設現場への導入を進めるとともに、他の建設会社や道路工事会社への一般販売・リース販売にも注力し、広く建設産業の安全性向上に貢献していく考え。

 なお、11月9日・10日に東京ビッグサイトで開催される「ハイウェイテクノフェア2023」の清水建設ブースにおいて、「カワセミ」を実機展示する。

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